【超概説】PCR検査とは何か。
昨今のコロナ関連ニュースで「PCR検査」という言葉を頻繁に耳にします。よく分からないままこの言葉を使っている人は多いのではないでしょうか。筆者は未だに基本的な知識を伝えているテレビニュースを見たことがありません。
この記事では、学生時代には多い日にはPCR検査を一日300回(実施する側として)行った経験を持つ筆者がものすごくざっくりPCRについて解説したいと思います。ニュースでは「PCRをそこまでやっても意味がない」とか、「精度があまり信頼できない」とか色々言われていますが、この記事を見ればある程度実情を理解することができるようになると思います。政府の方針に意見を持つためや、自分の行動の参考にしていただければ幸いです。
PCRはノーベル賞を取っている超有名な手法
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法は1983年に発明された手法で、一言でいうと、「ちょっとしかないDNAでも大量にコピーできる方法」です。DNAはものすごく小さくて目に見えないため、検出したり実験したりするためには大量のDNAが必要だったのですが、PCR法のおかげでこれまでできなかった研究が爆発的にできるようになりました。1993年にノーベル賞を受賞していますがこれは相当すごいことで、普通ノーベル賞というのはiPS細胞のような大発見に与えられるものに対して、PCRは単なる実験の一手法であり何か発見をしたわけでもないのにもかかわらず受賞をしています。
超ざっくりしたPCRのやり方
実はPCR法は難しいものではなく、生物化学系の大学生なら授業で真っ先に習うような基礎中の基礎という位置づけの実験手法です。超ざっくりいうと以下のようなやり方です。料理レシピのように考えてください。
1.以下を混ぜます。
水 5 マイクロリットル(mlの千分の一)
専用試薬 2マイクロリットル
DNAをコピーする酵素 1マイクロリットル
DNAが入っている検体 2 マイクロリットル
2.混ぜ合わせたものを専用の機材を使って例えば以下のように温めたり冷やしたりします。
95℃ 30 秒
58℃ 20 秒
72℃ 20 秒
※このサイクルを35回繰り返します。
3.DNAが大量にコピーされたので、これを元にウィルスのDNAがあるかないかチェックします。(やりかたは省略)
ここで注目していただきたいのが、検査がマイクロリットル単位という微量な点です。そのため、空気中の塵が入ってしまったり、ちょっとした温度の違いで酵素が壊れてしまうなど、些細な操作が原因で正しい検査結果が出ないということがしばしば起こるのです。また、省略していますがこの作業に使う検体の調整準備や解析作業には結構な時間と労力がかかってしまうのが現状です。
まとめ。判断のためには正しい理解から。
超ざっくりと概要をお伝えしましたが、まずはPCRについて最低限の知識を持っていただけたかと思います。この記事を出発点として、さらに知識を深めていただき、コロナ問題を解決するために政府や我々がどういう風に動くべきなのかを考えられると良いですね。
カエル
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