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ECサイトのリニューアルが失敗する理由

こんにちは。フラクタPRチームの小中です。私は、以前広報のかたわらいくつかのプロジェクトにアシスタントディレクターとして参加していたことがあります。今回はその経験も踏まえ、ECサイトのリニューアルについて書いていこうと思います。

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悲しいことに、今日(こんにち)ではECサイトのリニューアルを行い、炎上、失敗、そしてサイト公開を延期する事態が後をたちません。
ECサイトのリニューアルは今までも数多く行われているはずなのに、なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

今回は、リニューアル炎上の原因となる、認識の相違とその解決方法について書いていきます。また、そもそもリニューアルしなくてもよいECサイトについて、フラクタがサイト構築でShopifyを利用する理由の一つでもある、その仕組みを少しご紹介します。

リニューアル=今のまま良くなると思ってはいけない

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いきなりすごい見出しですみません。

ECサイトのリニューアルは、一般的にどんなシーンで実施されるのでしょうか。
例えば、ブランドの規模が大きくなり、運用面において使っているプラットフォームでは物足りなく感じた時。リブランディングにあたり、サイトデザインの刷新を行いたい時。使っているプラットフォームのバージョンが古くなった時。ランニングコストを見直して、その分を別の投資に使いたい時。
理由は様々ですが、ブランドの成長に伴いECサイトの何かを改善したい時に、リニューアルを考えると思います。

そして、その何かを変えるときは必ず「今のままでさらに良くなる = アップデート」という思いを持ってリニューアルに着手するでしょう。
その思いが実は間違いなのです。

一体どういうことなのでしょうか。
恋愛関係を例に出して(!)みましょう。

例えば今、感覚や好きなものがだいたい似通っている、長く付き合っている恋人がいるとします。その後、雷が打たれたような恋をして、以前からお付き合いしている方とお別れし、新しい恋人とお付き合いしたとします。付き合っていくうちに、その恋人が自分と感覚や意見が結構ずれていることに気付きます。どうでしょうか、なかなかやきもきしてしまう場面がありそうですよね。
「前の恋人は、こんなことで意見が食い違うことはなかったのに....」
以前の状態に戻りたいと、ふと思ってしまうこともあるでしょう。

人は、何かを刷新する際に、「以前の良さは維持されたまま、新たな価値が追加される」と思ってしまう特性があります。
新しい恋人は「すべてにおいてもっといいはずだ」と勘違いしてしまうのです。
しかし、人は千差万別であり、いろんな価値観の人間がいて当たり前で、人によって何がいいか悪いかは全く違うもの。勝手が違うとやきもきするのは、前があってもなくても当たり前なのです。
その中で、以前のものをベースに物事を考えるということは、以前のものとの差異を悪いと思う原因になってしまいます。

実は、この現象は炎上したECサイトのリニューアル案件でもよく起こりがちだったりします。ECをリニューアルする際に、よく陥りがちなのが「今の良いところはすべて維持された状態でさらに良くなる」と期待すること。もちろん、その期待は間違いではないですし、叶えるに越したことはありません。
ただし、現状のプラットフォームとリニューアル先のプラットフォームによって、仕様や機能、得意分野など違うことが多くあります。
現状のプラットフォームと、リニューアル先のプラットフォームの仕様が全然違うのに、そして「現状の良いところ」を具体的に定義していない状態で同じことを実現するように要求をすると、それを実現するのに多くの時間や工数がかかってしまいます。

それにより、期間が長引き、実現に苦労し、さらには解釈の違いからの再設計などが発生。ひいては炎上する可能性を高める原因の一つとなります。そのまま「アップデート」ではない。ECサイトのリプレイス(≒リニューアル)というのはそういうものなのです。
「仕様が変わる。出来上がったものは設計や機能、目的が違う。ただし、リニューアルによって一番叶えたいことは全力で叶える
”今のまま”良くなるものではない。新しくECサイトを構築し、全体最適として今よりいいものを作る。そう思ってリニューアルを実施すると理解する(理解してもらう)と、炎上の可能性は下がってきます。

それだけじゃない!機能の違いは「言葉の定義」の違い

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先ほど記述したリニューアル=「今のままよくなるアップデート」ではない、というのはいわば炎上する際の心理的な要因です。では、機能的要因についても書いていきましょう。

