身体にやさしいケーキが教えてくれたこと。
甘いものは、体にやさしくない。
分かってはいるけれど、幸せな気持ちには代えられないし、
健康志向のおかしだと、何かが物足りなかったりする。
だから、甘いもの代表格のケーキが体によくなくても仕方ない。
そんな思い込みをぐるっとひっくり返すケーキに出会いました。
つい先日迎えた、誕生日の夜のことです。
「誕生日おめでとう!」
お祝いの言葉と一緒に、冷蔵庫から出てきたのはケーキの箱。
中にはスフレチーズケーキと日向夏のタルトが並んでいました。
ありがとうをめいっぱい伝えつつ、
「どこのケーキ?」
と聞けば、返ってきたお店の名前に覚えがあります。
駅近くで、いつも扉が開かれていて、明るくて……
「グルテンフリーのケーキ屋さん?」
「そうそう」
やっぱり、気になっていたケーキ屋さんでした。
どっちのケーキがいい?と聞かれて、スフレチーズケーキ!と答える。
グルテンフリーのケーキって、初めて。どうなんだろう。
ちょっとどきどきしながら食べると、絶妙なしゅわしゅわ感が口の中で溶けました。
しっかりと甘さを感じるのに、後に残らない。
重すぎず、軽すぎず。最後の一口まで幸せを感じるケーキ。
初めて食べたグルテンフリーのケーキは、想像をはるかに超えるおいしさでした。
グルテンフリーって、「小麦アレルギーの人のため」だと思っていました。
でも、グルテンフリーとか関係なく、またあの店を選びたい。
そんな幸せなケーキでした。
さて、このお店のすごいところは、どうやら「グルテンフリー」だけではないようです。
お店のチラシには、砂糖やバターにもこだわった、身体にやさしいケーキと書かれています。
精製された白砂糖をなるべく使わず、良質なバターや米油を使っているそうです。
「おいしくて、身体にやさしいケーキ」
これはちょっとした衝撃でした。
ケーキは、体にはよくないけれど、甘くて幸せな気持ちになれるもの。
つまり体の健康と、心の健康を引き換えにしているものだと思っていました。
おいしいはハイカロリー。
バターも砂糖も遠慮しない方がおいしいよね。
お菓子作りが好きな私は、母とそんなことを語り合っていたくらいです。
それが、どうでしょう。
身体にやさしくて、おいしいケーキに出会ってしまいました。
ケーキ自体の甘さは控えめだけど、甘味とは別のおいしさがしっかりとある。
食後のデザートにぴったりで、コーヒーと食べたくなるケーキ。
さらに身体にもやさしい。
体にも心にも「良い」ケーキなんて、あり得るんだ。
一見すると両立しなさそうな価値が、共存できることに考えさせられました。
そして、両立させるのは簡単でないと想像できます。
実際、ここのお店では、小麦粉の代わりに8種以上の粉をブレンドし、
ケーキに合わせて配合を変えているだとか。
私の想像が及ばないような工夫の末に、身体にやさしいケーキを実現させているのだと思います。
ケーキ1つで長くなりましたが、あと1つだけ。
体と心、両方にやさしいケーキができるのなら、
もしかしたら、何かのためにと諦めていたことも、自分次第で両立できるのかもしれない。
そんなことを、ふと思いました。
せめて、自分にとって大切なものは、諦めなくてもいいように。
そのためにどうするかを探し続ける人でいたいです。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
愛知県の「Lilac」というケーキ屋さんです。
素敵なケーキをありがとうございます!