鰻屋の漬物うまい説
鰻屋で食べる、鰻重なんかについてくる漬物がうまい説をとなえたい。
あの、きゅうりのぬか漬けと瓜の粕漬けなんかがちょこっと出てくるやつ。
おいしい鰻屋は漬物もおいしい気がする。
ちなみに、うちには祖母の形見分けでもらったぬか床がある。
これがなかなか美味しく漬かるのだけれど、このぬか床、もとはどこからやってきたのだろうかとふと考えた。
祖母が一から作って熟成させて漬けていたかもしれないけれど、はじめはやっぱり実家のぬか床からの床分けだったんじゃないだろうか。
今はもうないが、祖母の実家は日本橋で鰻屋を営んでいて、祖母はその鰻屋のぬか床を嫁ぐときに持ってきた。
確信はないけれどなんとなくそう思うのは、今は遠い親戚がやっている鰻屋で食べた漬物の味が、祖母の家で食べたものとよく似ていたからだ。
お盆、お正月、お彼岸。
親戚が集まる席で祖母が出すぬか漬けはすごく美味しく、私は大きめの器に入ったぬか漬を、1人で全部食べてしまうのではという勢いで食べていた。私があんまり夢中で食べるものだから、祖母は特別に私の前にぬか漬けが入った器を用意してくれるようになった。
祖母の葬儀の後、親に、形見分けで何か欲しいものは?と聞かれ、私はぬか床を少しもらった。家に持ち帰ってそれを種として、買ってきた新しいぬかを足してぬか床を作り、きゅうりを漬けた。
でもなんかちょっと味が違うかな、やっぱり冷蔵庫じゃダメかな、うちには床下なんて無いもんなーと、最初はいまいちな感じの出来だったのが、最近は冷蔵庫でもだいぶ似た味に美味しく漬かるようになった。
あれはやっぱり鰻屋のぬか床だったんだろう。そう思っている。