車で例えますが、「ワゴンR」はガソリンで動く軽自動車です。値段も比較的お手頃で、軽の中でも広い車内を有するためお使いの方も多くいます。
ただ、今ワゴンRを使っている人に「新しく車を買うとしたら、完全電気自動車のワゴンRを買う?」と聞かれると即決でYESと答える人は少ないでしょう。
エンジンが変わるということは、オペレーションが変わるということです。
ガソリンで動く車の場合、遠出する際には「近所のあそこにガソリンスタンドがあるな...」と考えて移動を組めますが、電気自動車の場合はそれができません。電気自動車を買う場合は、充電がどこでできるか、自宅で充電ができるのかなどを考えて「電気自動車を買う基準を元に」選び直す必要があります。今のままで、電気自動車の恩恵を受けられるわけではありません。一方で「ハイブリッド車」は、両方の良いところどりですが、2つのエンジンを積むことにより、全体重量が重くなり、室内の広さも狭くなります。すべてを満たす選択肢は、よほどの技術革新が起きない限りは実現されないのです。この状態は「パレート効率的である」と表現され、長年成長を続けてきたECの世界の一つの到達点とも言えます。

つまり、ECサイトのリニューアルも同じく、エンジン(プラットフォームのシステム)が変わると、オペレーション(運用方法)が変わるということです。

これによって発生するのは、言葉の定義の違いによる、機能性の違いです。
定期購入、と聞くとどんな仕組みを想像するでしょうか。かたや配達される日時や曜日の選択が可能であり、かたや「毎月同じスパンで同じ商品だけが届く」という機能しかないものもあります。リニューアル時によく曲者になるのがこの定期購入という仕様で、ECサイトのプラットフォームではこの定期購入の仕組みが様々なのに対し、リニューアル時には「今利用している定期購入と全く同じものが流用できる」と思ってしまい、その実現に想像以上の工数がかかり、炎上するパターンがあります。

定期購入という、言葉の定義はシステムによって全く違います。「違うこと」が問題なのではなく、その仕組みの条件をプロジェクトに関わる全員が齟齬なく理解することがリニューアルを成功するにあたって大切なこととなります。
それを行うのがいわゆる「要件定義*」と呼ばれるものですね。これをしっかりリニューアルに関わる全員で行うことで、炎上する確率は格段に下がります。

*要件定義=システムやソフトウェアの開発において、実装すべき機能や満たすべき性能などを明確にしていく作業のこと。

炎上してしまった時は

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ここまで、ECサイトをリニューアルしようとして炎上した際の心理的要因、機能的要因について書きました。それでも炎上してしまった時はどうするのか?
もちろん、ここに書いたことをどんなに気をつけても人間同士ですから、何かのきっかけで炎上することは多々あります。

一番簡単なのは、客観的な立場の人が入ってプロジェクトの補正をかけることです。例えば、プロジェクト外の上長だったり、弊社のようなエージェンシーに頼むのも一つの手ではありますが、シンプルな解決策として、どれだけ「最低限ここまできたらOK!」という道を作れるかが鍵となります。

炎上の理由はそのほとんどが人間同士の認識の相違や、少しの思い込みによって生まれます。人間というのは、特性上「自分が考えやすいものを優先する」存在であり、実は客観的かつ、冷静な判断というのはできていないことが多いです。
その前提を置いた上で、コミュニケーションをどれだけ改善していけるか。こういうことをしてねという道筋を作り、ここまできたらOK!というゴールを作って、まずは完走させること。それが非常に重要となってきます。そして、短いスパンで道筋、ゴール、道筋、ゴールと続けていくことで炎上状態から徐々に回復することが可能です。

炎上した際に、この道筋を走ることをどう矯正するか?というのがPM(プロジェクトマネージャー)の仕事ではありますが、それをするには炎上した後だとプロジェクト内のメンバーだけでは非常に難しくなります。なので、客観的な目線をもつ立場の人が介入することが重要です。そして、客観的な視点を持つ人は、プロジェクトの開始当初から常に寄り添って、プロジェクトを進めていくことが理想的です。

そもそもリニューアルしなければ炎上しないのでは

そうなんですよね。なかなか難しいことではありますが、そもそもリニューアルをしないというのが炎上しない一番の対策となります。
ただし、それではこのとてつもなく早いEコマースの世界の流れから取り残されてしまうことも。
フラクタは長年ECサイトのプロジェクトに関わってきて、今ここでECプラットフォームの中でもShopifyを使用することを推奨している理由の一つに、「サイトの成長性」をあげています。

Shopifyは、主に3つの料金プランからサイト作成をすることができ、またアプリでの拡張性も手伝い、ブランドの立ち位置や成長具合によって様々な活用方法を取ることが可能です。料金もブランドの成長に伴い選択することができるので、ブランドの規模が大きくなってリニューアル、をしなくていいだけでなく、最初から成長を見越して大きいコストを抱える必要もありません。
そのような理由から、ShopifyというプラットフォームがECサイト、特に成長性のあるD2Cブランドに適しているとお伝えしています。

FRACTAがShopifyを使う理由については、詳しくはこちら


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