チームビルディング〜集団凝集性〜
社会心理学の言葉で集団凝集性というものがあります。
スポーツにおいての集団凝集性とは主にチームメンバー間の結束力や魅力、チームとしての一体感、チームの目標にどれだけ選手が努力できるかの度合いの総量になります。また集団凝集性とはチームの中で人と人とが関わりあう相互作用に働きかける力、選手がチームにとどまるために作用する力の総称とも言います。
チームワークと少し似ているのですが、集団凝集性はチームワークが発揮される前から存在しチームワークを発揮、理解する上で集団凝集性は必要になってきます。
この集団凝集性はチームパフォーマンスと密接な関係があると言うことも研究で明らかになっています。EvansとDion(2012)が行なったメタ分析では高い集団凝集性をもっているチームは低いチームに比べて確実に高いパフォーマンスを記録したと結論付けています。
そしてこの集団凝集性には二つの種類があり、
課題的志向 チームとしての目標を達成することに魅力を感じ集まっている
社会的志向 そこでの対人関係や交流に情緒的満足に魅力を感じ集まっている
の二つに分かれます。
この二つが満たされることで高い集団凝集性があるとされています。
また選手個人にとってのチームの魅力で引きつけられている場合と、そのチームがもつ魅力に個人が引きつけられている二つの可能性があります。
それらをまとめると
となります。
課題的志向 チームとしての目標を達成することに魅力を感じ集まっている
社会的志向 そこでの対人関係や交流に情緒的満足に魅力を感じ集まっている
集団凝集性を高めるには?
そしたらどうやってこの集団凝集性を高めることができるのかですが、CarronとSpink (1997)は三つのカテゴリーに分けて考えています。
Team Structure (構造)
明確な役割を与えることとそれの合意
リーダーシップ
チームでの社会規範と課題規範の確認
Team Environment (環境)
一体感(物理的な距離も近い方がいい)
弁別的になる(チームカラーや練習着など)
Team Processes (過程)
中心の選手が率先してチームのために動く
個人としてのゴールだけでなくチームのゴールをいくつか設定する
個人主義ではなく協調性を重視した環境を作る(「チーム」として戦うなど)
このような要素を満たすことで集団凝集性を高めることができます。
いくつかのものはすぐ実践できますが、難しいものもあります。言ってしまえば当たり前なものばかりなのですが、実際に全部満たしているかと言われたら自分のチームは怪しいところもあります。
他にもいくつかの方法があるのですが、目的は課題的志向と社会的志向の二つを高めていくことになります。
ちなみにイングランド代表はこの前のW杯予選スコットランド戦の前に、この集団凝集性を高めるため(それだけではないが)二日間の軍隊経験をスタッフと選手で行っています。
軍隊経験をしろとは言いませんが、この集団凝集性を高めるために何か普段の練習の他にやってみるのも面白いかもしれないですね。
この集団凝集性なのですが極端に高いと逆にパフォーマンスを下げるという結果も出ています。
なのでコーチとしてはチームの状況に目を配ったりであったり時にはアンケートなどをやってみて、しっかりチームをコントロールすることが大事になっていきます。