チキソ性って何?生クリームとエポキシ樹脂に共通する性質とは?
チキソトロピック性とは直訳すると揺変性といい、「ある物質が外からの負荷等により粘度が低下するものの、負荷がなくなると粘度が元に戻る性質のこと」をいいます。
略して、チキソ(ちきそ)性です。
例えば、生クリームをかき混ぜる時には、ほとんど抵抗がありません。ですが、デコレーションとして、ケーキの上に絞り出された生クリームは崩れずにその形を保つことができます。このような性質をチキソトロピック性がある、といいます。マヨネーズ、ケチャップなどもその性質を持ちます。
塗料などもチキソ性があるため、液ダレが少ないのです。
それに対して、上のような水飴はチキソ性がないので上から落とした場合、トロトロと平らに広がります。
自動式低圧樹脂注入工法では、コンクリートのひび割れに『 エポキシ樹脂 』を注入して補修します。
エポキシ樹脂にはチキソ性があり、それはひび割れを充填するのにとても適しています。
注入には抵抗なく、しかも一度注入されたものは流下しにくいので、ひび割れ補修材料として効果的だと言えるのです。
ひび割れにエポキシ樹脂を充填することにより空気や水分の侵入を防ぎ、コンクリートの中性化を防ぐことにより鉄筋の錆びを防ぎ、強度を回復させることができます。
【 エポキシ樹脂の歴史 】
エポキシ樹脂の始まりは、1938 年(昭和 13 年)スイスの化学者 Pierre Castan(Bros. 社、チューリッヒ、スイス)が、揮発物を放出しないで、 しかもほとんど収縮なく硬化し、強固に接着する強度の高い合成樹脂について特許を請求したことです。
歯科医学の分野に応用されていましたが、後にChiba 社と共に建築用エポキシ樹脂が開発され、1945 年(昭和 20 年) には接着剤としての特許が取得されました。
日本では、1962 年(昭和 37 年)にヨーロッパ留学から帰国した今泉勝吉博士(当時:建設省建築研究所)によっ て紹介されました。その後の研究成果を基に、建築現場での実用的で斬新な工法として浸透していきました。
1967 年(昭和 42 年)には、全国から献金された5,000 万円を投じた原爆ドームの保存工事に 15t のエポキシ樹脂が注入と接着に使われ、世界遺産の保護に貢献しました。
1988 年(昭和 63 年)に広島市が行った保存調査では、エポキシ樹脂による接着の強度が 20 年前とほとんど変わらず、健全であることが実証され、エポキシ樹脂の耐久性に高い評 価が与えられました。
エポキシ樹脂は、1981 年(昭和 56 年)に JIS A 6024 「建築補修用注入エポキシ樹脂」 として JIS化され、1992 年(平成 4 年) の改定では、「自動式低圧樹脂注入工法」 や 「注入口付アンカーピンニング樹脂注入工法」 等に適合する注入エポキシ樹脂の基準ができました。
1998 年(平成 10 年)の改定では、軟質形エポキシ樹脂が新しく導入され、2015 年には、JIS A 6024「建築補修用及び建築補強用エポキシ樹脂」 と名称を変更し、注入エポキシ樹脂だけでなく、欠損部充填用エポキシ樹脂モルタル、ひび割れ部 U カット充填用可とう性エポキシ樹脂、ひび割れシール用パテ状エポキシ樹脂、連続繊維シートによる耐 震補強工法に用いる含浸接着エポキシ樹脂の基準が追加されました。さらに、各種エポキシ樹脂の規格化に伴い、各種試験方法も規定され、高度な品質管理ができるようになりました。
1992 年(平成 4 年)自動式低圧樹脂注入工法は、建設省大臣官房官庁営繕部監修(当時)の[建築改修工事共通仕様書]3 節コンクリー ト打放し仕上げ外壁の改修に正式採用され、1989 年(平成元年)には、都市再生機構により、[保全工事共通仕様書]4 節コンクリート打放し工法修繕にひび割れ修繕工法として自動式低圧樹脂注入工法を正式採用され、いずれも使用するエポキシ樹脂はJIS A 6024が指定されています。
※参考
自動式低圧樹脂注入工法ガイドブック 低圧樹脂注入工法協議会(LPIS)
最後まで読んでくさだって、ありがとうございます。
よかったら、他の記事もご覧になってください。
サイトをオープンしました。施工例も多数、紹介しています。
コンクリートのひび割れ補修専門店 フロッグ工房
公式サイト https://frog-kobo.com/
#チキソ性 #チキソトロピック性 #コンクリートのひび割れ #ひび割れ #ひび割れ補修 #樹脂注入工法 #低圧樹脂注入工法 #自動式低圧樹脂注入工法 #基礎のひび割れ #擁壁のひび割れ #地震によるひび割れ #エポキシ樹脂 #フロッグ工房 #補修工法 #補修器具 #注入器具 #地震対策