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セレッソ大阪戦マッチレビュー?〜Documentary film〜


ジリリリリ…………


枕の上で携帯が鳴り響く。



うるさいなぁ………



僕はそう思いながらまるで赤子のように泣き喚く携帯を止め、鉛のように重い瞼を開く。


朝5時半。人によってはまだ夜と定義する時間だ。



あれ……???



ここは…………どこだ?????


見覚えのないベッドの上で正座をし、つかの間に昨晩の記憶を巻き戻す。


僕は、今日絶対寝坊をしたくないから東京駅周辺のホテルを予約し、そこに泊まっていたことを思い出した。


なんだ。僕は今東京駅徒歩圏内に居るではないか。


安心しきった僕は、再び天使の羽のように軽い瞼を閉じ、束の間の快楽を手にした。


もっとも、この快楽の後に絶望が訪れたことは言うまでもない。


両足肉離れ一歩手前くらいのダッシュを決め、ヘッドスライディングくらいの勢いで八重洲を駆け抜けた。


人生とは、山あり谷あり。上手くいくことが続けば、上手いかないこともある。


これはまさに「生きている」からこそ得られる体験であり、何事にも変えられない財産だ。



僕たちはつい、上手くいかないことがあると悩んだり、落ち込んだり、後悔をしてしまう。


でも、きっとそうじゃない。上手くいかないことを敢えて楽しむ。そんな"舐め腐った"メンタリティで居続けることが大切なんだろう。


僕はそんなことを感じながら、強くこう思った。


「最悪や!!!!!二度寝なんてしなければよかった!!!ふざけんな!!!!!誰か起こせよ!!!!!!!!!!!!!」



人生はそう上手くはいかない。




何はともあれ、新幹線に無事乗車。

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富士山の写真は電柱に阻まれた。ファンダイクと対峙する時ってこんな気持ちなんだろうか。


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大阪に来るたびグリコの写真を撮っている気がするが、隣の松岡修造もなかなかのフォトジェニックだと思う。


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僕の大好物。わなかのたこ焼き。

大学時代に出会った「本当に大阪出身?」と不安になるほど自己主張が無く、優柔不断で、何事にも興味がない大人しい友人が唯一、目の色を変えてオススメしてきたもの。

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生地がもっちりしていて、某有名店の揚げたこ焼きを食べ慣れている関東民からするとどこか「懐かしさ」を感じるようなTHE たこ焼き食感。本当に美味しい。

ちなみに写真はソースだが、塩も美味しかった。
塩ダレではなく、シンプルな"塩"で味付けがされている。時間が経ってもカリふわ感が損なわれず、適温でカリふわを味わえる逸品。


なお、上述した友人に「大阪でおすすめのご飯屋は?」と聞いたら「大体のもんは東京にある」との回答だった。お前たこ焼き以外に興味ないんか。



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というわけで、柄にも無く名店今井できつねうどんを食べました。


