連載【癌で死ぬか死刑が先か・17】また刑務所に入りたくなったり、生活保護を受けてみたり...

※　お読みになる方へ : 事件の詳細が書かれており、不快な思いをされる場合がございます。ご注意ください。

　もうムショに戻ろうかという考えがチラついてきた。
その方が衣・食・住は保証されるので、近くの小さいスーパーで、大福モチを盗み、その足で交番に自首した。
ここでオマワリさんに説明をするのだが、オマワリさんは「その盗んだの100円ぐらいでしょう？それに店の人に見られたの？」とかで、、、
「100円ぐらいの物でねー、、、それは、気にしないでいいよ」と！！
まさかの窃盗を黙認！
しまいには俺に千円くれて「これで何か食べて、近くに池袋署が在るから、そこのオマワリさんに言って一夜ぐらいイスの上でも頼んで寝かせてもらいなさい」と。
「住民票の置いてある、区役所に朝一に行ってみたら？」とのアドバイス。

　俺は又、断われるのも嫌だし自転車で神奈川県方面に向かって、夜に居酒屋に入り、ちょっと飲み食いしてから、隣の女性客からバックを盗んで、近くの交番に自首した。
流石に、これで刑務所に入れるやろーと安心していた。
しかし、バックの中味も何も盗んでないし、被害者が被害届けを出さないと言う。
居酒屋のママさんも、被害届けは出さないと言う事になり…
１０日で留置所から、不起訴処分になり、母親が迎えに来ると言う。

　俺は正直、帰りたくなかった。
行った所で母親の男が居るし、ブツブツ言われてイラつくだけだ。
なので母親には、俺のブリヂストンの自転車を捨てる訳には行かないから、自転車で愛知県半田市に帰るから、先に行っていてと言うが、
流石に「バカな事を言わないの！どれだけの距離があると思うの！！」と言われ、仕方無く一緒に新幹線で帰った。。
半田市に戻り母親の住んで居るマンションに帰ると、やはり、ここは俺の実家でもなく、母の男のマンションであって、俺の居場所が無い事が、俺を失望のどん底に堕とす。

　俺は「市役所に行って生活保護を受けるよ」と伝え、翌日の朝に市役所に生活保護課を訪れて、ケースワーカーと話し合った。
ケースワーカーの人は「実家に戻れない」「親からの支援を受けられない」という状況でないと、生活保護は受けられないと言うので、母親に相談して、市役所から電話があっても「面倒はみれない」と伝えてくれと頼んだ。
その日に又、ケースワーカーと話をして、やっと生活保護を受けれる事になり、連れて行かれたのは、西尾市に在る、これまた貧困ビジネスをしている場所。

　ただ、ここは一人一室だったので、その点は良かったが、食事は最悪であった。
そもそも、料理を作っている人が、そこに住む同じ生活保護者であり、又、その人の作るものが不味いこと…。
おかずもショボくて…朝は、タカナ漬けと生玉子１コが出るだけ。
これで、食費が３万円も取られるのは納得が行かなかった。
部屋にポットも置いてはダメと言われるので、カップラーメンも食べれない。
テレビは在ったが、それ以外は何も無いのでケータイを充電しても、光熱費代が毎月１万５千円のボッタクリ。
それに管理費月１万円、月に貰える金が１万８千円。
日曜日は一日食事が無いので、その１万８千円から自分で買うしかない！
なので、ポットが使えないのがキツイ。
カップラーメンは近くのスーパーで100円で買えたので、わざわざ、コンビニでおにぎりを買って、コンビニのポットを借りてカップラーメンにお湯を入れてた。

　こんな生活では何も前進もしないと思い、半田市の不動産でアパートを探した。ナマポ( ※生活保護)はその全国の自治体によって、ナマポの貰える金が違うのだ。
要は、その土地の物価で左右され、家賃設定も決まっており、たとえば独身者の場合は４万５千円以下までと決められている。
保証金・敷金・礼金も払ってくれるが、この制度は１回までである。
２回目は家賃以外は出してくれないので、この手を使ったら、自分でお金を払って、アパートを探さなければならない。
まあ、それがナマポの人には難しいのだが、今の賃貸契約には、借りるのに大変やし、保証人を付けても、プラス保証会社にも入ってくれないとダメだとか…。
何か昔から考えたら詐欺じゃねーのかって思える。
エイ◯ルは特にいい加減だった。別にカギを交換する必要もないのに、替えた方がいいだとか…もちろん断ったが、室内の掃除したら、風呂場の洗面のパイプの中を外したら、髪の毛やらハブラシが出てくる始末。
火災報知器は風呂場の前の廊下の天上に取り付かれている為に、冬場は風呂から出る度に湯気が廊下に出て警報器が鳴るので、うるさいし、近所がびっくりするので、警報器を止めた、使えん、役立たず！

