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FR0SCのこっち側 【FR0SC】

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“Inside FR0SC”。 FR0SCの中の人達が、活動の裏側や、考えていること、クリエイティブな活動を語ります。 (それぞれの記事は個人の見解であり団体を代表するものでは…
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2020年9月の記事一覧

英語のギャグが翻訳できなかった話

先日、Doki Doki Literature Club (DDLC)というゲームが3周年を迎えた。私がDDLCを知ったのは公開されてからかなり後だったが、知人にいきなりオススメされてプレイした感じだ。ちなみにSteamから無料でダウンロードできる。 「どんな情報でもネタバレになるから絶対にネットで調べないでね!」と言われたため素直に情報を一切インプットせずにプレイ。 見た目はよくあるギャルゲーで、ジャンルも普通のノベルゲームなのだが開発元はアメリカ。当然言語も英語となって

自分のために、周りのために、痛みを引き受けられるか。

そうだ痛かったな痛い。 ふと気づいて左腕に目を向ける。 前腕の一部分が赤黒く変色し、少し皮膚が膨れている。 きっと昨日、仕事中にドライアイスを触ったからだろう。 一気に大量のドライアイスを運ぼうとしたせいで、無理な姿勢を取る中で長時間触れていた部分があったことを思い出す。 あの時は確かに痛かった。 正確に言えば、「痛いと思って」いた。 蹴りも殴りもしないのに喧嘩が強いと言われる昔から自分は痛みに対して反応が鈍いような気がしている。 幼年期から少年期にかけては、特

「via」ってどう訳した?

今回は「via」の話です。ちょっとマニアックですね。 前回はAboutについて書きました。 いざ訳そうとして,「via」に出会うと一瞬考えてしまいます。 普通は,「Share this content via Twitter」とか,「This episode is available via App Store」とか(例がてきとうですみません,普通はonを使うのが自然な気がするのですが,あまり思いつかなくて…),そんな使い方だとおもいます。〜を経由して,とか,そういうイメ

アンチApple原理主義者、iPadの代わりにFire HDを買う

数ヶ月前、急ぎではないもののタブレットが新たに1台必要になった。 ちょうどデジタルで絵を描いてみたいと思っていたこともあり、絵が描けるコスパの良いタブレットが欲しいとガジェットオタクの友人に尋ねて回ったところ、全員が全員「とりあえずiPad買っとけ」との返答。とうとう私の周りにもApple信者という名の感染症が流行りだしたらしい。 「Apple製品がコスパ良いわけないだろ!」とアドバイスを一蹴し自分で調べることにした。 ……が、結局「iPadのコスパかなり良いのでは?」と

「記憶の珍味」展に行ってみた

* 展示のネタバレ?を含みますので、いく予定がある方・ちょっとでも行ってみようと思っている方は、行ってから読むことをおすすめします。体験としてはすごくレベルが高くてよいものでした。 もともと記憶の珍味展には興味がありました。ただ、行こうと予定していたのが3月で、ご存知の通りの原因で開催が中断され、行けないまま半年が過ぎてしまいました。 そんなとき、Twitterで記憶の珍味展が再開するという情報を得たのです。だから行ってみることにしました。なんてシンプルな構図。 今回はそ

22時間かけて名古屋から仙台までフェリーで移動した話

フェリー、それは最も贅沢に時間を使う移動手段。今回の内容は前回名古屋で鉄オタ活動をしていた続きになる。 名古屋から仙台は新幹線を使うと3時間半。東京駅での乗り換えを考慮すると飛行機を利用する人の方が多いかもしれない。 18きっぷを使う場合は在来線で13時間。1日移動に使いたくなければ夜行バスも走っている。 そんなわけでわざわざ22時間もかけてフェリーを利用するという選択肢はあまり合理的ではないだろう。 ……それでも、フェリーでの旅にはロマンがある。 太平洋フェリーは名

虚無からラーメン

なんだか死にたい。なんの問題もないのに。 時々意味もなく死にたくなる時がある。 それは積極的なものではなく、消極的なものだ。 なんだかすべてが味気なくて、なにをしていても空虚に感じてしまう。 何のために稼ぐのかわからない金を稼ぎ、時間が来れば画面の前に座り録画された教授の顔を見て右の人差し指を少しだけ上下に動かし、まずいわけではないが特別おいしくもない食事を摂り、明日のことを考えて眠りにつく。 もちろん日々の中で、友人と連絡を取り合ったり、先生と会ったり、映画を観たり本

「About」ってどう訳した?(またはアバウトなAboutの話)

アプリのローカライゼーションの文脈で、訳すのが難しい語のトップ5に入ると思うのが「About」です。 (前回はSubscriptionについて書きました) なぜでしょう?これを説明するには、少し背景が必要です。 日本語へのローカライゼーションが必要になる際、依頼の多くは英語から日本語です。私が関わっているアプリはもともと中国の開発チームですが、それでも基準を英語として、そこから様々な言語に翻訳されます。 そして、英語表記のアプリを使ったことがある方なら(あるいは日本語

名古屋で鉄オタ活動していたらなぜかバスが来た話

突然だが鉄道の定義とは何だろうか。辞書を引いてみると以下のような記述があった。 レールを敷き、その上に電車・列車などを走らせ、人や貨物を運ぶ陸上交通機関。日本では明治5年(1872)の新橋・横浜間の開業を最初とする。 (goo辞書より引用) ……なるほど。鉄道は専用のレールを敷いてその上を走る必要があるため、道路の上を走るバスなどは鉄道には当てはまらないわけだ。「そんなん当たり前やろ!」と思うかもしれないが、名古屋にはこの定義を揺るがす鉄道が存在した。そんなわけで今回は

ヒッチハイク旅 家の前から北海道編(2)

* 前回のお話 大筋は、とある大学生が北海道へ向けて家の前からヒッチハイクを始めて、SAへ徒歩で侵入するためにとある駅へ着いたところまでの話である。 それでは続きを書いていこう。 * その駅からSAに入ってしまえば、あとはどの車でも乗せてもらえれば目的地に着くというイージーで極楽な旅が待っている。 駅に着くとSAを目指し傾斜の激しい坂を上り、時々汗を拭き、水分を補給しながら約束の地を目指しただ歩き続けた。そこにたどり着けばこの旅は終わる。そう信じて苦も苦だと思わず