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科博ディスカバリートーク「生物の大分類」レポ

先週、国立科学博物館でやっていたディスカバリートーク「生物の大分類」というものを聞いてきたのでそこで聞いた話のまとめなんかを。 ディスカバリートークというのは毎週土・日曜日に研究者が科博にやって来て行われる30分くらいの講演のことだ(僕が行った回は講演15分、質疑15分だった)。 前日、twitterでその講演がやってるというのをたまたま知ったので、ふらっと行ってみた。 講演は当日受付、定員は50名で聞けるのは先着順。 僕は初めてで勝手がわからなかったから30分くらい前に

    • ブラタモリ熊野特集・海に投げ込まれた坊さん・熊野観光コースの話

      20日放送のブラタモリは“熊野~なぜ熊野は日本の聖地になった?~”ということで、世界遺産でもある熊野の霊場について特集していた。 僕は昨日観光で熊野に行ったばかりだったので見ていて結構テンションが上がったのだけど、その時に世界遺産センターで見た伝承がタモさんのコメントとリンクしていて面白かったのでちょっとnoteに書いてみる。 ブラタモリのオープニングは、熊野古道から始まった。 ↑こいつは熊野古道を通った時に撮ってきた写真。 そして場面は変わって、那智の滝を御神体とする

      • 口で音を聞くカエルの話

        前回のディッキンソニアの話は新しい道を模索したものの結局生き残ることができなかった生き物の話だったわけだけども、それじゃあちょっと寂しいなあということで、今回は今でも生き残っている生き物の話を。 タイトルに書いてるけど、口で音を聞くカエルの話。 口で音を聞くカエルってこれだけでもうなんだそれって感じでちょっと面白いけど、他のいろいろな情報と照らし合わせると実はもっと面白い話になるんじゃないかと思う。。。 当たり前の話だけど、普通音は耳で聞く。 で、人間含め哺乳類の耳には、

        • 可能性を模索したディッキンソニアは、

          今日は書くのが面倒なので前に別のところで書いたものを。 今回の話はディッキンソニアという、知る人ぞ知る、たいていの人は全く知らない生き物の話です。 それではどうぞ。。。 生き物はいろんな種類のカテゴリで分けられている。動物だったら人間が含まれる哺乳類とか、爬虫類とか鳥類とか、頭足類とか昆虫とかその他いろいろ。 これは所詮人間が決めたカテゴリなので後からもっと合理的な分け方が見つかったりして、分類が変わったり細かいマイナーチェンジが起きたりしてるらしい。 特にDNAが使わ

          弥生時代に起きたこと

          今日の話は、シアノバクテリアの細胞内共生と弥生時代の歴史ってなんかちょっと似てるって話。 細胞内共生については昨日書いたから今日は弥生時代の歴史について。 といっても、残りはそんなに書くことはないんだけど。 昨日書いた細胞内共生の話をまとめると、ミトコンドリアを取り込んで好気呼吸をするようになった生物がさらにはシアノバクテリアまでをも取り込んで、そうして生まれた植物が有機物を補充していて、人間その他の動物はその植物が補充した有機物を摂取することで生きている、という話だった

          弥生時代に起きたこと

          動物・植物の誕生の話(細胞内共生)

          今日の話は、シアノバクテリアの細胞内共生と弥生時代の歴史ってなんかちょっと似てるって話、にしようと思ったんだけど前半の細胞内共生まで。 まずは細胞内共生の話、の前に植物がこの世界で担っている重要な役割について話をしようかな。 そんなことを言うと、光合成によって酸素を生み出していることを思い浮かべる人が多いんじゃないかと思うんだけど、ここではもう1つ光合成の別の側面に着目してみようと思う。 この世界には動物、植物、微生物、様々な生物が存在する。 実はこの分け方は、生物の分類

          動物・植物の誕生の話(細胞内共生)

          進化と歴史とミームの話

          今日は前に予定してた通り、生物の進化と人類の歴史が連続してつながってるって話をしようかな。 でも何を書けばいいのやら。 人類の歴史か。。。 人類の歴史って、その本質はこれですなんて一言で言えるほど簡単なものじゃないんだろう。 経済とか宗教とか身分とか戦争とか、歴史を動かすファクターは本当にたくさんだ。 だから何をテーマにして生物の進化と歴史を絡めようかちょっと迷う。。。 進化は突然変異によって引き起こされる。 と言っても、1つ1つの突然変異はたいていの場合それほど大きな変

          進化と歴史とミームの話

          生物進化のビッグヒストリー

          今日は生物の進化の歴史と宇宙の歴史ってつながっているんだよーって話をしようと思う。 前回も書いたんだけど、そのときに書いた内容が時系列で起きたことを説明しただけでちょっと味気ないなって思ったんで別の視点で改めてなんか書けないかなと。 別の視点って言っても何から考え始めたらいいか難しいんだけど、生物の進化の歴史ってなんだろうってことから考えてみようと思う。 いやでも、生物の進化の歴史ってなんだろうな。 進化というと思い浮かぶのはダーウィンさん。 彼が初めて進化という概念を世

