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さいかい2

かかってきた電話には出られなかった。
友人にことの顛末を報告するための通話中だったからだ。

友人との通話を切り、着信があったことを知る。

“トシ“

3年前にマッチングアプリで知り合った。
家が近く、都合は良かった。
が、お互い事情があり家に招くことがなかったため
頻度は高くなかったが、相性は良かったと思う。

どちらかの家で会うことができていたら、
結構やばかった、と思う。

件の男、ヨージと付き合い出してからは会っていなかったものの
数ヶ月おきに誘いはあった。

連絡手段自体を断つことはしなかった。
連絡が来ることを隠すことも無かった。
ヨージも、わたしの遍歴は知っていたし、何より
“昔のオトモダチから今も誘われている“という事実が
お互いにとって良い刺激となっていたからだ。

“トシからの着信“
メッセージのやり取りしかしていなかった。
このタイミングで、着信?

ゾワり

期待感なのか
単純に恐怖か
武者ぶるい?

かけ直すことはしなかった。
とんとん拍子に事が進むのが容易に想像できたからだ。

翌日。用件を尋ねる旨だけの文章を送った。
用件など、とうに分かりきっている。

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