　まぁ、俺のだんらんの話はいいとして。
ここで、またしてもパクられる。３回目の刑務所だ。
罪名は窃盗だ！４千円ぐらいのパチンコの玉を盗んで現行犯って奴。
俺は、パクられる前に２回自殺未遂していた。
練炭自殺と大量の睡眠剤を飲んだが、どちらも未遂で、終った、、、、
孤独というか心が満たされていない、虚空感。
だからっていって、窃盗をしていいって理由にはならないけど、、、
後先考えずに、直ぐに行動してしまう…悲しい性なのだろう。

　で、この事件で１年の実刑を受ける。務めた、ムショは名古屋刑務所だ。悪名高いムショと存じている皆様方が多いでしょう。
俺もこの名古屋刑務所を務めてみて、全ての刑務所が悪いとは言わないが、悪い奴はトコトン、、ヤクザ顔負けなぐらいの国家公務員の法令など、存在しないかの様な、滅茶苦茶な人権侵害のオンパレードもいいところ。
俺が務めていた工場の担当は相当の受刑者から嫌われていて、広島の方の有名なヤクザの組の直参の組長が居たのだが、その担当に相当キレているらしく、殺害計画に誘われたぐらいだ（苦笑）
そんなヤバイ誘いは断ったが、他にも声を掛けたらしく、流石に誰１人も誘いを断わってた。
１人ではさすがに無理だと悟ったのか、その件は流れた。
だがヤクザらしいエピソードだった。

　だが出所近くに、その担当の嫌がらせで、何もしていないのにドカドカと５―６人の刑務官が、工場に来て俺ともう１人別のヤクザの人が連行されて、調査→懲罰を１５日受けるハメになってしまった。
本当に、意味不明だ！お笑い芸人のジェイソンなら、「ディス　イズ　ジャパニーズ　ピーポ？」と言ってくれるだろう！
この件では俺も納得行かなかったし、相当にその担当の行為に対して、ブチ殺したい気分だったので、前述に述べた、殺害計画に乗っていればと本気で思った。
それぐらい、当時の名古屋刑務所はデタラメな苛めは当たり前で、工場のカメラを観ればハッキリと俺ともう１人のヤクザの方が無罪だと証拠もあるのに…。
官の偉いさんは一切、受刑者の肩を持たず、部下の同じ刑務官の肩を持ち、権力を嵩に切る悪党は許せない。

　後は、ムショの中の受刑者は嘘付きが多いこと！
別にその受刑者が俺より早く出所するからって「ハガキ入れとくよ！」とか
「外で飯でも食べよう」とか頼んでもないのに、相手から言ってくるが、
１０人に１人か２人ぐらいの人からハガキが入ってる程度。
ハガキ１枚も入れない奴が、やれ、シャバではマイバッハを乗っていたーだとかベントレーだとか、ベンツ云々と、、、
ヤクザ者はもちろん、見栄を張るが、小者のクセに見栄を張る奴もそこそこ多いので、聞いているだけで、ハイハイって感じで左から右に聞き流す。

　ムショの犯罪者の中でも、嫌われる、犯罪がある。それはピンク系（性的犯罪で、特に子供への性犯罪は忌み嫌われる）それと子供を殺めた者で、殺害方法が残虐なのは嫌われている。
今はピンク系の男は大阪刑務所に入れているそうだ。
あと面白いのが、少年院や初犯刑務所では、看守の事を先生と呼ぶ事だ（笑）何の先生なのかサッパリ判らんが、累犯刑務所では、殆どの受刑者が看守のことを「オヤジ」と呼び敬意を払う。
「オヤジ」には「おやっさん」と呼ぶのだ。
看守同士はお互いを先生とか先輩とか呼んでいる（笑）
何の先生だってーの？

　俺が初犯で務めたムショで、工場で仕事中に、おでこが痒かったので、手で掻いていたら、交代の先生が「松井！それ敬礼してるんじゃないだろうなー」と
俺は「いやー先生、敬礼なんかしてませんよ！」
先生「そうかーならいいがー」と、、、
俺が敬礼をして、バカにしてるのかーって思ったのか知らんが、そんなことは100％しない！
初犯刑務所は基本というかヤクザ者は入れない。
厳しさで言うと初犯刑務所は厳しいと思う。
福井刑務所はとにかくイワシの焼き魚が多く、これがまた批判が多く殆どの人が残念やった！
ムショの中にもエリートが居る訳で、要は計算工とか図書工とかetcは
仮釈日数が一般の受刑者より多く、出るのが早い。
全国の拘置所に務めている人は、エリートであって、累犯も居る所はあるが基本が初犯の方ばかりだ。

