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月夜の寝ぐせ
寝ぐせとは姉の長男、つまり甥っ子のあだ名だ。小さいころから髪が固くつむじまわりの毛が見事に立ち上がっていた。
姉に下の子が生まれて忙しかったころ大学生だった私はよく手伝いに行った。二人で近くの遊園地に行って宙返りコースターというものに初めて乗ったとき、あまりの恐怖に声も出なかった。
「首が胴にめり込むかと思った」
と6歳だったネグセは青い顔で言ったものだった。
その彼から久しぶりに食事のお誘いがあった。彼は建築会社に就職しもう30歳、わたしのことも「叔母様」と呼ぶようになりなんとなくこそばゆい。食事が一段落すると照れながら結婚式に出て欲しいと封筒を差し出した。その髪は短く整えられてっぺんだけちょっと高い小さない三角帽子のよう。こんなパンダがいたことを思い出した。
外に出るとビルの間に満月が誘うように顔を出している。
「月がきれいですね」
とネグセは言った。
相手間違えてるだろう、とわたしは心の中でツッコミを入れた。
おわり(406文字)
たらはかにさんの企画に参加させてください。
たらはかにさんお手間をおかけしますがよろしくお願いいたします。
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頭にはアンテナが・・・
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