          生物進化のビッグヒストリー

          太陽と地球とアミノ酸の誕生

          前回の続きで、宇宙の歴史と生物の歴史ってつながってるんだよーってことでさっそくなんか書いていこうかな。 といっても、僕らを構成している原子は星の中の核融合とか特別重い星に寿命が来たときに起こるスーパーノヴァの時に作られたみたいな話を前にしたから、その続きから。 重い星の寿命とともに起こる大爆発 “スーパーノヴァ”によって様々な原子がガスや塵として散らばった後、そのダイナミックな誕生劇は始まる。。。 散らばったガスや塵はその場所その場所で少なかったりたくさんあったりとちょ

          太陽と地球とアミノ酸の誕生

          生物の進化をざっくりと

          さて、前回たっぷり前置きを話したし、今日は生物がどのように生まれて、その後進化していったのかという話をざっくりとだけどしていこうかな。 人間その他多種多様な生物がこの星で繁栄するまでには、やっぱり数々の試練や課題があったわけだよ。 まず、僕らの体を構成するタンパク質やDNAやRNA、もっと言うとこれらの素材であるアミノ酸とかヌクレオチドだとかいったものはもともと地球には存在しなかったわけだしね。 なんで、生物が乗り越えてきた課題の1つ目はもともとは地球に存在しなかったそ

          生物の進化をざっくりと

          ビッグヒストリーの前置きの話

          ビッグヒストリーという言葉があるらしい。 これはビッグバンから現在までの歴史を研究する学問分野で、わりと新しいもののようだ。 学校の授業なんかではそんな広い範囲を扱うことはほとんどなくて、範囲を絞って教えることが多い。 例えば人類が生まれた後のことなら、歴史とか考古学とかいった分野で研究されていて、高校でも日本史とか世界史の授業がある。 そういった1つの種族の1個人がやったことなんかには興味のない分野もあって、地球が生まれて以降だと地球科学とか古生物学とか、高校の科目で言

          ビッグヒストリーの前置きの話

          生物と宇宙と人類の歴史の話

          メンタルの問題でしばらく仕事を休むことになったので、止まっていたnoteを再開しようと思う。 とりあえず目標は休みの間毎日投稿。 結論まで行かなくてもとりあえず書けたところまででアップしていく方針で。 個人的に宇宙が始まってから現代までの歴史に興味があるから、そんなことを書いていくつもり。 宇宙が始まってから現代までってかなり範囲が広いけど、進化の話が好きとか宇宙が歴史がっていうんじゃなくて、それらの間にあると思っていた境界は実はそんなにはっきりとしたものじゃなくて、一

          生物と宇宙と人類の歴史の話

          フラットな視点で進化論と創造論をくらべる

          ・正直よくわかんなくない?っていう 進化論と創造論のどっちが正しいかって正直よくわかんなくない?って話なんだけどさ。 いや、僕自身は進化論が正しいと考えていてそれがなんでかってとこまでここで書こうと思ってるんだけど。 進化って基本僕らが生まれるずっと前に起こったことだし、創造論も神様が生き物作ったとこを実際に見た訳じゃないのにどっちが正しいってなんでわかるの?っていう。 日本に住んでたらまあほとんどの人が進化論が正しいって言うけど、でもなんで正しいのかちゃんと説明できる人

          フラットな視点で進化論と創造論をくらべる

          宗教と科学は対立するか ~ドーキンスvs.グールドAfter

          ドーキンスvs.グールドという本の読書感想文を書いたのだけれど、そこで書ききれなかったことの追記とか。 この本はドーキンスとグールドの進化のメカニズムをめぐる意見の対立が中心テーマだったのだけど、宗教vs科学みたいなことも書かれていて結構おもしろかったのでその内容と私見を。 ドーキンスは無神論者で、科学は客観的事実を知ることができるこの世で唯一の方法だと思っている。それに対して、グールドは宗教を道徳的システムと考えていて、善悪の価値観など科学で扱うことのできない問題もこの世

          宗教と科学は対立するか ~ドーキンスvs.グールドAfter

          読書感想文:ドーキンスvs.グールド

          動物行動学者リチャード・ドーキンスと古生物学者スティーブン・J・グールドの進化をめぐる考えの対立を整理した本。 私見も混じるけれど、以下はその内容のまとめ。 ドーキンスは「利己的な遺伝子」の著者。生物は遺伝子が乗る乗り物であって、環境による淘汰を受ける主体は遺伝子であると唱えた人物だ。彼の進化観は、環境に適応した小さな変化が何度も起こり、その変化が累積することで進化が起きるというもの。1つの遺伝子の変化は魚を両生類にするほどの大きな変化を引き起こすわけではないが、それによっ

          読書感想文:ドーキンスvs.グールド

          読書感想文:自然を名付ける―なぜ生物分類は直観と科学が衝突するのか

          人は誰しも側頭葉の特定の部位に生物を分類するための能力を備えている。驚くべきことに事故やウイルスによってこの部位にダメージを受けた人はイルカとペリカンの違いもわからなくなるそうだ。この分類能力は子供が自然の魅力に取りつかれ夢中になって恐竜の名前を覚える原動力であり、同時に科学にとっては客観的な真実を解き明かす際に邪魔になる主観という壁だった。この本では分類学が主観を乗り越えて、客観的な真実を導き出す科学へと脱皮するまでの激闘をリンネやダーウィンといった偉人を主人公にまるで小説

          読書感想文:自然を名付ける―なぜ生物分類は直観と科学が衝突するのか