　選ばれた人がなれるのだが俺には縁もない。
そもそも高卒以上だろう！名古屋刑務所は外人が多かった。
特にブラジル、中国も多く喧嘩もした。
名古屋の名東警察署の留置所での雑居房４人部屋に入ってたのだが、全て外人だったのは初めての経験。
中国人・韓国人・ペルー人。ペルー人以外は全て日本語が喋れたので、直ぐ仲良くなれた。
ペルー人に関してはジェスチャーと言葉を混ぜ乍ら、スペイン語を教えてもらっていた。もう忘れたが、、、
中国人はデブだったなー。
名東の自弁はなかなか旨かった。
留置所で出る、弁当とは別にお金を出して頼むのだが、カツ丼・親子丼・うどん、そばetc１０種類以上は在ったと思う。
これは全国の留置所も同じかと思えば、まったく違う。
そもそも留置所によって飯が悪かったり、自弁も、同じ弁当しか買えなかったり、色々だー。

これは、刑務所でも同じで、全国の刑務所が同じ処遇って事はない。
基本中の基本だけで、ムショにより食事が悪いとか、今は特に良かったムショもこの不景気で、飯の内容がガラッと変わった。
いや、コロナで余計に変わったのだろう！
ロシアがウクライナに侵略してから特に酷いと聞く。

　そんな名古屋刑務所も出所して、行った先が名古屋市中村区の生活保護課に相談に行く。
生活保護を受ける前に名古屋シェルターと言う、名古屋城の直ぐ近くのシェルターに２週間入れるとの事で、シェルターに入った。
ここで生活していて気付いたのが、夕飯の弁当は出るが朝と昼が出ない事だ。
朝の８時からシェルターの人を何人か集めて、シェルター中の掃除や名古屋城の回りを掃除をして、１日５千円貰えるらしい。
それで、朝・昼飯を買うらしい。
共同の台所があるのでそこで、安上がりの為に自炊している人も居た。
１人が週に３回ぐらい掃除の仕事を組ましてもらってたので、週１万５千円で１週間、朝と昼飯をその範囲で食べていた事。
問題は俺で…足が悪いからと言うことで、掃除のメンバーに入れてくれなかった事。
じゃー俺は朝も昼も食事するなって事か！？
好きで足が不自由になった訳でもないし、こんなシェルターに入れられて、余りに非人道的だ。
障害者差別やし、中村区役所のケースワーカーもケースワーカーだ（怒）
俺が足が不自由だと伝えているのにも拘わらず、こんなシェルターに入れて、掃除の仕事をしないと１日５千円出ないとか…
その金で朝・昼の食事代にしてくださいとかの証明も無く酷い扱いだ！
シェルターに入る人間は底辺な人間やが、その中でも俺は、朝・昼も食べれない、もっと底辺な人間だった。

　中村区のケースワーカーが天白区の山の方にあり、自立施設を一緒に見学した。
タクシーでだ。片道６千円はしてただろう。
でそのタクシーを外で待たせてた…色々と説明を聞いて、俺にはこの施設はダメだと思った。
先ず、立ち乍ら、施設中を掃除を交代でしたり、月に３千円しか貰えない事。
山の方なので自転車は大変やし、近場に何もないコンビニもバスを利用するにも、山を登り下りるにも大変な事だ。
ハローワークになんて、とてもじゃないが行けないし、仕事を見付けても、この施設から通うのは無理だと判断したので断った。

　タクシーに乗ったらメーターは９千円、シェルターまで１万５千円以上。そこから中村区役所に行くとして…税金で無駄遣いしてんなぁーって思った。
俺はもうこんな場所はうんざりだー。
シェルターで１人仲良くしてた人が、別の生活保護者が生活していてる施設に入ると言ってたので、その施設の番号だけ教えてもらって、２日後に電話してみた。
そうしたら、車で向いに来てくれる事になったので、緑区のここも貧困ビジネスやがシェルターよりはいいので、入る事にして、翌日に緑区役所に連れられて、生活保護が開始された。

　前から聞いていたが、生活保護課は１人で行くと中々受けさせてくれないが、例えば前述にも述べたと思うが、共産党関係の人や、弁護士、また、ナマポの内情に詳しい貧困ビジネスの人と一緒に行けば、まず大丈夫だ！
ここは、個室だが日曜日は食事が一切なく、金２万５千円で、１ヶ月生活しなければならない。
ここでもポットは持ち込み禁止なのだ！
こっちは高い光熱費を払っているのに、小型の冷蔵庫でさえダメで、施設に設置設置されている。
ジュース・ビール・タバコ・おつまみ・カップラーメン（１コ250円）お湯が出る自販機で、分かるように、とことん、ナマポの弱者から、金を奪う事しか考えてないし、ここは、土建業の下請けもしていて、何十人かは、同じ施設で働き乍ら生活しているのだが、、、
現場の人手が足りないと朝の４時半〜５時ごろに人の睡眠なんて関係なく、部屋に在る、内線が大きい音で鳴り響く、とても迷惑で都合のよい所だった。
俺は現場には出なかったが、現場までの送迎をよく頼まれた。
行き１時間半の所でも帰りを入れて３時間やが、850円しかくれない。
スーパー貧困ビジネスだ。。
これでは弱者は中々とアパートでさえ借りれない。
勿論、それをさせない為の貧困ビジネスだが…
貧困ビジネスから抜け出せない俺だった。

Vol.18に続く