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孤島の窓辺から #009「変化してゆく人たち」
数年前まで台湾といえば、
古風でアジアの匂いを感じられる唯一の国でした。
(僕にとっては、、、。)
中国のように、より歴史の長い国もありますが、
一度、文化大革命で自国の文化を破壊してきた国とは違って、
台湾にはアジアの空気を守り続けた独特の雰囲気があるんです。
あの雰囲気が好きで、
何度も台湾には足を運んだものですね。
台北の故宮博物院に足を運んでは、数千年の歴史に浸り、
書道の勉強のために、台湾の書家を訪ねたこともありました。
幼い頃から、
書道で多くの漢字に触れてきた僕には
繁体字に触れるのが楽しくて仕方がないんです。
毛筆体の文字が溢れる街は、僕にとってまさに楽園(笑)
台湾に行くたびに心躍らせて、
故郷に戻った感覚さえしたものです。
台湾は、
自分にとっては、それほど思い入れのある国。
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それから何年が経ったでしょうか。
最近になって、
台湾のデジタル分野での活躍を
よく耳にするようになりました。
例えば、史上最年少の台湾の官僚として、
IT担当大臣に、まだ若きオードリー・タン氏が就任。
次々とデジタル改革を推し進めているようです。
彼は、アップル社の顧問も務めていた方で、
台湾では「ITの神」とまで言われている。
例えば、コロナ禍でマスク不足の中、
「マスクの在庫をMapで示すアプリ」を開発したり、
市民の声を政策に吸い上げる仕組みもつくったり、
とにかくアイデアがわかりやすく、やることも早い。
最近では、コロナの感染拡大の混乱の中で、
東京都のコロナウイルス対策サイトの修正に参加するなど
日本との関わりも注目されている人です。
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なんとそんな彼が、
自国での公務に追われているにもかかわらず、
日本の中高校生にオンライン授業を開催したらしいんですね。
日本ではデジタル化を嫌う偉い方々が多い中、
彼は日本の未来ある若者に対して、
個人で情報を収集して、
その声を周囲に届けることの大切さを説いたそう。
デジタル社会では、
年齢や学歴はもはや関係ありません。
デジタル社会への移行が加速する今、
社会は個人が変えるものになるのだと。
個人としてどうあるべきか、どう行動していくべきを、
個人のアイデアによって社会をよりよくしていけるのだと
彼は伝えたかったのでしょう。
日本の若者たちは、
その遥か台湾からの、
彼のメッセージに何を思ったのか。
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このコロナ禍の状況の中で、
色々なことが露呈されてきましたね。
僕の友人は、リモート出勤してるにもかかわらず、
ハンコを押すためだけに週に何度かは出勤しているようです。
ペーパーを提出するためだけに、
電車に乗って会社に通う人もいます。
その一方で、
世界はどんどん変化をし続けている。
もちろんこれからの国の動きに
期待していきたいとも思うけれど、、、、。
正直、国や企業の動きを待っていたら
何年かかるか分かりません。
せめて個人だけでも、粛々と前へ進み、
個人で繋がっていくべきなのかな。
オードリー・タン氏の思いを感じながら、
今日はそんなことを、
遥か孤島の窓辺から考えています。
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