なぜ多くの人は、大昔の人や そもそも他人の哲学や思想を引用して語るのだろう。それぞれの時代に生まれた考えから得ることは、確かに多いと思う。引用すると理解が進むこともある。でも私は、今の人の今の考えを知りたい。諸々踏まえた、学んだ、そのあとの言葉。それだけが聴きたい。こういうことは対面の会話でしか無理なのかな。文字にする時、人は自分を護り過ぎる。いろいろ付け足したくなるのか、それも売るためのテクニックなのか、それら全部を削ぎ落とした話が聴きたい。
無意識なら嬉しかった 歌っている右頬に 帰り際の前髪に ノースリーブの肩に 素顔の瞼に 右足の甲に 小さなキス
金曜の夜から今日まで、地元は大祭で賑わっている。これを書いているいまも、いくつかの屋台からお囃子が聴こえて来る。いまの家に引越すまで、私はすぐ隣の町で育った。物心ついた頃から、唄や手踊りが盛んな町の屋台を引いていた。両町の屋台小屋は真隣でいまの町にある。そこを元の町の法被で通るのは気まずかった。引越した翌々年、正絹で仕立てた慣れない色の法被を着て、いまの町に参加した。歌わない道行きは手持ち無沙汰で、知り合いも少なく、翌年からはお祭りに出るのをやめた。「地元の祭り」というアイデ
都都逸 端唄 小唄 新内流し 長唄 そういうものが一般的だった頃の日本も 面白そう 東南アジアなどの物売りが 小道を唄うように流し売りする声 インチューンで聴き惚れることがあった 日本にもそんな人が たくさんいた頃があったのかな 唄うようにものを売る人の居る余裕は もう日本にはないのかな いずれ東南アジアからも いなくなるのかな
リフレインしてしまう曲がある 古くても新しくても共通しているのは 色気 ダメな色気 かな メロディとか声とか歌詞とか 刹那的でエロティックなのがいい 繰り返し聴いてハマるのが好き 自分にとってのキラーチューン アルコールも薬も不要な体質 ナチュラル・ハイになる なんだろうねこの感覚 やるせないような気持ちになるのが好き
憑依か単なる記憶の混在か ヴァイオリンなど弦楽器の演奏を聴くと 奥の奥の奥の方に埋もれている 生々しい記憶が立ち現れてくる 確かにその頃そこに居たというような 無意味で当然の記憶 特に音楽で導き出される 初めて聴いた時の圧倒的な懐かしさ 理由は分からない ただただ懐かしい
先生の車の助手席から見た海 他愛のない話 諭すように返す言葉 含羞む癖もぶっきらぼうな仕草も アイルトン・セナみたいな横顔も ぼんやりとしか思い出せない 逝くの早過ぎだね いま聴きたいことたくさんある 話したいことも 老いないなんてカッコよ過ぎ
なんでも聴くけど AOR(AC)が一番好きかもしれない 聴くもの読むものは 年齢で変化する 友達も家族も同じ また聴いたり読んだり また会ったり集ったり また忘れたり離れたり 変化=生きてる ということか
『 芸術は調停術です。妥協の技術です。 美意識は「好み」ではなく、価値の認識です。』 恩師の言葉がしっくりくる夜なのさ
失望しかない夜は せめて良き句が詠めたなら 失望とは希望を失うことなのか 希望が無いことを嘆くことか 釣り上げられてリリースもされず 食ふられもせず 息絶えること無く涙も出なくなることか
鼓動が亂れ 混乱に高揚し 渇望し打ちひしがれ 満たされ直ぐに飢える 歌ばかり口をついて流れ 落ち着かず落ち込み 不安を超え絶望し 涙よりも言葉に溢れる 不意をつかれ揺さぶられ 自分を律し強くあれと願い 直後に萎れその腕の内に沈む 疲弊と知りつつ止める気も無く 焦がれ待つ愚かさに酔う 恋 故に
とも違う 今日のようによく笑った日でさえ 底無しの虚しさはやってくる 微かな憤懣がちりちり燻る 宛無く焦げ続けるエネルギー その熱を今夜の冷たい雨が冷やす この寒さに守られ眠りたい
水を張った田んぼ 散りかけの桜並木 雨後の風 雪のように降る花びら 人間だけが 春 惜しむ
お母さんやお父さんの お顔が描けなくてもいいんだよ お母さんがいない子も お父さんがいない子も お母さんとお父さんから 生まれた子 母の日も父の日も あなたの誕生日と同じくらい ありがとうの日だから 自分のお顔を描いたっていい お母さんになれなくても お父さんになれなくても すべての子どもはみんなの子ども まわりの子を大事にすればいいんだよ 私たちは もと子どもと いま子ども 誰かが生かそうとしてくれたから 自分でも 生きているから いまここにいられる 母の日も父の日も
哀しい男に好かれる 哀しい男に同情してしまう 故に哀しい恋ばかり 安心したいのに 不安しかくれない 安定しないから恋という それでも 無いよりましなのか 無い方がましか 凪にもなれず 哀しむ
よく見かける 「〜な人の特徴」動画よ 自己肯定感と経済の低迷よ それで稼ぐ人たちよ よりよく生きたし 人に優しくありたし 理想の自分になりたし されどなれどしかれども 長くキツイ時期も 明けない夜も、ある 無性に怨めしい時も 虚しさに惚ける昼もある それでも兎に角 より良く生きたく 人に優しくありたく 理想の自分など無くても 心穏やかに 軽やかに ただ生きていたいから こうしてこんなことを書く