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伊那谷日記⑳白味噌󠄀リベンジで手前味噌
私は昨年、白味噌󠄀作りに初挑戦した。
信州味噌󠄀は何回か作ったことがあったが白味噌󠄀は初めてだった。
全国の雑煮について本を読んでいて、京都の雑煮は白味噌󠄀仕立てで丸餅が入っているとあり、白味噌󠄀についても説明があったので自分でも作ってみたくなったのだ。
本によると白味噌は信州味噌󠄀に比べて、
大豆よりも麹の量が多く、塩分濃度は低く、熟成期間が3週間と短い。
12月の始めに仕込んで、お正月に食べるとあった。
信州味噌は何度か作っているし、失敗したことがなかったので、白味噌󠄀もいけるだろう。いい加減な私は、適当に仕込んだ。そして3週間後、見事に失敗した…。
何だこれ、食べられるけどイメージと違うな〜というものを作ってしまった。いまいちな味。
捨てるのはもったいないので、普通の市販の味噌とブレンドして何とか食べ切ったのだった。
そんな失敗を経験したが、今年もまた懲りずに白味噌󠄀作りをやってみることにした。
反省を踏まえ、下調べを入念に、いろんなサイトをハシゴして、白味噌󠄀とは何なのか、レシピは分量はと調べる。
そしていくつかのポイントを押さえた。
大豆と麹の比率は麹のほうが多い
大豆の皮を取り除く
塩分は控えめ〜信州味噌の半分程度のものも
発酵時間が短い、3週間〜3ヶ月
発酵時間が短いため、麹を細かく砕く
低温で発酵させる方法と炊飯器を利用して発酵させる方法と2つある
白味噌󠄀の白さのポイントは皮を取り除くことらしい。発酵が進むとともに皮の部分が赤くなっていくとのこと。確かに信州味噌は1年、2年と寝かせるとどんどん色が濃くなって茶色から黒っぽく変色していく。
失敗した時は皮はむいてなかったなと反省。
また発酵時間が短いため、麹の粒が残りやすいので、包丁で細かく切ったり、フードプロセッサーにかけて細かく砕いたりする工程が入る。
前回失敗した時には、味噌の中に麹の粒がゴリゴリして残っていた。これも反省点。
最後に味噌の甘さだが、これは麹の量、塩の量、発酵温度で変わるらしい。
麹が多ければ甘く、炊飯器で発酵させると甘酒のように更に甘さが増す。
塩はもともと長期保存を考えていない白味噌なのでお好みの塩気で作っているようで、人によって、味噌󠄀会社によって結構幅があった。
とりあえず、作ってみなくちゃ味はわからないということで、以下の分量で作ってみた。
乾燥大豆 300グラム
麹 650グラム
塩 80グラム
手順は簡単に書くとこうなる。
味噌󠄀の素作り
①大豆を洗ってひと晩水に漬ける、皮を一粒づつむく。
②大豆を簡単に潰せるくらいやわらかく茹でる。圧力鍋なら15〜20分、普通の鍋なら1時間以上。
③麹を細かくして、塩と混ぜる。
④茹でた大豆を潰し、塩と混ぜた麹を加えよく混ぜる。茹で汁の上澄みを少し加え、出来上がりの味噌のイメージより少し固めのペースト状を目指す。
実際にはフードプロセッサーが無く、麹を細かくすることがあまりできなかった。
また、大豆の皮を一粒づつむくのは時間がかかり、下を向いて首も痛くなるので、効率良く剥ける方法を編み出したいところだ。
仕込み
今回は仕込み方法を2つ試す。
①できた味噌󠄀の素を空気の入らないように清潔な容器に詰め、低温10度前後で3週間寝かす。
②できた味噌󠄀の素を炊飯器に詰め、保温設定80度以下で8〜10時間保温する。
仕上がりの比較
炊飯器の保温機能を使った味噌󠄀は10時間すればすぐに食べられる。味見をしたらきちんと味噌󠄀だった。とりあえず安心して、出来上がった味噌󠄀はすぐに冷凍保存した。
3週間後、10度前後(流し台下の収納スペースの冬の推定気温)で保存した味噌󠄀が仕上がったところで味比べをする。
出来上がった味噌󠄀がこちら
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見た目、やや赤っぽいところがあるが信州味噌󠄀より白くできた。
麹の粒も目立たない。
次、10度前後で3週間の味噌󠄀
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麹の粒がまだはっきりとしている分、より白く見える。麹を細かくできなかったので粒感が残っている。
味の比較は、炊飯器のほうが滑らかで豆の味を感じる。甘みが強いとは思わないが、まろやかな味だった。
一方、3週間熟成の方は麹の香りが立っていて良い。甘みはこちらの方がやや強く感じ、少し酸味もある。まだ味が尖っている印象を受けた。
味は好みもあるのでどちらが美味しいとは言えないが、私としてはどちらも美味しかった。今回はきちんと白味噌󠄀として、食べられるものが出来上がった。
それがうれしい。
まだ改善するべき点はあるが、白味噌󠄀を作ることができて満足している。
できた味噌󠄀で毎日みそ汁を作ったり、魚を西京漬けにしてみたり、白味噌󠄀を楽しんでいる。塩分が少ないので減塩にもなっているかも知れない。
来年は、ぜひ白味噌󠄀の雑煮を自家製味噌󠄀で楽しみたいものだ。