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その奨学制度で、英語力は伸びるのか?(その2;学習者の背景から考える)

前回からの続きです。

あくまで、”英語力”にしぼったお話です。
というのは、この奨学制度、英語力や自分の学びたいこと以外に得られるものも大変大きく多く、前回”英語力が伸びない可能性が結構ある”的なことを書きましたが、その視点だけでは語り尽くせないユニークな制度となっていると思うのです。
そこを前置きした上で、
今回は、応募者の個人的背景や資質に関わる部分で、この制度と英語力の伸びという私見を書いてみたいと思います。
私の周りの小さい範囲で見聞きしたこと感じたことですので、そういう見方もあるかもネ、程度に受け取っていただければ幸いです。

1.英語力がつく背景を持つ人

・この留学目的がTESOLなど、英語教育関係の資格を取るための人
英語教育の2年の修士課程を取得するつもりで、この奨学制度に参加するケースがあります。英語教育学を学びに行くのですから、当然伸びます。進学目的をそこに絞って、そういう大学に行きたいのだと申請するのはアリ。日本語クラスのTAをしながらTESOL等をとるプログラムを確立している大学もあります。ただ、その大学が、ここの組織に”マッチングしてほしい”ときている場合のみです。組織が、学習者のためにそういう大学を探してきてくれて、「どうぞ」とやるわけではありません。確か、数はそう多くなかったと思います。
・英語教育ではなくても、修士などの取得や資格を目指している人
授業に出て単位を取らないといけません(論文も書く)から、力はつきます。
修士ではなく、4単位くらい取ればよい、とか、負荷が小さいと、どうだろう・・・?
私のケースですが、ビザの関係で単位を落とすわけにはいかないのですが、大学側から”普通の授業だとこなすのが大変だから、これならどうか?”と、ほとんど学びにならない授業を勧められましたねー。
この奨学制度でやってくる日本語講師を、しっかり”留学生”と位置づけ、フォロー体制のある大学も、英語力をつけてくれるかもしれません。私の大学は、そうではなかったですね!
・日本語教育以外の環境に飛び込める肉体的体力、語学的体力がある人
自分が受け持つ日本語教育以外の世界に飛び込むことができれば、当然(?)英語力は伸びます。それがどういう人なのかというと、まずは心身ともにタフな人かな、と思います。強い意志、だけではダメで、それを遂行できる、体力(よく寝てたくさん動ける)気力(前向き、凹まない、気にしないなど)は大事かと思います。また、体力気力をカバーするのが語学力で、すでに4大はアメリカです、とか、1年くらい留学していました、など語学の下地のある人は、語学力に余裕があるので、新しい世界に飛び込んだり自ら作っていったりしやすい→さらに英語力が伸びる、ということはあると思います。あと、財団の趣旨と違うとは思いますが、”イマイチ責任感のない人”もいいのかも。日本語教育に責任を感じないので、それ以外の環境に飛び込んでいきやすいです。個人的には避けて欲しいけど。

2.この奨学制度の次のステップが見えている人

すでに、この奨学制度の利用を1つ目の踏み台と位置づけている人は強いな、と思います。この制度の魅力・強みの一つでもあるのですが、ワシントン大学なりコーネル大学なりのサマースクールで、実力をお持ちの教授陣の講義を受けて修了証をもらい、財団にマッチングしてもらった大学で日本語の授業を受け持った、というキャリアは、アメリカではかなり強いもののようです。だから、次に行きたい大学なり学科なりがアメリカにあると、そこへ”日本語の講師”として売り込むことができます。日本語教育のプロフェッショナルになりたい人や、行きたい大学の日本語講師をして収入を得ながら自分の学びたいことを追求したい人には、有利に働きます。財団の先生方からの推薦状もいただけますので(要相談)、次に進学しやすくなるのです。私は本当にただの日本の田舎から出てきた世間知らずのおばさんだったので、こうした進路があること自体、新鮮な驚きでした。
英語力が伸びるかどうか、という観点を超えた話ですが、これらの人たちは、ずっと先を見ていますから、全てに強いですね。

3.若い人=友達できやすい人

と、書いていいものかどうか・・・わかりませんが・・・・
赴任したアメリカの大学では、他の国から来たTA仲間がいることが多いです。これらの人とは仲良くなりやすい。私の周りを見ても、みんなそんな感じでした。友達と交流したり悩みを相談しあったり遊んだりすることは、英語力を伸ばすと思います。40歳くらいまで全然イケると思います。同じ授業をとって、相談しあったりね。
53歳で大学赴任した私・・・歳の近い人、って、大概家庭を持って、生活サイクルも確立している人が多いんですよね。日本から来たちょっと変わった中年(老年?)に声をかけてくれる危篤な方に巡り会えればラッキーで、若い人のように気軽には友達できないなー、というのを実感しました。赴任先は、ほぼすべて”田舎”なのもネックです。飛び込んでいけるようなコミュニティも、そうそうないし。でも、皆無ではありません!
また、1年間より、2年3年いられれば、友達は増えていくと思います!私ももう少しいられたらなー。(今更)

また、思いついたら、どこかで書き足したいと思いますが、さっと思いつくのは、こんな感じかなぁ。
語学留学も、日本人と連んでばかりだと、全然英語力が伸びないと言いますよね。同じです。
職務上必然的に日本語を使うので、それ以外のところで、どれくらい英語を使う環境を自ら作れるか?それを助ける環境を得られるか?かな、と思います。
上記で書いた内容に基づくと、
例えば→英語の基礎力はあっても、仕事に対する責任感が強く「日本語教育」にどっぷりつかり、エネルギーを注ぎ(または注がざるを得ず)、大学での授業の単位もそれほどガッツリ取らなくても良い、という、大変善意な人な場合、英語力があまり伸びない可能性があります。←例えば、です。
ちなみに、日本語教育のサマースクールでは、寮でも周りは日本人だらけだし(中国の方もいます)、講義も半分は日本語。英語の講義もありますが、やっぱり、講義で使われる英語は、そんなに難しくはないですよね(ということを、アメリカ行って初めてわかった)。私の感覚としては、ワシントン大学セントルイスでの夏の学生生活は、大画面でアメリカを見ながら、身は日本にいる、っていうようなヘンな感じでした。
 
そして、
初めにも書きましたが、
「英語力伸ばすのが難しいなら、この制度は利用価値がないのか?」というのは、全然別な話で。
同期の若い友人が、私たち仲間を指して「冒険野郎」と言っていましたが、本当にそうだな、と思います。冒険で、何を得るか、ですね。ほかにも、「おお!そんなメリットが!」というのはありました。
おもしろい仲間(同期)を得られるのも、人生の中で愉快なことです。
そういう話は、追々「体験記」の方で、だらだらゆっくり書いていくつもりなので、よろしくお願いします・・・。

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