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ショートショートの数々、知恵を絞って書いています。
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2022年6月の記事一覧

【鶴亀杯スピンオフ企画】七夕願いごと

【鶴亀杯スピンオフ企画】七夕願いごと



     平和の花火ぱっと咲けドカンと戦ふきとばせ

         世界平和を願う気持ちを花火に例えて書いてみました。
      サイズが心配です。規定のサイズに作ったつもりですが・・・

もう一つ、これはプライベイトです。
わたしの心の中に飾ります。😅

しろくまきりんさん、よろしくお願いいたします。

涙鉛筆

涙鉛筆

 鉛筆国では、血液型が8種類あります。4H型から4B型までで、4H型はお堅い公務員、HBは一般人、4Bは体の柔らかい新体操の選手やサーカス団員です。

 この国ではまたサッカーが盛んです。2B型から2H型の選手たちは、身体は国産の桜材、ペンシルブルーのユニフォームに身を包み、ワールドカップに出場できたのです。決勝戦の相手は南アメリカのかつてマラドペンシルを生みだしたチーム、グリーンのユニフォームが

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違う顔

違う顔

 新しい洗面台には三つの汚れ一つない鏡が張られ、新しい物だけが持つ匂いをかすかに漂わせていた。両側の幅の狭い鏡張りの扉を開けると三面鏡になり、私の横顔を写し出した。それは、まるで初対面の人の顔のようで、まじまじと眺めてしまった。自分の横顔は直には一生見られないんだ、と初めて気づいた。

 私の住むマンションは築20年、洗面台の下の配管よりわずかに水漏れが見つかった。数年は管にテープを貼ったりして使

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蒼い海

蒼い海

JISAIONE さんが、私の蒼い海の短詩を朗読と音楽で取り上げてくださいました。ぜひ、お聞きください。朗読はもち子(AI)さんで、下の JISAIONEさんのページに紹介されています。

ピアノとシンセサイザーの音がゆったりと重なり、海の広がりを感じさせます。笛のように聞こえる音は、カモメの鳴き声のようです。

下はPJさんの「曲から詩」という企画でで取り上げられた、White Rusty Wi

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ショートショート王様

ショートショート王様

 青い海に浮かぶトールアイランド王国は平和な国でした。しかし王様であるトール16世には、深刻な悩みがありました。背が低かったのです。牛乳をがぶ飲みしたり、特注のシークレットブーツをはいても、背が伸びるわけではなく、ノイローゼ状態は進んでいきました。

 ある日王様は国中に次のようなおふれを出しました。

 ショートという言葉を使ってはならぬ、もし使ったものには厳罰を与える

「ショートパンツ下さい

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天の川は渡れない

天の川は渡れない

 圭と知り合ったのは、私のブログ。「君の詩は素敵だね。いつか僕の住む町のイルミネーションの下を手をつないで歩けたらな」というコメント。まぁこんなこと書く?と、思ったが、そのコメントがいつのまにか私の心を
とらえ、メール交換に発展。そして、ついに圭の住む町で初めてのデートをすることになった。

 圭の住む町は、七夕飾りであふれていた。通りの両側からくす玉や短冊が重たげに垂れ下がり、通る人たちの肩に振

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動かないボーナス

動かないボーナス

 お釈迦様が、ふと下界を見ると、地獄の血の池でおぼれている男が見えました。あの男は生前経理部長で、皆のボーナスを上はねしていた男・・・もらえるはずのお金が入らず、自殺した社員も何人かいた、という許せない男・・・

 でもただ一度だけ、横断歩道を渡り切れなかったおばあさんのエプロンの紐をひっぱって、歩道に引き上げ、命を助けたことがあったのです。お釈迦様はそのエプロンの紐を長~く伸ばし、地獄まで垂らし

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消しゴム顔(その2)

消しゴム顔(その2)

新聞に目を引く広告があった。

美容液「消しゴム顔」新発売!お顔のシミ、小じわ、を消します。
今なら半額!おひとり様2本まで!

実際使用した中年女性の写真まで載っている。こんな広告に惑わされないぞ、と思っていたが、半額は確かに魅力的で誘惑に負けた。

すぐに送られた来た美容液を、毎日つけるのが楽しみになった。以前は自分の顔をみるのなんてあきあき、とろくに鏡も見なかったのに、つい鏡を覗き込んでしま

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消しゴム顔(その1)

消しゴム顔(その1)

午後7時下り東横線はラッシュの真っ最中。ギリギリ160センチしかない僕の前に、背の高い男性が立ちはだかり、つり革をつかむこともできない。息苦しい…僕はマスクを外してしまった。話をしなければいい。

電車が大きく揺れ、僕の顔はその男性の背中を思い切りこすってしまった。体を避けようにも無理。痛い・・・ひりひりする。

何気なく顔を上げて驚いた。その男性がいなくなったのだ。
移動したのか?・・・消えた?

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鶴亀杯スピンオフ企画【曲から短詩】

鶴亀杯スピンオフ企画【曲から短詩】

1.「曲」雨にぬれても

デパートで急にこの曲が流れてきた。雨が降り出したサイン。
バートバカラックの「雨にぬれても」。映画「明日に向かって撃て」の
主題歌と後に知った。
エレクトーンを習っていた頃弾いた曲で、左足で刻むベースラインが
気分よかった。トントトン、から始まり、ハーモニーの輪を描くように続いて。軽快で都会的、濡れても平気で出かけてしまう。
そんな気分が好きです。

「曲から短詩」

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