大学を創るとは?〜KIYO の想い〜
目次
大学を創る「聖(きよ)」て誰?
自己紹介
大学を創りたいと思った2つの想い
❶ 社会をより良くするために学問において理論だけでなく実践も学びたい
政治学を大学で専攻した私はたくさんの理論を学びました。例えば、環境問題というトピックだけをとっても、法律学、社会学、哲学、経済学、歴史学などさまざまな視点からこの問題を理解することができました。
しかし、政治について「学ぶ」のと政治を「する」のは違うように、環境問題に関する理解があると言って、必ずしも皆が解決に向けた行動を起こすとは限りません。特に環境問題のような複雑な問題に対してできる事は無限にあるのにも関わらず、私たちはどのような行動を起こすべきか悩む時間を大学ではほとんど取れていないというのが現状です。
この理論と実践の違いは様々な学問において言えることのように思えます。言語においても文法を理解していることと、実際にその言語を使えることでは訳が違います。歴史を学ぶのと歴史から学ぶのも違う。理系においても、理論の吸収と理論を用いる実践は違うスキルです。
その中で、特に社会の抱える問題において大学で理論を実践に変えるための学習は非常に少ないことに疑問を覚えました。
もちろん社会に出てから実践すれば良いと言う考え方もあります。しかし、学生時代に学びを自分ごととして捉え自分の人生において活かそうと意図的に時間を取らなければ、社会人になっていきなりできるほど社会をより良くすることは容易ではないと思います。
❷ なんのために大学で学んでいるのかを考え自分の教育を自らデザインしたい
学生はそれぞれ異なる理由と目的で大学生活を送っています。就職するための肩書きのための人もいれば、将来の夢を実現させるため、学びが楽しいから等々。大学での学びは目的ではなく手段でしかないからです。
その中で、きちんと自分の目的を持たなければ、周りが用意してくれるレールに乗り、周りの作った物差しで自分を測ることになります。
しかし、人間として生きがいを持つためにも自分と社会の両方と向き合うことが必要です。最も、今の時代、日本経済の動向・生成AI・環境問題・紛争、とてつもなく複雑で変化が多い時代で生きるためには、私が語らなくてもいいくらい、多くの書物がすでに取り上げているように、自分で自分の人生をデザインしていく必要性は日々増しているのであります。
主体的に自分の人生を生きるためには自分の教育を自ら主体的にデザインする必要があります。
以上の二つの思いから、学びの実践・教育のデザインができるきっかけとそれを続けられるシステムを創りたい。
どんな大学教育を創るのか:Empowered Student Society (ESS)
MISSION
VISION
◾️学生意思決定によるシステムの構築
ESSの一つ目の軸は、学生が学校を創り続けることです。
複雑化したと言われる今の社会は、食・服・エネルギーなどいろんな分野で私たちは世界と繋がり、その中で企業や国家、社会の構造があります。 その中で環境破壊、貧困、まだまだ解決すべきいろんな問題も構造的に考える必要があります。
だからこの複雑な社会システムを理解し、変えていくとなったらシステムを改善するスキルが必要です。
そのスキルとは意見の違う他人との共同意思決定による変革をつくる力です。
自ら自分の教育、学びの場を仲間と一緒に意思決定して作ることで、小さな社会、小さなシステムで共同意思決定と主体性を学ぶために全意思決定は学生が行います。
◾️活用のための情報管理
ESSの二つ目の軸は、アウトプットにつながる情報管理システムの構築です。
今の情報に溢れた社会で私たちは日々多大な情報を消費していると言われます。しかし、実際読んだり聞いたりした情報のうち、実際に活用できるものはどれくらいの割合でしょう。
大学の授業で得た情報も、いつでも確実に使えるようになっているのでしょうか。
今の時代だからこそ存在するデジタルツールを使うことで、自分の頭脳の外に自分がいつでも使える状態でパーソナライズされた巨大な「知の倉庫」が構築できます。ティアゴ・フォーテさんの「セカンドブレイン」[1] に基づいて講義や授業、現代社会で私たちが得られる膨大な情報を活用できる情報管理システムを学生が一人一人自分で作り、情報のアウトプットを実践します。
