「年金」#06: 年金増額大作戦!!
※このコンテンツでは年金=老齢(基礎・厚生)年金を指します。
年金シリーズ目次
#00:後悔しない老齢基礎年金と老齢厚生年金
#01:年金に対する考え方と受給のタイミング
#02:税金と社会保険料
#03:年金受給の条件と計算
#04:年金に関する制度
#05:繰上げ・繰下げ受給
#06:年金増額大作戦!!
#07:知っておきたい年金用語
#08:年金がさらにもらえる?!年金生活者支援給付金制度
#09:付加年金最高説
前回#5にて、繰下げ受給することで年金受給額が増額されることは知っていただけたと思いますが、それ以外の方法で増額方法ってないの?もっと増やしたい!!と思われている方もたくさんいらっしゃる…どころか、皆さんそうだと思うので、そのあたりのお話しします。
実は今回お話しする内容は、これまでちょくちょく話は出てきています。それらの話を増額だけに絞ってまとめ&詳しくお話していくという感じで話進めていきますね!!
老齢基礎年金と老齢厚生年金の違い
増額の話の前に、老齢基礎年金(以降【基礎】と表記)と老齢厚生年金(以降【厚生】と表記)の違いについてお話します。
老齢基礎・厚生年金受給開始後の増額可能可否について
基礎は、年金受給開始したら年金額は確定され、一切増額できません。
厚生は、年金受給開始後でも、70歳まで年金額増額が可能です。
ここ大きな違いです。基礎は貰い始めたらもうどうにもなりません。厚生は後でもお話ししますが、在職老齢年金という制度で、働きながら、年金を貰い、さらに年金受給額を(基本一年に一回)増額することが可能です。
基礎と厚生の年金額計算の違い
単純にいうと、以下の通りです。
基礎:【減算方式】満額から、未納・猶予・免除期間に対応した、減額が行われる。
厚生:【加算方式】厚生年金の加入期間が長い程、支払保険料が高い程多く貰える。
なので、増額する場合、基礎は未納・猶予・免除期間を納付済み期間にする。厚生は加入期間を長く、保険料納付額を増やしていくということになります。また、基礎の場合、満額という年金受給の上限額がありますが、厚生にはありません。
老齢基礎年金の増額
国民年金の納付済期間が480か月(40年)になると基礎が満額受給できます。基礎の増額の基本的な考え方は、先ほどお話ししました、「未納・猶予・免除期間」を「納付済期間」に変換(実際は変換ではないケースがありますがイメージとして)していくことになります。
そのため、20歳~60歳到達時点(国民年金保険強制加入期間)で、未納・猶予・免除期間が全くない方は、必然的に納付済期間が480か月ある納付パーフェクト達成者となり、満額支給となるため、増額対策は、繰下げ受給以外行う必要がありません。
未納・猶予・免除期間とは?
未納期間=国民年金保険料未払期間 (納付期限から2年間は納付可能)
猶予期間=学生納付特例・納付猶予 (追納可能期間10年)
免除期間=法定免除・申請免除 (追納可能期間10年)
未納は保険料納付しないといけないのに、勝手に払っていない期間。
猶予・免除は申請し、承認を受けた上で国民年金保険料を納付していない期間となります。
#3の「受給資格期間について」 #4の「年金にかかわる主な制度について」をご参考ください。
免除期間には色々ある
免除期間は、国民年金保険料が全額免除されるもの(法定免除もこれ)から3/4免除・半額・1/4免除とあります。この免除期間は、国から1/2か月分補助があるため、例えば全額免除だと国民年金保険料を一切払っていなくても、1/2か月分(要は一か月受給年金額の半額)は年金額に加算されます。
後で説明する追納は、免除期間の免除された国民年金保険料をさかのぼって支払う制度ですが、上記のとおり1/2か月分は補助があるため、一か月分満額にしたい=追納する 一か月分半額でいい=追納しない という調整を行うことが可能です。
一ヶ月でいくら増えるの?
