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生還 : 憐れみの3章

この映画を見る前の週に、哀れなるものたちを見た。その映画を僕に勧めてくれた人にはもうこの憐れみの3章の話はできなくなってしまったので、ここに書いておく。覚書程度だけど。 タイトルの通り3つの章からなる3時間ちょっとのこの映画、見ている間じゅうずっとsanityとinsanity、(正気と狂気と言ったらいいんだろうか)の狭間にいるような感覚だった。自分が正常だと思っていることが異常なのか、異常な状態が続いているのが正常なのか、映画館にいる間じゅうその境界がどんどん曖昧になって

    • 結局ただの人:THE BATMAN

      バットマンとわたし 2012年、16か17歳のときにiPod Classicの小さな画面でバットマン ビギンズを見て以来、この黒いスーツのおじさんのファンになった。クリストファーノーランの三部作やPlayStation3のゲーム、(そんなに理解できなかった)カートゥーンを買って読んでみたりして、10年後にこの映画が公開された。思春期に体験したノーラン三部作がすごく印象的で、その先入観で楽しむことができるのかわからなかったけど、梅田の劇場ですぐにそんなことは忘れてただただ熱中し

      • 蕎麦屋で禅

         日焼けした紺色の暖簾の小さい蕎麦(うどん)屋で、カツ丼がどうしても食べたくなることってありませんか。  この前もそんな欲求がやってきて、そういえば中華料理屋の隣にそんなのあったなと思って家から少し離れた蕎麦屋に初めて行ってきたんですよね。入って一発目のお姉さんの接客は味気がない。まあいい。  畳に座って娘さん(かな?)が注文を取りにきて、外出するときにいつもしているイヤホンを外して、カツ丼と迷ってすき焼き丼セットを頼む。またイヤホンをつけて録音の深夜ラジオを聞く。違和感