
体操屋さん
社内の一部署として、道具屋をスタートしたことが弊社の始まりになります。
母体企業は、都内を中心に20店舗の体操教室を運営するオルソ株式会社、代表者は、日体大の1学年上の先輩でした、破天荒を絵に描いたような男で、彼については、またゆっくりnoteを書きたいと思います。
自社の体操教室に必要な体操器具を安く調達することが私の任務でした、殴り書きのメモを渡され、これ!調達してや!次の店で使うから!
そんなノリでした、私にとって跳び箱やマットを仕入れる事など簡単であり、仕入れ先へ連絡、見積書を見て、発注書を送る、届いた商品を店に届ける…
今まで当たり前だった行動ですが、決定的に違うのは、売る側から使う側になっていた事でした、仕入れた商品の効果をより高め、店舗の売上に貢献しなければならない…
冷静に考えれば当たり前の話しですが、長年モノ売りだった私には完全に欠如していた視点でした、かつてメーカー内で、最大シェアを誇り、製品に対し絶対的な信頼を持っていた頃、使う人の気持ちに真摯に向き合っていただろうか、クレームや不良品が出た際はもちろん謝罪して、交換対応などを行いましたが、製品の改善点や流通経路、納期等に対して、より良くする為に頭や時間を使った記憶は限りなく少なかった…
これはこういうモノだから、会社の決まりだから、全てそうだった、しかしメーカーとは統制の取れたルールの中で、確実に作業が行われるないと重大な事故やトラブルを発生させる可能性があり、ルール無視や違反行為は論外である。
そんな状況において、言われた通りにしながら月日が流れると、スムーズなモノ売り営業の出来上がり、当たり障り無く上手に立ち回れば数字も上がり、順調に進む世界、まさに安定した職場環境と、超ホワイト企業に守られた理想的なキャリアの完成だった…
そんな私はいつしか企業理念や営業としての立ち位置を忘れて、動きやすく、楽な服装でとにかく数をこなし、発注者の表情など、全く気にしなくなっていた
だが、今は違う、利用する立場になって気づいた、会社の予算を使い、物を仕入れる事がどれだけ大変か、経営者は創業時に死に物狂いで、金策し、会員を集め、やっとの思いで、新しい器具を買うのだ…
この気持ちが理解出来た今、私はモノ売りを卒業し、体操屋さんとして一歩を踏み出しました。