熊野古道

ブラタモリ熊野特集・海に投げ込まれた坊さん・熊野観光コースの話

20日放送のブラタモリは“熊野~なぜ熊野は日本の聖地になった?~”ということで、世界遺産でもある熊野の霊場について特集していた。
僕は昨日観光で熊野に行ったばかりだったので見ていて結構テンションが上がったのだけど、その時に世界遺産センターで見た伝承がタモさんのコメントとリンクしていて面白かったのでちょっとnoteに書いてみる。

ブラタモリのオープニングは、熊野古道から始まった。

↑こいつは熊野古道を通った時に撮ってきた写真。

そして場面は変わって、那智の滝を御神体とする飛瀧(ひろう)大社。

↑一段の落差では日本一らしい。
熊野三山の1つに数えられる熊野那智大社もこの那智の滝が御神体のようだ。

↑熊野那智大社(人は一応ぼかしを入れてみた)
那智大社は神社なのに護摩木を焚いたり、すぐ隣に青岸渡寺というお寺があったりと神仏習合が激しい神社らしい。

↑青岸渡寺(せいがんとじ)

山で修業をする山伏が、熊野古道を整備したり、もともと別々だった3つの信仰を熊野三山としてまとめ上げたり、京で観光のPRをしたりと一大プロデュースをしたおかげで今の熊野があるらしい。
山伏に代表される修験道は日本の山岳信仰を仏教に取り入れた宗教形態だから、神仏習合が激しいっていうのもここにつながってくるのかな?

ってなわけで熊野那智大社の文化的側面はざっくり言うとそんな感じだったんだけど、ブラタモリなんでさらに地形的な側面にも触れていた。

熊野古道の石畳に使われた石は周囲の谷から切りだした柔らかい砂岩。
そして、那智の滝の岸壁はマグマに由来する硬い流紋岩。

那智の滝がある地域はもともとマグマ由来の硬い岩が砂岩に覆われていた土地だったのが、川による浸食で砂岩部分が取り除かれて硬い流紋岩だけが残り、それを岸壁として那智の滝が現れた、というメカニズムらしい。
火山活動で流紋岩が形成され、降水量の多い気候は浸食作用によって砂岩が形成され、さらに削れて那智の滝ができた。

さらに、那智の滝がある紀伊半島は太平洋プレートとフィリピン海プレートによって押し上げられることで急峻な地形となっている。
急峻ということは高低差の割に海に近いということだ。

海にほど近い場所に御神体である那智の大滝があるという地理的特性が、またさらなる信仰の形態を産んだ。
海の向こうに浄土があるという補陀落信仰と結びついたのだ。

補陀落を目指した僧たちは釘を打って出られなくした棺桶船で、ありもしない浄土を目指して旅立ったのだ。
これを聞いたタモさんの、「誰かもうやめようっていう人はいなかったのかね・・・。」というコメントが印象的でした。

というわけで、ここまでがブラタモリの話。
続いては旅行で知った熊野の伝承について。


熊野本宮大社前のバス停を降りてすぐのところに世界遺産センターという施設がある。
その中に、熊野に伝わる妖怪の伝承をまとめたパネルがあった。
今回話したいのはその中の“ヨロリ坊”という妖怪の話。

上に書いたような補陀落行きを目指す行者の1人に、金光坊という者がいた。
この金光坊は生への執着が強く、船を抜け出して浜へ打ち上げられたのだけど、すぐに捕らえられて海に投げ込まれてしまった。
金光坊は死に、その怨霊がヨロリ(魚の名)となった。
とまあそんな話。


あくまでこれは伝承だから、この物語の中で行われたような殺人行為もきっと実際に起こったことではないのだろう。
だから、外部の価値観からすると明らかな殺人行為であっても宗教的な妄信の上では正当化されるのか、みたいな教訓めいたものはそれほど的を得ていないんだろうと思う。

でもこの話を聞いて思うのは、行者の誰もが盲目的に補陀落の存在を信じていたわけではなかったんじゃないかということ。
船に乗せられて補陀落へ行くということは、当時の感覚としても、これで浄土に行けるという宗教的な希望に満ちた行為ではなくて、明確な死に向かう行為として行者達に認識されていたのだろうと思うのだ。
そうじゃないとこの伝承自体が生まれることはなかったんじゃないかという気がする。

誰もがその本質が自殺であると薄々気づいていながらも約900年もの間この習慣が続いていたことは、妖怪が出るという物語よりもよっぽど恐ろしいことなんじゃないかと思うわけです。

まあ頻度的には40年に1度とかだったみたいだから、死を間近にした老齢の行者がワンチャン浄土行きを狙ったということかもしれないけどね。


そんなわけで海に投げ込まれた坊さんの話でした。
最後に実際に熊野三山を観光したコースを紹介しようかな。
新宮駅周辺のホテルに前日入りして、熊野速玉大社・熊野本宮大社・熊野那智大社を1日で回るコース。

6:30 起床。ホテルで朝ご飯。

7:30 徒歩で約20分。熊野速玉大社へ。

7:50頃? 熊野速玉大社でお参り。神社の写真を撮る。

8:10 徒歩で約20分。新宮駅前へ。

8:40 本宮大社行バス(熊野交通)発

9:41 本宮大社前着(1540円)。階段を上って熊野本宮参り。神社の写真を撮る。世界遺産センター内をふらつく。

10:40頃? 超早めの昼ご飯。熊野名物のさんま寿司と古道うどん。めはり寿司というのも名物らしいのだけどそれは食べなかった。

11:15 新宮行バス(熊野交通)発

12:16 新宮着(1540円)。

12:30 紀伊勝浦行バス 発。停車箇所が多くてやたら時間がかかった。おそらく電車の方が速い。

13:10 紀伊勝浦着。

14:10 那智大社行バス発。往復券1000円購入。電車で行けば1時間前のバスに乗れたかも。

14:34 那智の滝前着。階段を下りてお参り&写真。歩いて那智大社に向かう。

15:00頃? 那智大社お参り&写真。

15:30 熊野古道を下って大門坂バス停へ。(那智大社バス停の奥らへんに下る道があった)

15:56 大門坂バス停から紀伊勝浦行きバス発。結構早めに歩いて時間ギリギリだった。次のバスは30分後。

16:15 紀伊勝浦着。すぐにバス停前の大和という店に入って紀伊勝浦名物のマグロを食う。16:30ラストオーダー。これを逃すと多少移動する必要が出てくる。

18:02 だいぶ時間を持て余した後特急くろしお(新大阪行)で白浜へ

19:27 白浜着・翌日は子パンダを身にアドベンチャーワールドへ。

神社なんで階段がかなり多かったけど結構休みなく歩いてるのと、あと1人だからサクサク回っちゃったけど数人で行ったら15:56の大門坂バス停がかなり厳しいと思う。
次のバスも30分後に出てるから問題ないっちゃあ問題ないけど、そうすると晩御飯のマグロを食べるところが結構限られてくる。

そこから特急くろしおまで結構時間あるから、駅前の足湯に入ったりのんびりするといいと思う。
タオルは忘れずにね。

以上。

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