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アートじゃない方の黒板

「黒板を書く仕事をしています」
と、言うと必ず
「絵の勉強したのですか?美大とか出ているんですか?」

と、とにかく初めての方に必ず聞かれる。

2014年に独立をして、7年経ちますが
最初からずーーーーっと
「美大は出ていませんし、専門的にイラストなどを勉強してはいません」
ともう数えきれないほどお答えしてきた。

それぐらい、やっぱり
黒板書いてる=イラストが上手な人
という発想になるのが一般的です。

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つい最近、老舗割烹料理店様から黒板のご依頼を頂きました。

女将さんからは
「黒板というと、華やかなイラストが書かれていて
おしゃれなカフェに置かれているイメージなので、正直うちのお店には
合わないかな、と思っていました。」
と最初のお打ち合わせの時に言われました。

書き終わった時は、
「お店の雰囲気にピッタリで
イメージしていた通りの黒板になって嬉しいです

と嬉しいお言葉を頂きました。

私の黒板はまず第一に、飲食店さんの場合は
「こんな嬉しいサービスがあり、魅力あるかたがお料理を作っているから
ぜひ知って欲しい」という気持ちが根底にあります。

そのため、お料理をいただくことはもちろん、
オーナーに取材をして、そのお店にしかない魅力を引き出す
という仕事があります。

今回の場合は老舗ですが、
新しいお客様にもお店を知って欲しいし
美味しいものをゆったり召し上がって欲しいということ。
黒板を出すにあたって、名店なので特にチープな感じにしてはいけない。
伝統と新しさを同居させなくてはいけないな、ということが
浮かびました。

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2面書くことになっていましたので、
1面は伝統的な雰囲気、2面は新しさと分けてみようと
考えました。

私は黒板を全てポスカで書いています。
ポスカは正直カラーバリエーションが少なく
限られたカラーの中で、いつもそのお店の雰囲気に合わせて
色を選んで書くところから考えていきます。

コーポレートカラーが決まっている場合は、必ずそのカラーを
使うようにしています。

「和」なんだけれど、やや「洋」

このバランス大事。
お店によって全部違う。同じお店は一つとありません。

書く言葉だけではなくて、全体のバランス。
どんな色やどんな柄で発信するのか。

この時は、和モダンな柄を使おう!と思っていたら
店内に素敵なテーブルクロスを目にして、その柄を
急遽アレンジしてみました。

絵が上手に描けることも必要ではあります。
でもそれ以上にそのお店は何を発信して
何を伝えたいのか、それを黒板に書くのが自分の仕事。

「絵の勉強しているんですか?」と聞かれた時に
起業したての時、専門の勉強をしていないことが
恥ずかしいことだと思っていた。

けれど、素晴らしいイラストが黒板に書けなくても、
売り上げを上げたり、スタッフのモチベーションが上がったり、
お客様に笑顔になってもらうことができると分かった今は、
なにより取材と編集が肝なんだと自信持って言えるようになった。

それは、なにより足を使って現場で書くことを続けてきたからだ。

これからも、イラストは勉強しつつ現場で書き続けることを
大切にしたい。



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