伊那谷日記⑫ブドウの季節ナイアガラの香りに包まれる
ぶどうの季節がやって来て、伊那谷の直売所は連日たくさんの種類のぶどうが並んでいる。
シャインマスカットやナガノパープルなどの皮ごと食べられる大粒種の種無しぶどうが人気だ。
しかしその他にもぶどうの種類は山程あって、旬が短いからお盆の頃から10月中頃までの間に入れ替わり立ち替わり品種が出てきて、なかなか全てを試せない。
人気のぶどうは値段も高いのでなかなか手が出ない…
そんな中、お手頃値段で出回っているのがナイアガラである。
あまり他所では見かけないナイアガラは薄黄緑色の白ぶどうだ。昔、ニューヨークからやって来たらしい。
皮が破れやすく輸送に向かない、実もそこまで大きくないし、種無しにもできず、皮も食べられない。およそ現代の風潮にマッチしていないぶどうなのだが、なんと言っても香りが良いのだ。
伊那谷のお隣、塩尻市は昔からぶどうとワインの街だ。ナイアガラもたくさんあって、ナイアガラを使った白ワインもある。香りが良いのはワインにぴったりだと思う。ナイアガラのワインはナイアガラの味と香りそのままだ。私はワインにまったく詳しくないけど、本当に美味しい。
そのおかげか、中信や伊那ではナイアガラをよく見かける。
買ってから机の上に置いておくと熟してと甘い香りが漂ってくる。
近くを歩くたびにふわっと香るぶどうは味覚とは違った喜びをくれる。
味は酸味もあるので好き嫌いが分かれるようだが、種の周りが酸っぱいので種を出さずに丸呑みするのが地元民のおすすめの食べ方だ。
私も手伝いに行った農家の奥さんに初めて教えて頂いた時にはびっくりした。種は食べちゃって大丈夫なの?
しかし急に種を出さずに呑んでって言われても出来ないものだ…つい出しちゃう…
なので今回は頑張って丸呑みしてみた。
あまり噛まないで飲み込むので食べてる感覚が無くなる。ぶどうは飲み物…そんな感じだ。酸味はほとんど感じなくなって甘みが際立つ。
でも、ずっと甘いと物足りなって、酸味を求めてまた種を出して食べ始めたり…
酸っぱくなったらまた丸呑みして甘みを楽しむ…
繰り返してエンドレスに食べられてしまう。
新たなぶどうの魅力にはまってしまったようだ。
しかし、食欲の秋。ついつい食べ過ぎて太り過ぎないように気をつけねば。