ヒヤシンス《心情⑭》
箱の中で蹲って泣いていたい。
愛されたい。
人肌恋しい。
頭を撫でて、抱きしめて、名前を呼んで。
目を見て、話を聞いて。
声を押し殺して寝たふりをしたまま泣くから、知らないふりをして。
涙も笑顔を見せて。
不安で震える背中をさすって。
僕の行動でも言葉でも感情でも思考でもなく、
僕の細胞ごと愛してあたためて。
貴方の腕の中で泣き疲れて眠るから頭を撫でて。
生きているということ自体を言葉通りの意味で肯定して。
腕の傷を見ても見て見ぬふりして優しく笑って。
気分屋な僕の気分に揺らがないでいて。
導入剤を摂取する僕に「薬に頼っちゃダメ」なんて言わないで。
この家を早く出て声をあげて泣きたい。
ゆっくり目を閉じて満足するまで眠りたい。
何も考えないを体験してみたい。
時間に追いつきたい。
忘れたくない。
忘れられたくない。
頑張りたい。
頑張らなくていい世界に行きたい。
かっこよくもかわいくもなれない。
どの方向でも努力が足りない。
怠惰でかっこ悪い。
楽な方向に身を任せすぎている。
もっとがんばりたい。
どうやって?
なにを?
いつから?
具体性が一つもない。
嫌いだ。
臆病だ。とてつもなく。
負け方すら知らない。
向上心すら持ち合わせていない。
逃げるのはもうお終いにしよう。
そう口の中で呟いても足がすくむ。
ただ、一秒ずつ充電切れににじり寄っていくだけ。
幸せなんて待ち望んでいない。
半歩ずつ不幸から遠ざかることが出来ればそれで十分だ。
なのに、