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EXCoders(特別な印を持つ者たち) 第12話:「守りの先にあるもの!」

前書き

人は「選ばれる」ことで、幸せになれるのだろうか?
才能を持つことは祝福か、それとも呪いなのか?

この物語は、ある一人の少年が**「選ばれた存在」として運命を背負いながらも、その意味を問い直していく物語である。
日本最大の製薬企業「ミネルヴァ・バイオテック」が掲げるスローガンは、「遺伝子は、選ばれた者を求める。」**
しかし、その言葉の裏には、誰もが知りたくない残酷な真実が隠されていた。

「SSP(スペシャル・サポート・プログラム)」――それは、特異な才能を持つ子供たちを集め、能力を開発する極秘計画。
だが、その本当の目的は、「次世代兵器の創出」にあった。
そして、その計画の犠牲になった少年がいる。
彼の名は相馬海斗。

選ばれながらも捨てられ、力を持ちながらも知らされず、戦う理由すら与えられなかった彼は、やがて自分の「真実」に向き合うことになる。

これは、運命に抗い、自分自身を取り戻そうとする少年の戦いの記録である。
――たとえ「選ばれた者」としてではなく、一人の人間として生きるために。


📖 SSP本部——驚愕のデータ分析

SSP本部、監視ルーム。

巨大なモニターには、ドッジボール戦の映像が映し出されていた。

「……待て。今の、何だ?」

監視官の一人が驚きの声を上げた。

「迅也の動きが変わった。明らかに“視覚”ではなく、別の感覚を使ってボールを避けている……。」

「心の目か? いや、そんな能力は記録されていない……!」

別の監視官がデータをスクロールしながら言う。

「それだけじゃない。長内海斗の動き……“回転を利用してボールの勢いを殺した”としか思えない。」

「どういうことだ?」

「通常、投球されたボールを受け止める際、回転を利用して制御することは極めて難しい。だが、長内海斗はあえてボールの回転に逆らわず、身体ごと回転することで勢いを逃がした……!」

監視官たちはざわめいた。

「まるで、ジャイロ効果を応用したかのような……」

「……くそっ、まるで“戦闘データ”として使えるレベルじゃないか……!」

「彼は本当に、単なる自己修復型の“ヒーラー”なのか?」

全員がモニターを凝視する中、一人の上級監視官が低く呟いた。

「このまま観察を続けろ。彼らの“限界”を見極める……!」

📖 試合続行——アレックスの次なる一手

カイトは人差し指で軽くボールを回しながら、アレックスと向き合っていた。

周囲の観客たちは興奮し、次第にカイトたちを応援する声が増えてきていた。

「いけぇー!カイト!!」「アレックスを倒せ!」

アレックスは苛立ったようにボールを握りしめると、突然大きく後ろへ下がった。

「……何をする気だ?」

迅也が警戒するように目を細めた。

アレックスは助走距離を大幅に取る。今までの投球とは明らかに違う雰囲気が漂っていた。

「ジンヤ、アレックスの狙いは?」

カイトが頭の中で問いかける。

迅也はアレックスの指の握り方、助走のフォーム、体重移動を瞬時に解析し、驚愕した。

「……やべぇ、無回転の超高速ボールだ!」

「無回転……!?」

カイトの脳裏に警報が鳴る。

無回転のボールは、通常のカーブやスライダーとは違い、空気抵抗の影響を強く受ける。その結果、ランダムなブレが生じ、軌道が読みづらくなる。

つまり——

「避けるのも、受けるのも、ほぼ不可能ってことか……!」

「やべぇぞカイト……!」

迅也の焦りが伝わる。

「しかもアイツのフォーム、球速を最大限引き上げる投げ方だ……!あの威力で当たったら……」

(……まずい。)

カイトは内心、焦りを覚えた。

(無回転のブレ球……。確かに、普通なら受けられないし、避けるのも運次第になっちまう。)

だが——

(“受ける”か“避ける”だけが選択肢じゃない。)

カイトはふっと息を吐いた。

「ジンヤ……」

「……ん?」

「俺、受けるのも避けるのもしない。」

「は?」

迅也は一瞬、カイトの意図を掴めず戸惑った。

「マジで言ってんのか?」

「うん。」

カイトの目が真剣だった。

「だから、お前に頼みがある。俺が成功するための“タイミング”を計ってくれ。」

迅也は一瞬、驚いた顔をしたが——

次の瞬間、ニヤリと笑った。

「……カイト、面白い未来が待ってるぜ!」

📖 アレックスの助走——勝負を決める一撃

アレックスは、静かに息を整えた。

(もう、回転ボールじゃこいつらには通用しねぇ……なら、これで終わらせる。)

彼はゆっくりと後ろへ下がる。

さらに、さらに—— 助走距離を大幅に取る。

観客たちも、その異様な動きに気づき、ざわめき始めた。

「え、アレックス、何する気だ?」
「助走距離、今までより倍以上取ってる……!」
「まさか……」

カイトもその様子を見て、拳を握りしめた。

(この球は……間違いなく、“最速の一撃”になる。)

アレックスは、手の中でボールを転がし、 ボール全体を片手で握った。
(……こいつをくらったら、一発で終わる。)

足元に力を込め、グッと踏み込む。

「これで終わりだ——!!!」

🔥 **次回予告:「選択肢のない一撃——カイトの答え」🔥
✅ 迅也の未来視が試される——完璧なタイミングの重要性!
✅ ついに、試合のクライマックスへ!


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