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『けーてぃーのお金論』

本を読んでいるとき、バーチャル世界に浸っているとき、何事も他人事だった時の私。つまり、旅をする前の私は「お金」について何も考えていなかったのだ。ただ、お金よりも経験が大事でお金は使わないと意味がない。あんな幻の権利は手元にあって何があるのだろうと傲慢な態度でお金について軽く思っていた。しかし、二週間の海外渡航を経て今までの考えがぐちゃぐちゃになるというか頭が委縮するというか、もう何もわからなくなってしまったのである。ミャンマーはダラ地区での被害額数万円に及ぶボッタくりから透けて見える商売人の欲とその生活。かといってそこから湧き出る自分のケチ化現象と憎悪。クレジットでのキャッシングができなくなったための友達との金銭の授受。お金という存在の価値・概念は同じはずなのに、ちょっと国境という壁を超えると無価値化してしまうただの紙切れ。これはやっぱりみんなの幻想なのか。とにかくお金の重要性に気が付いた感じだけが残る。よく海外から帰国してきた旅人のSNSをチェックしてみると「幸せはこういうことだったのか。あの子供たちの笑顔が…。」とか適当な表現が多くみられる。嘘にもほどがあるだろう。最近皮肉れている私はどうも、皮肉れているのか。じゃあそれが幸せなならなぜ日本に帰ってきた?と言いたくなってしまう。完全なWi-Fi環境に、信頼できる人間関係。安心できる環境とある程度のお金を持っているからそういえるのではないか?わざわざ貧困国に行って、物価が安いからお金持ちの気分になって何をもって笑顔が幸せさ。結局、お金を捨てて自分がその状況になることができないから楽しめる他人事わっしょい現象が起きているに違いない。では、結論「お金がすべて」ということを述べることができるだろうか。これも嘘になる。何が正しいかなんてわからない。だから自分で考える。

お金は自己満足のためにあるのか?ということについて考えてみたい。Aくんが買ったお洋服5000円とA君がスラム街で買わされたタイ米5000円。数字は同じだがそれぞれの価値は違っているのは言うまでもない。「違う」の根底にあるのは満足との出会い方であるような気がする。したがって、人間の感情がお金という概念に大きくかかわっていることがわかる。自分の手元に自由のお金があるときはお金の重要性は失われていく。だって同じものがたくさんあってレア度と重要性が増加することなんてありえないもん(同じものしかない都会に住んでいる人が自然を求めて田舎に憧れるのと同じだね)。ましてや、スマートフォン上の銀行残高の数字だけとなると何も見えてこない。一方自由なお金がないときは物質的なお金そのものの価値が跳ね上がる。物の買うお金がなければ気分は下がる。欲が出る。感情がお金の価値観を操作していた。感情は脳の一部。脳は恐ろしい。ただの紙切れを人の対立・戦争まで発展させてしまうのだから。お金は感情と表裏一体。このピラミッドの構図(図1)を掘り起こしてみると脳に情報を与えるものがもっと根底に出てくる。目から入力される情報・体で感じる情報が満足と価値を左右させるのではないか。それを考えるためにも労働のことは無視できない。
お金のピラミッド(図1)

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労働とお金の価値について考えてみる。今まで分かったことはお金を見えない形(=他人事)にしてしまうとお金の価値は失われていく。アルバイトで働いたお金がインターネット上の数字だけでは、お金の価値はもちろん、労働の価値つまり、他人からお金をいただいていることがわかるはずもない。便利を求めて排除しまくったことの結果でもある。一円玉の価値を心から大事にできる人はいないだろう。一円という価値に代われる体験が体の中にないのだから。経済の循環を考えてみるとその難しさがわかるかもしれない。経済はうまいことに、他人が働いて稼いだお金をいただいて、そのお金で自分も飯を食って、その飯は作っている人が一生懸命働いていてと無限ループになっている。そのループを細かく自分で見ることはもちろんできない。お米を作るのにどれだけの労力と人がかかわっているかなんて見えるはずがない。だからお金の重要さ価値もわからない。価値がわからなければ想像力豊かな感情も適当になってしまう。感情が適当になってしまえば、入力される情報は排除される一方ではないか。旅を肯定しまくる気はないが、旅をすることで自分で考えて体を動かす機会が嫌でも増える。体を動かせば(旅くらい自然を相手に体を動かす機会がない脳化社会になってしまった)入力される情報が増えて、感情が動くのは間違いないだろう。しかし、どんなことをしても本当のお金の価値や概念について理解するということはあり得ない。でもこうやってお金について少しではあるが考えてみた。それがお金を大事にすることの一歩であって、始まりかもしれない。旅で海外の紙切れを増やしたが、その紙切れは『けーてぃーのお金論』のきっぷであったかもしれない。

もし、ミャンマーで二万円ボッタくられた話など興味がありましたら是非コメントください♡

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