仏検準1級、わたしの二次試験当日リポート!
わたしは2023年度仏検準1級試験を受験し、合格しています。
今回は受験した二次試験についての当日リポートを書いていきたいと思います。選んだテーマや、論述内容、質疑応答について触れています。
尚、準1級の二次試験の出題傾向、勉強や論文構成方法などの「二次試験対策」に関しては前回記事に詳しく書いていますので、そちらを是非ご覧ください。
試験当日
試験当日、朝起きてすぐにもうわたしは緊張していました。
長い期間勉強をしてきたことの集大成を見せる日でしたので朝から落ち着きません。なので『午前中の早い時間の試験で良かった..』と何度も思いつつ、とにかく早く終わってほしい・・もうそれだけを願っていました。笑
二次試験集合時間の1時間くらい前に、わたしは会場最寄駅へ着くように行きました。そして駅近辺のカフェでお茶を飲んで少し気持ちを落ち着かせてから会場に向かいました。ちなみに二次試験会場は2級受験時と同じ、東京のアテネフランセでした。
2級以来の二度目となる会場でしたので、なんとなく着いてからの流れや雰囲気はわかっていながらも、やはり緊張は静かにずっと持っていて、気持ちが張りつめている感じでした。
でもそれは家で色んなことを考えて緊張するものとはもう別の『やるしかない』という差し迫ったものに対峙する緊張だったように思います。
選んだテーマ
試験時刻開始3分前になるとスタッフの方から論述テーマが書かれた紙を渡されます。そこにはA,B, 2つのテーマが書かれているので、2つの内の1つを選び、その場で論述の準備を開始します。
面接時間は7分です。はじめの3分は選んだテーマの論述で(monologueです)、残りの4分は面接官との質疑応答となります。
では、わたしが実際に当時選んだテーマですが、それは「福島原発の処理水の海洋放出について」です。
今振り返ってみると、少しハードな話題を選んだなと思います。笑
このテーマは、当時日本で(日本だけではなく近隣諸国も巻き込んで世界的にもですが)注目された話題であり、連日ニュースでも盛んにやっていたので、時事テーマとしてそのことの内容理解はしていました。なので論述としてはその点は良かったです。
しかし、質疑応答のことは何も想定もしていなかったので、正直なるようにしかならない、といった感じでその場では、はじめの論述だけに焦点をあてて色々考えていました。
論述内容
面接官のいる部屋へ入室し、名前の確認後、どちらのテーマを選んだかを聞かれます。(会話はすべてフランス語で行われます。)
ちなみに面接官は目の前にいる訳ではなく、少し離れて距離を保って座っていらっしやるのですが(面接官は2人)、面接官がテーブル上のタイマーをセットしたのがわかりました。
いよいよ論述がスタートです。
下記は実際にわたしが試験時に言った論述内容です。
※これはわたしが言った一言一句すべて洗い出して書いている訳ではありません。大筋でこのようなことを言った、という記憶に基づくものとなります。
※わたしの論述した内容の正誤、信憑性の担保はできませんのでご了承ください。あくまで面接試験用の枠内でわたしが話したフィクションであると捉えてください。
〈論述〉
「昨年、政府は福島原発事故によって出た汚染水を、法律の定める基準以下にした処理水へと変換し、海洋放出することを決め、それを行いました。
では、この処理水の海洋放出によって起きた影響というのはどのようなものがあるでしょうか?