きつねうどんはどん兵衛にお湯を入れて10分待つ のが1番上手いと信じて疑ってこなかった25年間。

遂に順位が入れ替わった。


だし、麺、揚げ、そして付け合わせの寿司、デザートのわらび餅。全てが完璧。なんならガリまで美味かった。




そんなこんなで到着2時間で大阪をギア全開で楽しんでいる内に、キックオフの時間が直前に迫っていた。


「串カツ食って酒でも飲みながらDAZNで試合見ようかな」という気持ちをグッと堪え、ヨドコウへと向かった。




ジェジエウに捧げる2ゴール


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さぁ、やってまいりましたヨドコウ桜スタジアム。

めっちゃ綺麗になったなぁ。
ということでリアル5年ぶりくらいのゴール裏から。


下記、本日の世界最高ファンタスティックフットボールクラブ川崎フロンターレのスタメンを偏見と共にお届け。
本日の偏見は「各位が大阪で好きそうな食べ物」


GK
ソンリョン 「鶴橋の焼肉」

DF
登里享平 「たこせん」


車屋紳太郎「551蓬莱の豚まん」

谷口彰悟「リッツカールトン大阪のフレンチ」

山根視来「代表戦帰りで即試合のため、今はご飯のことを考える余裕がない」

MF
橘田健人「お好み焼き」

脇坂泰斗「アシッドラシーヌのマカロン」

旗手怜央「佐兵衛すし」

FW
マルシーニョ「USJのバタービール」

家長昭博「なんやろな。なんでも美味いで。」

レアンドロ・ダミアン「シュラスコ」


番外編
大島僚太「特にありません」

小林悠「子どもの笑顔が1番好きです😁」


以上、11人。代表帰りの谷口、旗手、そして2試合しっかり闘ってきた山根も当然のようにスタメンに名を連ねた。


試合は前半からフロンターレペースで進むと、早速ゴールネットが揺れる。


前半4分。谷口の縦パスを合図として、家長が右サイド大外で起点となる。


橘田と家長で呼吸を整えると、満を持して山根が斜めにパスを刺す。

脇坂、旗手でプチスクランブルを作ると最後はレアンドロ・ダミアン。


見事な一連の流れで我が軍が先制点を得る。


この展開、無駄のない見事な攻撃だったのだがポイントは「ペナルティエリアへの侵入」だろう。


1得点目の流れでペナに侵入したのは山根のパスから。


いかに相手の陣形を整わせずに刺すか。


当たり前だが、サッカーの得点はここが重要となってくる。


闇雲にペナ内でボールを回してもゴールは奪えない。


「手数をかけず、シンプルに刺せ」


僕は県選抜の選考会までしか経験したことがないが、上のレンジに行けば行くほどここは求められる。


まさに、お手本通りのゴールであった。


ゴールを決めたダミアン御一行はいち早くベンチへと向かう。

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1番最初にベンチへ駆け出した旗手は通訳のゴンさんからユニフォームを貰うと、ダミアンへと渡す。

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旗手からユニフォームを受け取ったダミアンは、大切そうに、誇らしそうにそのユニフォームを掲げる。

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ユニフォームの背番号は、4番。

ジェジエウへと向けたユニフォームであった。


今日のダミアンはキックオフ直後から気合マックス。どうしても、どうしても今日点を取らなければならない理由があったのであろう。


その後、清武を中心とするセレッソに攻め込まれる場面が続くも、車屋、谷口を中心とする守備ブロックを魅せつけた我が軍は簡単にゴールを割らせない。


そして、耐えに耐えた我が軍が再度「一瞬」牙を剥く。



43分、中盤でボールを奪った橘田。

奪った瞬間相手DFにガッツリ寄せられるも、無理やり股を抜き切りドフリーで前を向く。


斜め右の家長でタメを作ると、最後は再度レアンドロ・ダミアン。


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ルーキーとは思えない橘田のスーパーなプレーが飛び出し、ダミアンが決定力を魅せつけ2-0で前半を折り返す。


マルシーニョ弾と、遠野が魅せた意地


後半、セレッソは大久保嘉人を投入する。

ちょうどこの試合の直前に現役引退を表明していた嘉人を後半の頭から投入することで、前線の活性化を狙った印象であった。


まさにその狙い通り、嘉人を起点としたセレッソの攻撃が続く。

後半開始直後にはFWとMFの間で受けた嘉人を起点に、セレッソが半崩しでシュートまで持ち込む。

ここはソンリョンがセーブも、失点をしていてもおかしくない場面であった。


嘉人はフロンターレに在籍していた頃「手前で組み立てに絡み、最後は自分で点を取るのが1番好き」と、好きなプレースタイルの話をしていた。


まさにこの直前に現役引退を表明していたのだが、フロンターレにいた頃から何も変わっていない。まだまだやれるだろうと言いたくなるようなプレーであった。




46分、自陣でボールを奪うと最前線にいたマルシーニョへボールが渡る。


カウンターショットとなり、そのままマルシーニョが独走。

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GKと1対1になるも、ここでジンヒョンのスーパーブレイクアウェイが炸裂。

マルシーニョのドリブル突破に対してジンヒョンは身体を先に倒す。

GKの動きを見ていたマルシーニョは当然のように右から抜き切ろうと試みるが、ここでジンヒョンの手がグッとボールへと伸びる。


まさにスーパープレー。少しでもジンヒョンが躊躇ったり、角度を間違えていたらPKを献上していたであろう。


完璧なタイミングで完璧な角度での完璧なブレイクアウェイであった。


このプレーは、マルシーニョ云々ではなくジンヒョンを褒めるべきであろう。


しかし、この直後にマルシーニョがリベンジを果たす。


ノボリのキーパスに反応したのはダミアン。

ダミアンのポストから発生したスクランブルによって、ボールがマルシーニョへと落ちてくる。



右足一閃。


ボールは今度こそ、ゴールへと吸い込まれた。


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ゴール裏に靡く無数のブラジル国旗とマルシーニョのグラフィックが美しい。


3-0とした我が軍は、ゲームを優勢に進める。

67分には旗手が最前線へと飛び出し、ジンヒョンとの1対1を演出するも、ここでもジンヒョンがストップ。


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この直後の飲水タイムから、もう一度セレッソが猛攻を仕掛ける。

