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アフォーダンスを知覚するために
最近はいろんなメソッドなどで認知の重要性が取り上げられるようになりました。
自分も認知はサッカーというスポーツを理解する上で必要不可欠の要素だと考えています。
ただ自分は認知と同じくらい知覚も大事ではないかとも思っています。
今回は認知と知覚の違いとアフォーダンスについて書いていこうと思います。
感覚、知覚、認知とは?
感覚、知覚、認知の3つの違いについてまずは説明をします。
基本的には感覚→知覚→認知のプロセスで情報を処理しています。
「感覚」一般的には目、耳、鼻、肌、舌から得られる外部からの単純刺激。
「知覚」感覚機能から得た刺激の種類を整理し無意識化で意味付けすること。
「認知」知覚によって得られた情報をもとに、意識上で自分の過去の経験や知識、記憶に基づいて情報を解釈、理解、学習すること
最初はわからなかった物も学習していき、次第に無意識的にそのものがなんなのか判別がつくようになることもあります。
コーヒーを元から知っていたりすれば無意識に上の図のものがコーヒーと知覚することもあります。
これが感覚、知覚、認知の違いになります。
アフォーダンスとは
この3つの違いを定義したところで今回のアフォーダンスについて書いていこうと思います。
アフォーダンスという考えはギブソンさんが1966年に提唱しました。これは知覚する物や環境が自分たち(生物)に提供している意味を言います。
例えばマグカップに入ったコーヒーを知覚すると、このコーヒーは「掴んで飲むことができる」という可能性を提示(アフォード)してきます。
つまり「自分とコーヒーの間には掴んで飲むというアフォーダンスが存在する」とも言います。
この関係性は知覚プロセスのみを使用しており、私たちが情報を解釈する認知機能は関係ありません。
物や環境が可能性をアフォード(提供)するものであって、自分たちがそれを知っていることやそれがマグカップに見えないなどは関係がないからです。
あくまで環境が生物に情報を与えているからです。
アフォーダンスを知覚することによって、脳内での認知処理がショートカットされるので素早く実行に移すことができます。
サッカーに置き換えるとどういう意味になるでしょうか?
サッカーで自分がアフォーダンスを得ているものを考えていきます。
「ボール」
「ピッチ」
「相手」
「味方」などなど
とあげてきたのですが、そもそも1つ1つの物にアフォーダンスが存在するのか、全体の環境からアフォーダンスを得ているのか全くわからないです。(自分はどっちもなのかなとも思っています。)
そしてものや環境が与えてくれるアフォーダンスは1つではないです。
サッカーボールと選手間ではパス、シュート、ドリブル、RWB、クリアなどのアフォーダンスが存在するように他のもの/環境も沢山あります。
では環境から得ているアフォーダンスをできるだけ多く知覚するにはどういう練習が必要なのか。
佐々木正人さんのアフォーダンス入門編の本によると「アフォーダンスとは行為をすることで理解し、利用することのできる環境の性質であり、それを利用することで人間(動物)は行為を進化させてきたとされる。」とアフォーダンスを説明しています。
まずは行為をすることで理解させます。(trial and error)
ここでは認知機能が働きます。
認知機能で理解したものを知覚だけで反応できるようために、理解したものを利用することのできる環境を作ることも重要です。(徐々に認知から知覚だけのプロセスにしていく)
そして成長。
理解 → 経験 → 成長
この内容も踏まえて練習を作るのであれば、
・なるべく長い時間選手たちにサッカーをする時間を作る
長々と練習前に説明をしない
不必要に練習を止めたりしない
待ち時間をあまり作らない
練習間の準備をスムーズに
・練習メニューを同じようなものばかりにはしないが、違うものばかりでもいけない(認知プロセスと知覚プロセスのバランス)
・ポジションが近い選手たちはなるべく同じチームで
などの要素が練習を作る際に思い浮かびました。
こうしてみるとサッカーを「教えるのではなく環境から学ばせる」の方がしっくりくるような気もします。
ただ何が正しいのかはわからないので、大前提にまずは選手を人として知ること。そしてどうアプローチをしていくかになります。
もちろん理解(認知)するために教えることも必要です。
ただコーチとして選手がたくさんのことを学べるような環境(アフォーダンス)を作ることはとても大切じゃないのかなと思っています。