噛んだガムを捨てるタイミング
最近、恋人に対して思うことが昔と変わってきた気がする。
まあ相手が違う人間なのだから、そりゃあ違ってはくるのだろうけど。
元彼には、私のことは気にせず、好きなことを自由に、存分にやってほしいと思っていた。
一緒にいる時はくだらないことで笑って、楽しければそれでいい。
相手が私を好きだという謎の自信があった。
心で繋がりたくて、手を繋いだりキスをしたりはほとんど自分からしなかった。
多分、あまり愛を求めていなかった。
もうその時点で別れた方がよかったのだが、
私は、噛んだガムの味がなくなっても、まだ味はある、と思い続けて一瞬も味がしなくなってから捨てる人間だ。
それに対して、今の恋人には、ほぼ真逆のことを思うのだ。
できるだけ、私のことを考えていてほしい。
あなたの好きなことは私も好きになりたい。
あなたが、私と付き合って良かったと思っているのか、不安で仕方がない。
手も繋ぎたいし、触れ合っていたい。
楽しいことも一緒にしたいけど、
それよりも、辛かったり苦しかったりするときに
そばにいたい、
そう強く思うのだ。
今の恋人と付き合うまでの空白期間は4年あった。
けれど、その4年で自分が変わったとはあまり思わない。
そして、元彼と付き合っていた時の自分と、
今の彼女と付き合っている自分を比べたら、
圧倒的に今の自分の方が好きなのだ。
とにかく素直でいられる。
プライドが高く、人に甘えられない私が、
夜でなくても甘々のLINEを送れるし、寂しいときには寂しいと言える。
電話なんて元彼の時は月1くらいだったのに、今は週に1回できないと死んでしまいそうだ。
そして、私のことをちゃんとわかってくれている。
私は元彼や、友達から、しっかりした人、だと思われている。
確かに、どんな時も冷静だし、1人でも生きていけますよ感出してるし、頼らないし、甘えないし。
けど、本当の私は、
弱くて、不安で、不安定で、自信がなくて、
彼女に、
「2人ともしっかりしてないから〜」
そう言われた時、えっ、と思った。
友人に、会いたいとか言うの?と聞かれたと話したら、
「言うよね〜、そういうの言わないって思われてるんだ、私はそっちのあなたを知らないから」
そう言われた時、確信した。
彼女だけ、
家族と、彼女だけが、本当の私を知っている。
見抜かれている、というかもう彼女の前では本当の私になっているのかもしれないけど、
嬉しかった。
多分私は、ずっとそんな人を求めていた。
どんな人と付き合いたいか、
そう聞かれた時、いつも、
ありのままの私を好きになってくれる人
と答えていた。
そのときの、ありのまま、は、多分、容姿とか、服装とか、習慣とか、そういうことをイメージしていたと思う。
けれど、本当の、ありのままの私、は、弱くて、不安で、不安定で、自信がない、そんな私のことだ。
そして、そんな私を好きになってくれる人に出会えたのはもうほとんど奇跡に近いんじゃないかと思う。
だから、
だから、彼女にも弱くいてほしい。
辛いと、苦しいと、教えてほしい。
私にはきっと何もできない。
けれど、その辛さや苦しみを共有して分け合いたい。
2人で辛さも半分に分け合って、みたいな歌があった気がするけど、私はそうじゃなくて、
2人でその辛さを最小限の大きさにして、
2人で味わいたいのだ。
味が本当になくなるまで、2人で噛み続ければいい。