[1] ティアゴ・フォーテ著、春川由香訳(2023)『SECOND BRAIN(セカンドブレイン) 時間に追われない「知的生産術」』 東洋経済新報社
◾️チェンジメーカーの生態系
ESSの3つ目の軸は、学生とメンター・メンティーのつながりです。
学生が成長し、社会をより良くすることは一人では難しいです。でも、仲間がいればできるとESSでは考えています。
自分、そして社会と向き合うために寄り添い合い、共同で意思決定をするには信頼関係が必要です。そのために高め合う仲間を目指すコホート(クラス)を8~12人という少人数で形成します。 フラクタルとはどの一部を切り取っても全体の形状と似ているという細かな部分の変動の連続が全体を作り上げるという現象です。社会においてもこのフラクタルの性質の理解のもと、8人の仲間を一つのフラクタルとし、大人数とも繋がれるネットワークとして役割をESS果たします。
より持続可能で平和な未来を創りたいという同志でもあるメンター・メンティーとも広く繋がることで継続的な成長が得られ、ゆくゆくは社会の改善を試みます。
VALUES
▶︎Amor Mundi :
揺るぎなく世界と向き合い、世界を理解するという世界への愛。
▶︎Hope :
より平和で持続可能な未来に向けて、私たちは常に行動を起こすことができるという確信。
▶︎Transformation :
たとえわずかであっても、変化を生み出し続けようと意図的な行動をとるという選択。
大学を創るって何?
そもそも大学とは?
この質問をされると、日本の〇〇大学や海外の〇〇カレッジ、ユニバーシティなど、大学と呼ばれている多くの学校を思い浮かべます。しかし、大学に該当する教育機関名を答えることは簡単でも、所謂大学というカテゴリーに属する教育機関とはどのような定義かと聞かれると少し考え込んでしまいます。
一つの答えとして、日本や多くの国で見られる独自の法律によって定められ、国によって認められている教育機関と言えます。しかし、定められた法廷範囲内とは言えども、各大学でカリキュラムやプログラムなど、内容のみならず教え方も学び方も変わってきます。講義型の授業もあれば、実験室での研究、オンラインでのディスカッション、芸術作品の作成、中にはインターンに参加することが修了要件になる大学もあります。世界的にみると、「国や法律が認めるものが大学である」という、本質ではなく定義を決める権利を持つ者主体の答えになってしまい、ここで求めたい大学の本質の答えにはなりません。
もう一つの答えは、「University」という言葉の語源にヒントがあります。Universityの語源はラテン語で「生徒と教師のコミュニティ」を意味します。今日では、学問を通じて講義や論文の審査など、さまざまな場面で人々が大学の枠を超え、国境を越えてつながっています。このようにして、学問を進歩させる高度なコミュニティが形成されているのは言うまでもありません。
現在の大学の在り方には今に至る歴史とその良さがもちろんあります。それでも、特に環境問題や貧困・紛争といった私たちが今すぐにでも向き合わなければいけない課題について考える際に、前述のように学校によってはより良い未来を創るスキルを養うには物足りない部分があります。
大学は誰のためのものか?
最近では大学運営において「大学は誰のためのものか」という疑問が多く浮上しています。日本では少子高齢化の進行に伴い、学生数の減少が進み、資金難に陥る大学が増えています。その結果、すぐには成果が見えない研究よりも、目を引く新しい学部の設立に資金を投入する傾向が見られます。また、本来は長期的な投資である教育の運営が、短期的な成果を求めるスタイルへと変化していると指摘されています。
さらに、今年一年で世界中で多くの学生運動が起こりましたが、それに対する大学側の対応をみていると、学生の意思を大学の意思決定に反映させる大学、させない大学の違いが浮き彫りになりました。アメリカでは、学生の意見が全く反映されない大学もあれば、フランスでは学生による協同組合がいくつも存在しています。
学生による学生のための大学とは?