72分には松田陸が素晴らしいミドルショット。これは我が軍の守護神ソンリョンが指先でスーパーセーブ。

入っていればゲームの流れが変わっていた感のあるショットであったが、ここはソンリョンが立ちはだかる格好となった。



我が軍も大島、宮城を入れて主導権を渡さまいと対抗する。


78分、奥埜に1点を返されるも、84分に宮城が突き放して勝負あり。


相手DFの裏に回った遠野が見事な切り返しからパスを供給。フリーの宮城がネットを揺らす。



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ヘアバンドデビューの宮城がワカチコを披露した。

今の小学生に伝わるのだろうか。。。


ゲームはこのまま4-1で終了。狙いと結果が合致した、素晴らしいゲームとなった。



大久保嘉人、現役引退


ゲーム終了後、大久保嘉人が川崎側ゴール裏へとやってきて感謝の言葉を述べた。

僕にとって、大久保嘉人は「どうしても嫌いになれない選手」であった。


2013年にフロンターレへとやってきた大久保嘉人は、チームの大エースとして君臨。

3年連続の得点王という非の打ち所のない成績を叩き出し、我々にワクワク感と感動を与えてくれた。

在籍4シーズン目。変わらずチームのエースとして君臨し、リーグ戦カップ戦ともにタイトルに手が届きそうだった2016年。彼は突然退団を宣言した。


ハッキリ言えば、ショックだった。


表現がなかなか難しい感情であった。選手がチームを去るのは仕方のないこと。そんなことは長年Jリーグを見ているので分かっている。

それでも、ショックであった。分かってはいるが、悲しかった。寂しかった。


まるで、小学校低学年の時に担任の先生が転任してしまったような、そんな感情であった。



2017年1月1日。この年の最後のゲーム。
ベンチコートのフードを深く被り、吹田スタジアムでボロ泣きしていた彼の姿が僕は未だに忘れられない。


川崎の嘉人は、僕達の前から一度姿を消した。






エースを失った我が軍は2017年シーズン、悲願の初タイトルを手にする。


タイトルを獲った翌年の2018年シーズン、彼はフロンターレへと復帰する。

復帰戦となった2018年のゼロックススーパーカップ。大合唱の「川崎の嘉人」がゴール裏から響いた時、湧き上がる高揚感とワクワクを抑えられなかったことを昨日のことのように思い出す。


エースが帰ってきた。俺たちの嘉人が帰ってきたんだ。


そんな思いであった。



アウェイ名古屋戦、憲剛のFKに嘉人が合わせた瞬間は涙が出るほど嬉しかった。



しかし、2018年ロシアW杯の中断期間、彼は2度目の退団をする。


3年間で2度、大久保嘉人は退団をした。



それでも、僕は一切彼のことが嫌いになれなかった。


それどころか、毎試合「大久保嘉人」と検索をしては彼が点を取ったのがどうかをチェックしていた。

フロンターレの試合と被らなければ、彼が出ている試合をリアルタイムでチェックしていた。



何度退団をされようとも、僕は彼のことは嫌いになれなかった。


それは、彼がピッチ外で魅せる素直で真面目な性格や、サッカー選手としてピッチの上で魅せるプレーがいかに素晴らしいかを知っていたからであろう。


ピッチ上の大久保嘉人とピッチ外の大久保嘉人は、本当に別人のようであった。


ファンサービスも1人ひとりに本当に丁寧だし、練習場では1年目の若手にもいじられていた。


大久保嘉人は、みんなから愛されていた。

僕も、彼のプレーはもちろん、その全てを愛していた。


だから、どこであろうと彼がボールを蹴り続けてさえいれば、それだけで良かった。(もちろん、本当は川崎が良かったけれども。)


2021年、セレッソの一員として等々力に凱旋した嘉人は2ゴールを決め、ストライカーとしての才能を、サッカープレイヤーとしての能力を再びこの場所で僕らに魅せつけた。


彼のプレーからは、情熱や魂を感じられた。


それだけに、引退を発表した時は言葉を失った。


どう見ても、この目で見た大久保嘉人は今年で引退をする選手の熱量ではなかったからだ。


どこかで勝手に「まだやるだろう」と思っていた。


その時が、当分先であると思っていた。


突然来てしまった別れを、どこか消化出来ていないまま僕はこの日を迎えてしまった。


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笑顔でゴール裏にきた嘉人は、ずっと、何も変わってなかった。



「枯れた花びらがテーブルを汚して
あらゆるものに終わりがあることを
リアルに切り取ってしまうけれど
そこに紛れもない命が宿っているから
君と見ていた 愛おしい命が」


Mr.ChildrenのDocumentary filmという歌。


物事には終わりがあるから美しい。終わりがあるからこそ、感動が生まれる。


サッカー選手としての人生は、ものすごく短い。

その短い期間で沢山の人に感動を与えられるのはさらにその一握りだろう。


大久保嘉人のサッカー人生は、間違いなく多くの人に感動を与えた。


もう、今季限りでサッカープレイヤー大久保嘉人を見ることは出来なくなる。しかし、等々力や全国のスタジアムで彼が奪ってきたゴールは僕たちの胸に刻まれ続ける。思い出として、はっきりと明確に残り続ける。


さらば。希代のストライカー。

ありがとう。大久保嘉人。






最後に1つだけ、愛を込めて言わせてほしい。


もう一度、僕は大久保嘉人が点を取る姿を見たい。


日本で貴方ほどゴールが似合う漢は、他にいない。


思いっきり吠えて、全力の笑顔でチームメイトと喜びを分かち合う姿が見たい。








君が笑うと、愛おしくて泣きそうな僕より。


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