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ワインとこれから
ワインスクールの授業を終えてから、もう3年以上が経っている。
ワインエキスパートの一次試験が合格、調子に乗ってWSETの試験対策講座を申し込んでしまったのはちょうど4年前の今頃だ。つい最近のように感じているが、もうずいぶん前のことだ。
その頃は、今とは全く状況が異なっていた。当時はスクールまで30分かからない所に住んでいたし、またコロナ禍で今よりもなにかと余裕があった。
でも今は引越して、また仕事のほかにもいろいろと手を出しているので、時間的にも金銭的にも、ワインの優先順位はずいぶんと低くなってしまった。そもそもこの1か月、あまりワインを飲んでいない。
そんな中、今の業務がひとつの節目を迎えようとしている来春を目途に、この波に乗っかる形で、つまり周りに波風立てない形で環境を改めることについて、いつになく現実的なものとして考えているところである。
◆
2年前、フランスでワインの勉強がしたいことを書いていた。
この記事をnoteのトップページに貼り、ときどき意識できるようにしておいた。貼り付けてから1年以上、放置されることになるのだが……。
そしてその後、フランスワインを巡る旅をした。
(最終日のマルゴー訪問記を書けないまま、今に至っている……)
ワインのことを考えると、とてもわくわくする。
フランスのことを考えても、とてもわくわくする。
でもこれからの生活を考えると、わくわくしない……。
それでも今の職場で数年、業務に、業務外に、そわそわしながらワインのエッセンスを足す術を考えてきた。その方法が少しずつながら分かり、2件、3件くらいではあるが形になった。しかし当たり前だが、方法の許容範囲は、とても限られている。
幸いにもずっと就きたかった分野に長く従事させてもらい、外に出て勉強する機会ももらった。しかし今後、ワインはもちろんその分野とは異なる、いわば管理系の業務がもっと増えることが目に見えている。上層部や職場の空気を読みながら安全圏の中で意思決定をし、組織として行動することがより強く求められる。それに対する違和感と、それを受け入れると今まで培ってきたアイデンティティが崩壊してしまうのではないかという不安。大げさでわがままかもしれない。でも、そんな意識の人間がいたら、他人にも迷惑だろう……。
◆
ワインと、旅と、フランス語。
このわくわく感が湧くところを突き詰めてみると、私の場合、おいしいワインを飲むことはもちろん好きだが、それ以上に、ワインがもつ地理的、文化的、社会的な背景とか、フランス人や日本人の多くが「ワインが好き」という日仏の共通点に面白味を感じているのだと思う。そこには深い歴史があり、また、未来もある。とても表現しにくいのだが……。
だから今は、「フランスでワインを学ぶ」そのものよりも、この「わくわくを活かす」ことができないかを考えている。
わくわくというのはとても曖昧だ。
だからこそ、アプローチの仕方はいろいろあると思う。
今考えているのは、ワインそのものはいったん脇に置いておいて、マネジメントを学ぶということだ。
ここで多くの方に思われるかもしれない。
管理的な立場が嫌で辞めて、経営を学ぶなんて、「大分矛盾している」と……。
経営といってもファイナンスや組織論、戦略論など、枝は細かく分かれる。私はその中でも特にアントレプレナーシップ、つまり既存の枠組みを超えて新しい価値を生みだし、世の中に貢献するためのノウハウを学んでみたい。これは古巣に戻ってイノベーションを起こすためではなく(そもそも多分求められていない)、私がこそこそ研究していた「ワインのエッセンスを足す術」、わくわくの部分にフォーカスし、発展させること。
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有り余る情熱をぶつける先が不明な状態をもう長い間感じている。だからワインエキスパートを取ったり、フランス語の勉強に走ってきたのかもしれない(力が有り余り?、ジョギングもしている)。
「フランスでワインを勉強しようかな」
わくわくを活かせていない現状を破りたい。上の図にあるIkigaiの核心に到達するには、自分の置かれた環境を変えるしかない。
マネジメントと言っても、若いエリートたちがMBAを取りに行くのとはちょっと違う。そもそも私は若くもなければエリートでもない。でも、自己満足かもしれないが来春がひとつの区切りであるのに変わりはなさそうなこと、そして自分の人生の中では今が一番若いのだ。社会人経験を積みながらわくわくを育み続け、その上選択の余地はある立場にあるのに、現状に甘んじてわくわくする選択をしなかったら、後になってきっと後悔してしまう気がしている。
もちろんいつか、ワインそのものももっと学びたいけれど、今のところそれは「いつか」で構わない。
とはいえ学びの機会は実際、誰でもアクセスできるわけではなさそうだ。学歴やこれまでの実績の洗い出し、志望の動機の準備、またその先についての考えもまだぶれぶれで、外の世界に出たらいとも簡単にポキンと心が折れてしまいそうだ。
わくわくの本質をどうやって言葉にし、身を置きたい環境に受け入れてもらえるか、またその先にどんな可能性があるだろう。秋の気配を感じる前にもっと考えたい。
2024.8 追加
その先のことはワインと関連がなくなりそうなので、note別冊で綴ろうと思う。