もし学校が「学生はどのような教育が自分たちに相応しいのか分からない」という前提のもとで成り立っている場所であるとしましょう。社会に出て、学校という拠り所がなくなった際に、人生における無限の選択肢から正解のない中で、幸せを追求し、社会をより良くする意思決定ができると、誰が言い切れるでしょうか?
そこで必要になるのが人生デザインの考え方です。それを教育過程において実行します。
学生自らより良い未来とは何かを問い直し、それに必要な学びを自分のカリキュラムを組むことで主体的に知識・経験を得られるように学生が学生のためにつくる学びの場をESSとして実現させたいと考えている。
実際すでに学生による意思決定で教師を雇ったり、学校がどのような授業を提供するかを選んだり、次の年の学生の選考や受験を実施したりしているアメリカの2年制のディープ・スプリングス・カレッジも存在し、卒業した学生のほとんどがその後にハーバード大学やシカゴ大学のような超名門校に編入しています。
さらには、今日本でも広まりつつあるオルタナティブ教育のように教育のあり方においては柔軟な考えを持ちつつ、既存の大学やオンラインでアクセスできる大量の情報を活かして、始めはあるものを使い、無いものは創ろうという試みです。民主主義社会に生きる人間として学生が成長できるように包括的な学びをデザインし掴み取ることができるシステムの実現を仲間とともに目指します。
学生が大学を創るとは、大学のキャンパスを造るでも大学のプログラム・カリキュラムが組まれた状態を作るでもなく、学生たちが自分の大学教育を創り続ける現在進行形の「大学を創る」ことに意味があるのではないかと考えます。
聖の現在の活動
2024年8月下旬に最初のESSのトライアルコホートを立ち上げ
インスタでシビックインフルエンサーとしての発信
富士山に登頂し、ゴミ問題について取り上げた
パレスチナ・イスラエル紛争について問題を知ろうと呼びかけた
プライド月間について自分の意見を発信、など
2024年10月にエベレストベースキャンプ(標高5000メートル)到達を目指す予定
一緒に大学教育を変えましょう!
ここまでお読みいただいた方はお気づきかもしれませんが、私が今、世界のトップ大学に通う仲間たちと共に創ろうとしているのは、大学教育に対する新たな姿勢、向き合い方、そして新しい大学のあり方です。
この取り組みがうまくいくかはここから一年で検証していき、どんどん改善させていこうと思っております。数年かかるかもしれませんが、学生が自らの学校を創ることを可能にするオンラインプラットフォームを創ろう思っています。
私の現在の取り組みは教育において主体性を育む一つのあり方にすぎません。全ての人にとって最適なものを創れるとは限りません。これを読んでくださっているあなたも今教育を受けている、あるいはこれから学ぼうとしているのかもしれません。その中で、あなたにとって最適な教育デザインの方法がきっとあるはずです。ESSのあり方も今後大きく広げていこうと思っておりますが、それを待たずして勝手にESSのコホートをつくったり、ここに書いてあるアイデアはどんどん使っていただければそれに越したことはありません。いらない部分は捨てて、自分にとって最適な教育デザインをどんどん創っていっていただきたいと願っています。多くの課題に直面している時代だからこそ、1人ではなくみんなで寄り添い合って世の中と向き合うことにより平和で持続可能な未来を一緒に創ことができると信じています。
主体性を持った向上心のある学生が1人で英雄になって世界を変えようとして、難しくて諦めてしまうのではなく、仲間との強力な繋がりがあるからこそ1人で抱え込むのではなく、みんなで力を合わせて少しずつ社会の課題を解決していく。そんな未来を一緒につくりませんか?
すでにたくさんの応援のメッセージ、心から感謝申し上げます。もし、ここまで私の想いをお読みいただき賛同していただけるのであれば、ぜひこちらからnoteの私のメルマガに登録よろしくお願いいたします!こちらから大学教育の詳細を掲載させていただきます!
© Franceskiyo 2024