大きな点として二つ挙げられると思います。
一つは、日本の近隣諸国の中国、韓国などから、海洋放出への強い批判、非難を受けているということです。両国は、海洋放出をすることによって海が汚染され、結果として近隣国の海産物などにも被害が及ぶ結果となると主張しています。
又、このことによる反応として、日本からの輸出品に関して現在輸入制限をかけてきている状況です。
二つ目は、海洋放出をすることによって、福島近隣で獲れた海産物だけではなく、福島の特産品までも、現在日本国内において買い控えという風評被害にまたあっているということです。その影響は福島の人にとって深刻だと思います。
結論として、このような大きな影響はありますが、わたし自身は、政府が海洋放出を決めたことに対しては賛成の立場にいます。それは汚染水の貯蓄の限界量を考えると必然といえるからです。
そもそも国際ルールの基準値にのっとった処理水の海洋放出は他国から非難されるようなことではないと思っています。
他の原発保有国も原発を稼働する上で出ている処理水は海洋放出をしており、同様のことをする日本が非難されるのは理解に苦しみます。
但し、わたしは今回のことで福島近隣の海産物、特産品などがまた風評被害を受けて買い控えが起きているということはとても残念に思っています。
わたしができることは、福島の特産品などを買ってサポートすることだと思っています。それは以前よりやっていることでありますが、今後も福島の農業や漁業関係者の方などををサポートするためにも、商品の購入は続けていこうと思っています。以上です。」
という感じでした。3分もかからなくおそらく終わってしまった論述だったのではないかと体感的には思います。
又、話す時のフランス語の早さは、遅すぎず早すぎずのテンポで、はっきりめに話しました。堂々としっかり発音して、声量はやや大きめだったと思います。
さて、続いてこの論述、テーマに関して実際にされた質問です。
質疑応答
こちらも思い出せる範囲で、実際にされた質問を書こうと思いますが、緊張していたせいと、試験が終わった瞬間に「もうすべてを忘れてしまおう」と思っいてたせいで 笑(どんだけきつかったんでしょうか 笑)記憶がないところがおそらくあります。
なのでとにかく思い出せる聞かれたことすべて書きますが、いくつか欠如しているかもしれません。
面接官(以下、「面」) わたし(以下、「E」)と記します。
面「隣国中国がこの件に関して非難をしていて、輸入規制をしてきたことについてはあなたはどう思いますか?」
E「日本は汚染水を海洋放出しているのではなく、国際ルールより低い値にした処理水を放出しているので、非難をされることはおかしいと思います。日本の水産物の禁輸も撤廃するべきだと思っています。
但し、日本政府は、科学的データを今後も世界に公表し、国際ルールにのっとっているということを世界に向けてアピールし続ける必要はあるとは思っています。」
面「日本政府が公表している処理水の数値が正しいとあなたは信じていますか?」
(前回の記事に少し書きましたが、この質問がはじめはもっと長く、もっと細かく言われたんです。IAEAの数値がどうとか、なんとか、など言ったような気がするのですが、ちょっと難しくてわたしは聞かれている内容が分からなくて、頭の中が「・・・。」となりました。
なので「もう一回お願いします」と、その時すぐに面接官に聞き直しています。そうすると、少し言い方を変えて質問をしてくれました。その質問が上記でした。)
E「はい、信じています。うーん。。信じている、というより他に選択肢がないと思います。」
面「福島の海産物が国内でも買い控えになっていることをあなたはどう思いますか?」
E「とても残念です。我々日本人は福島や近隣の漁業をサポートする必要があると思います。」
面「あなた自身は、現在福島で獲れる海産物を食べたいと思いますか?」
E「はい、何も問題を感じていません。」
面「福島の商品がこのことで買い控えが起きていると思うのはなぜですか?」
E「スーパーなどで、福島産の商品が他県産と同じ野菜、果物であってもより安価な価格で売られているのをよく見かけるからです。とても残念な気持ちになります。わたしはあえて福島産のものを買うようにしています。安いからそれは嬉しいことですし、なにより福島産の野菜や果物は、本当に美味しいんです!」
(と言ったら、面接官が少し微笑みました。)
面「そうなんですね、普段福島のどんな野菜を買っているんですか?何かおすすめのものはありますか?」
(野菜推しをしたので、こう聞かれたのかもしれません。ちょっとここは楽しかったです。)
E「緑系の葉物野菜はなんでも美味しいですし、果物でいえば、やはり桃ですね。」
