見出し画像

フリースタンダードがRetailorで描く未来とは?(前編)

2020年に創業後、「Retailor(リテーラー)」(※)をローンチのうえ、5.4億円の資金調達を実施したFree Standard株式会社(以下、フリースタンダード)。
今回は、創業メンバーである代表取締役・張本貴雄(以下、張本)と取締役・野村晃裕(以下、野村)に、フリースタンダードの歩みや社風、今後のビジョンについて、話を聞いてみました。

(※)...ブランド主導のサーキュラーエコノミーを実現可能にするサービス

僕らを、競走馬に例えると・・・

―――フリースタンダードは2020年に創業後、Retailorをローンチし、5.4億円の資金調達も達成していますよね。

張本:そうですね。資金調達ができた決め手は、投資家のみなさんにとって「僕」という経営者が比較的安心して投資しやすい対象で(※)。そして、フリースタンダードやRetailorの持つ世界観が、これからの消費社会にとって必要可能性が高い事業領域だったという2点が理由だと思っています。

(※)...代表の張本は前職でSHOPLISTを立ち上げた代表

Retailor(リテーラー)の概念図

僕はよく、自分を競走馬にたとえて考えるんですよ。投資家のみなさんは、馬主です。当然勝利をおさめる可能性のある競走馬、つまり経営者にお金を投資しますよね。そうなったとき、前職での一定の成果を残せたという事実は、単純に期待が持てますよね。

加えて、Retailorで展開している「リコマース」も投資家のみなさんにとって魅力的に映ったのではないでしょうか。

事業的な観点だと、リコマースは新品を販売するよりも粗利率がいいんです。Retailorは高単価なブランドさんにご利用いただいていることも、それに拍車をかけていると思います。

ただ投資家のみなさんが見ているのはその点だけではないですし、もちろん僕らも「粗利率が良いから」という理由一点のみでRetailorを始めたわけではありません。


「豊かさとは何か?」のアンサーとしてのRetailor

張本:投資家のみなさんは日本だけではなく世界に視野を広げて、現在やこれからの情勢について膨大な情報を収集し、投資対象を選んでいます。

近年の世界情勢において、コロナ禍は大きなインパクトを与える事象でした。消費者の外出が減り、実店舗も休業せざるを得ない状況だったため、販売機会を失ったメーカーは残った在庫を大量に抱えてしまったんです。かつ、社会として一度立ち止まったことで「豊かさとは何か?」を見つめ直すきっかけにもなったと感じています。

Free Standard株式会社 代表取締役
張本貴雄

そうした背景から、以前から叫ばれていた環境問題への取り組みが改めて世界的に重視されるようになっています。
Retailorの掲げる世界観、それによって生まれるレンタルの0.5次流通・リコマースの2次流通は、そういった時流にも合致していました。

「僕たちは、ブランドの悩みを知り尽くしている」

野村:僕たちの強みは、ブランドへの解像度が圧倒的に高いことにあります。
特に張本はずっとECのブランドに関わるビジネスをしてきたので「各ブランドさんが何に困っているか」を総論ではなく、各論で掴んでいるんです。

たとえば先ほどのコロナ禍による商品在庫の問題がありますし、近年緊急度が増してきた顧客データの保有に関する問題も無視できません。

ブランドは多くの場合、ECモールで売り上げを確保しています。しかしECモールでは、いくら販売しても自社で顧客情報を保有することができないんです。顧客情報が蓄積されなければ戦略的に動くことは難しいですし、結果的にECモールへの依存から抜け出せないという構造的な問題を抱えています。

Free Standard株式会社 取締役
野村晃裕

一方でそういった状況を打破するために、多くの会社が自社ECを強化しようと活発に動いています。
EC強化を進める上で難しいのは、CVR(※)が低いこと。一般的にECのCVRは平均0.5%程度しかありません。逆に言えば、自社ECにきたユーザーの99.5%が、購入せずに離脱しているんです。

(※)...コンバージョンレート。WEBサイト訪問者のうち、購入や問い合わせなどの成果につながった件数の割合のこと

そういった状況はメーカーも理解していますが、広告を打たなければ集客が増えないので、仕方なく広告投資を続けざるを得ない。この状況は苦しいですよね。

Retailorは、こういったブランドが抱える課題を解決する可能性を持っているんです。
環境負荷の低減はもちろん、99.5%が離脱する自社ECにおいて、買う・買わないとは別に選択肢を提供できるようになる。加えてブランドとユーザーの新たなコミュニケーションを生み出すことができるんです。

こういった話は、規模の大小に関わらず課題を感じているブランドさんに共感いただけますし、投資家のみなさんからの出資をいただくことにも繋がっているんです。


EC業界を変革していく事業を、一緒に創造していく仲間を求めています

―――実際Retailorはローンチされたばかりのサービスながら、業界大手のブランドさんが利用してくださっていますよね。これはなぜなのでしょう?

張本:戦略的な顧客開拓を進めていったのが理由ですね。新しい市場を作るためには、モデルケースづくりが欠かせません。パブリックな(有名な)ブランドさんがRetailorを使って成功しているという実例をつくることで、他のブランドさんも安心してRetailorを使って頂けるようになりますよね。

リテーラーは、従来の使用されて廃棄される「リニア型消費」から、使用後に循環する「サーキュラー型消費」を目指しています。

たとえばZOZOTOWNは約20ブランドからのスタートでした。しかし、業界大手のUNITED ARROWSやBEAMSが出店したことで、多くのブランドにとって安心して利用できるサービスとして認知され、その後急速に広まっていきました。

まとめると、いち早く業界内のリーディングカンパニーに使用してもらい、クライアントの満足度を高め、結果を出すこと。この条件を満たすと、いち新規事業が業界を変える可能性を秘める事業にまで成長できるスタートダッシュがきれると思います。

Retailorの場合は、先ほど野村が伝えたような課題感への理解やサービスの世界観に共感いただいたことが、大手ブランドのみなさんにご利用いただいている決め手になっています。

野村:これまでは張本の経歴やRetailorの世界観に賛同いただくことで資金調達ができていましたが、これから先の段階ではそうはいきません。しっかりと事業の数字が評価されるようになってきます。

だから僕たちはその評価に値するような数字をつくるため、一緒にフリースタンダードで頑張ってくれる仲間を探しているんです。

後編はこちら↓