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厩火事

落語の演目で「厩火事」という噺がある。
これは髪結いの亭主が仕事もせずに骨董に入れ込み、女房に気をかけないため離縁しようと仲人に話に行く。そこで仲人は孔子の話を持ち出しす。
孔子は優秀な駿馬を持っていた。なかでも白馬は一番のお気に入りだった。しかし、あいにく主人が出かけている最中に厩舎が火事になり、その白馬も命を落としてしまう。
弟子たちは戻ってきた孔子にどんなに詫びを入れようか、首でもくくろうかと思っていたが、孔子は馬のことは一言も言わず、弟子たちがみんな無事で良かったと言ってお咎め無しとなった。
そこで、仲人は女房に亭主が大切にしている皿をわざと割り、もし皿のことを一番に心配すればすぐに離縁させてやろうと言った。その先は名人 志ん朝の高座をご覧いただきたい。

さて、厩舎はこのように落語になるくらい燃えやすいものが多く、火事も多い。競馬場の厩舎や牧場の厩舎で多くの馬が命を落とした。
それなのに、馬に関わる人は喫煙者が多い。別に吸って悪いと言っているのではない。ただ、くわえタバコで厩舎作業をする人が多い。流石に中央競馬の厩舎ではそんなことはないはずだが、場末の競馬場の厩舎、牧場や乗馬クラブでは今でもいるようだ。不思議なことだが、彼らが吸うタバコはほとんどがマルボロ。それ以外の銘柄を吸っている馬乗りは見たことがない。

前にも書いたが、馬乗りは性格が悪い人が多い。人間としてどうなんだろうという人も少なからずいる。私の馬乗り仲間を見回しても、みんなそうだ。私を含めて。また、差別主義者も一般社会より多い。

どうか、ちょっとした油断で火事になり、馬たちの命が絶たれないことを願っている。

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