(実はここで、パッと野菜のフランス語名がでてこなかったんです。ヤバいと思いました。わたしは食材名がけっこう疎くて、ふんわりと「緑の野菜」などと言う情けない発言をして、内心嘆いたのを覚えています。)
で、確かこの後くらいに、面接官が次はどんな質問をしようかなとテーブルのメモを見た際にタイマーが鳴りました。
(他にも小さな質問があった気がしなくもないのですが、思い出せる範囲ではこれがすべてとなります。)
ということで、ここでタイムアップです。
わたしの準1級受験はこうやって終わりました。
もしテーマが分からなかったら
どちらのテーマもいけるぞ!と思った場合は、当然自分がより論じやすい方を選ぶということはもとより、その後の質疑応答までちょっと想定してみて、より会話しやすそうなテーマを選ぶのも良いかと思います。
では、逆にどちらもなんかイマイチ分からないテーマで、あまり知識もない話題でどうしよう.. となった場合はどうすればよいでしょうか。
もしわたしなら、、と考えたことを書きます。
わたしだったら、分からないけどそれに似たような話題なら言えるかも、近しい出来事なら知っているかも、というものをとにかくまず探します。
そして少しでもそれらを利用してちょっとでも話せるかもしれない、と思えるテーマの方に賭けて論述します。
そもそも二次試験は、テーマ自体の知識を持っているかどうかを見る試験ではないので(知識があるに越したことはないのですが)、たとえ面接官から見て『この人このことの知識あまりないんだろうな』と思われたとしても、別にそれはいいと思います。(わたしの見解です)
大事なのは「それでもわたしは巻き返しますよ」という、自分の持っているフランス語力を見せればよいと思います。
わたしならちょっとでもネタにできそうな出来事がある方に全ベットして、やるしかないと腹をくくり、やり切ろうとすると思います。
なんでもよいから論じてみてほしいと思います。論じるフランス語力を持っているかを相手は見たいと思っているからです。
『この受験者、テーマに関する知識はあまりないみたいだけど、論じる力や対話力はあるんだな』と相手に思わせるようわたしはやります。
(絶対に最後まであがこうとわたしなら思います。)
展開する時の言葉や、まとめる言葉、フランス語の話力など総動員して自分の今のフランス語力を絶対に面接官に見せて終えたい、と思います。
近しいニュースや、出来事ですらも何もでてこなければ、身近なことで「自分の住んでる地域ではこうです」など、自分の方に話題を引っ張って持っていってでもわたしならやってみるようします。
ここまでこぎつけた試験です。やれる道はあると信じてやってみましょう。
更に、わたしなら、「理解や知識が乏しくてよくわかりません。特に意見はありません。」などとは絶対に言わないようにします。(本当は言いたくてもです。笑)
言うなら、「それに関してあまり詳しくはないのですが」と前振りをして「でも、わたしは〇〇ということをその事で思い出しました。それは、〜〜ということですが、わたしはそれは、こう思います。」など話題を相手にふります。
面接官も、そのことへの質問に移行すると思います。なぜなら、移行しないと会話が成り立たなくなる可能性が高いからです。
面接官も対話をしないと受験者の査定ができません。もちろんテーマからかけ離れ過ぎた話はしない方がいいと思いますが、派生したネタくらいであれば絶対に次の会話につながると思います。
とにかく諦めないで、割り切って人生の中の10分間だけですから(準備時間3分+面接7分です)そこにすべてを懸けてみて自分を鼓舞してみてほしいと思います。
そこまでやったらもう結果は後から付いてくるだけなので、わたしだったら「もうやれることはやった。だから最後の審判を甘んじて受けよう」と思います。
しかし、そうやって乗り越えた10分は、自分を本当にとてもタフにさせる良い経験になると思います。最後にそんな自分に是非ご褒美をあげてほしいとも思います。笑
ちなみにわたしは試験帰り、会場近くにある推しグッズの店(専門ショップがあったので)そこに行って自分にグッズをプレゼント(ご褒美)して帰りました。そして夜はお酒飲んで寝て、もうすべてを忘れたい、と思っていました。笑
最後に
わたしは二次試験を受ける前は、不安や心配で緊張しましたし、かっこよく余裕のフェーズで挑んだ試験でもなかったので、とにかくやるしかないという120%の心意気だけを携えて闘った試験でした。
これらの体験や経験談が、これから二次試験を控えている方や、今後準1級の受験をしようかと検討されている方などに、少しでもお役に立てたらうれしいと思っています。
ここまで長文をお読みくださりありがとうございました。
ではまた次回のnoteでお会いしましょう!
À bientôt !
Eva