「鹿児島睦 まいにち」展で驚いたこと!
#20231127-303
2023年11月27日(月) ※ note本文中の作家名は敬称略
立川駅の北口から歩いて10分ほど。「PLAY!」へ家族3人で行ってきた。
今から3年前――2020年にできた新しめの複合文化施設で、美術館である「PLAY! MUSEUM」と子どもの屋内遊び場である「PLAY! PARK」がある。
「PLAY! MUSEUM」では気になる企画展が度々開催されていたが、我が家からは片道2時間弱。ちょっと遠いため、行きたいのに行けずにいた。
今日はノコ(娘小4)の小学校が振替休業日。かつ、むーくん(夫)も休日。月曜日は休館日の施設が多いなか、ここは基本的に年中無休。
平日の今日はまさに狙い目だ。
しかも、以前から好きだった陶芸家でありアーティストの鹿児島 睦の初の大規模な展覧会。
もう行くっきゃない!
立川駅前で軽く昼を済ませてから、多摩モノレールのレール下に伸びる広い道を歩く。
都心からこのくらい離れると、街が街として独立し、機能している感じがして好ましい。都心を新宿駅を指すのか、東京駅を指すのか、もしくは丸の内や霞が関エリアなのかよくわからないが、あまり近いと大きな街に引っ張られる感じがする。もちろんどんな街にも特色はあるが、品揃え多いところへ買い物に出るなら地元ではなく〇〇に出るというのがあると思うが、立川辺りまで来ると立川で済みそうな感じがする。
住んでいないので実際のところはわからないが、街の規模が私にそう思わせる。
鹿児島睦は、九州の福岡を拠点に陶芸をはじめ、テキスタイルや版画作品を世に出している。
植物や生き物などをモチーフにしたデザインが多い。生き物は動物だけでなく、昆虫やヘビなどの爬虫類、鳥類、竜や一角獣といった想像上の生き物も含む。シンプルな形には、どこか懐かしさを感じると同時に風通しのよい新しさも感じる。懐かしさと新しさという一見対極するものがぶつからず、内包しているのが心地よく、手元に置いて愛でたくなる。
彼の作品は、生活のなかに存在してほしい「美」だ。
会場は「まいにち」という展覧会名にふさわしく、繰り返される日常のひとときがテーマになっていた。
「あさごはん」「ひるごはん」「ばんごはん」と称された大きなテーブルにはたくさんの器が並び、それぞれの時間帯の光と音が再現されている。
約15分の制作過程の映像には見入ってしまった。鹿児島睦自身が役に立ち、美しいと思っているであろう物があるアトリエは味わい深いし、彼の手がペンを持ち、筆を持ち、作品が生まれる現場に目を奪われた。
行きたい行きたいと思っていた企画展だったので、足を運べて大満足だった。
そして、私にとっての一番の驚きは、展示の最後に鹿児島寿蔵の紙塑人形「有間皇子」があったことだ。
今から26年前、1997年の春に新宿の小田急百貨店が開店35周年記念として「人形と短歌 鹿児島寿蔵」展を開催した。百貨店に美術館があった時代である。
私はそこではじめて人間国宝(重要無形文化財保持者)の人形作家であり、アララギ派を代表とする歌人でもある鹿児島寿蔵を知った。テラコッタの人形もよいが、その後研究しはじめた紙塑人形は和紙のもつやわらかな質感がとても美しく、私の心に深く残った。
その鹿児島寿蔵は鹿児島睦の大叔父だと説明書きにあった。
まさかここで私が魅了された2人の作家がつながると思わず、目を丸くした。
親戚とはいえ、2人がどの程度のつきあいだったかはわからない。ただ鹿児島寿蔵のシンプルなフォルム、模様の展開のありよう、鮮やかな色彩は通ずるものがあり、私自身が美しいと思う共通点が浮かび上がった。
私が作品を味わっているあいだ、ノコは同館の3階にある子どもの遊び場「PARK!」を堪能していた。20歳以上の大人の同伴が必要なため、むーくんが付き添い。
本当は「MUSEUM」も「PARK!」も3人一緒に楽しみたかったが、夕方には新宿へ行かねばならなかった。
ノコとむーくんは予約していた映画を観、私はこっそりノコへのクリスマスプレゼントを調達せねばならない。人であふれた新宿をてってこてってこと歩きまわった。
相も変わらず、一歩外に出たらハードなお出掛けになってしまう我が家。
もうね、これだけ歩くと足の裏が痛くなってくる。
【追記】
「鹿児島 睦 まいにち」展は2024年1月7日(日)までPLAY! MUSEUMにて開催です。
ご興味のある方は是非足を運んでみてください。
特に鹿児島さんの作品が好きな方は、SHOPに並んだオリジナルグッズに心が躍っちゃうし、コラボメニューがあるカフェにも興奮しちゃうと思います。
また施設のあるエリア「GREEN SPRINGS」には素敵なお店がたくさんあり、もっと時間を取った行動計画を立てればよかったと悔やみました。