一か月未納・猶予から納付済に変換できた場合の増額分
満額780,900円÷480(か月)=1,627円 となります。
※毎年の改定率は考慮しない
では、増額方法をお話ししていきます。
国民年金保険料未納期間の納付
国民年金保険料を納付しないといけない(国民年金第1号被保険者の方)のに、払わなかった場合は、未納となります。しかし、納付期限から2年間限定で、遡って国民年金保険料を納付することが可能です。
納付することにより未納期間→納付済期間となり基礎年金が増額されます。
追納
後になってやっぱり猶予・免除された分の保険料払う!!といった時から遡って10年間以内の猶予・免除期間について保険料を払うことができます。よくあるのが大学生の時に「学生納付特例」で保険料を納付猶予しておき、社会人になってから追納するケースです。
追納することにより、猶予・免除期間→納付済期間となり基礎年金が増額されます。
追納については、#4の「追納」の項目も参考にどうぞ
任意加入
国民年金に強制加入(=日本在住の20歳~60歳到達までの方)ではない方たちが、希望すれば国民年金に加入できます。強制加入の方と同額の保険料の納付が必要です。
主な任意加入できる方
・60歳から65歳到達までの方で、厚生年金に加入していない
・20歳から65歳到達までの方で、海外在住の日本人
※国民年金の納付済期間が480か月ある方(老齢基礎年金を満額もらえる方)は加入できません
任期加入期間分、未納・猶予・免除→納付済期間となり基礎年金が増額されます。
任意加入については、#4の「任意加入」の項目も参考にどうぞ
上記3つが基礎の増額方法になります。ご覧の通り、すべての方法が行使できる期間や年齢が決まっています。この期間や年齢を逃すと増額方法はありません。
老齢厚生年金の増額
前述した通り、厚生は加算方式のため、長く加入するほど、厚年保険料を多く納めるほど老齢厚年年金受給額が増額されます。なお、厚生は70歳まで増額可能です。
一ヶ月でいくら増えるの?
基礎より計算が複雑なため、簡易的な計算でおおよその目安となりますが、標準報酬月額が20万円の場合
200,000×5.481/1000=1,096円 となります。
※標準報酬月額についての詳細は ここ をご覧ください
厚年の受給額計算は、賞与支給時にも厚年保険料払っていたら加算されたり、その他も色々あるので、あくまでおおよその目安としてご理解ください。
では、増額方法をお話ししていきます。
とにかく厚生年金保険に長く加入し、高く保険料を納付する
厚生はこれしかありません。保険料を高く=給料が上がるってことなので、これは自分の意志ではどうにもなりませんが、厚生年金保険に加入することは、会社に勤める事やパート・アルバイトの方なら労働時間を増やし、社保扶養から外れ、自ら厚生年金の被保険者となる(厚年加入できる会社に限る)ことで加入期間を増やすことが可能です。
~の壁なんていって、社保扶養から外れないよう働くことをセーブされている方もいらっしゃると思いますが、今の厚生年金保険料負担と、将来の老齢厚生年金受給をどう考えるか…目先の保険料負担だけに捉われず、ご自身で厚生年金に加入すれば、当然ご自身も厚生が受給できるということもお忘れないように…
在職老齢年金
厚生年金に加入しながら厚生が受給でき、かつ将来の老齢厚生年金受給額を増額することが可能です。
※厚生年金保険に加入しているので、厚生年金保険料の納付が発生します。
基本的に給与と厚生両方貰えますが、合算額が一定額を超えると厚生年金受給額が調整(減額)されます。
簡単に厚生年金受給額の減額調整計算方法をお話しすると
・厚生年金受給額÷12(ようは一か月分)
・一か月分の給与
・当該支給月から遡った12か月以内に支払われた賞与÷12(ようは一か月分)
上記3つを足し48万円(年により変動)を超えなければ、厚生は満額受給できます。
48万円を超えた場合は、超えた金額の1/2が厚生年金受給額から減額されます。
※この計算には、基礎を貰っているか否かや基礎年金受給額は全く関係ありません。また、この計算は簡易的な考え方なので、厳密には異なります。あくまで目安です。
(計算例)
一か月の厚生年金受給額 20万円 一か月の給与40万円 の場合
20万+40万=60万 60万-48万=12万 12万の1/2で6万円
厚生年金受給額20万-6万=14万 が調整後の厚生年金受給額となります。
詳細が知りたいという方は 日本年金機構の この ページをご覧ください。
大作戦!!とか言ってる割りにはしょぼい?
どうでしたか?思ったより増えないなと思われませんでしたか、特に基礎は満額の上限があり、780,900円以上増えません。
また未納や追納は行使期間が決められているため、後で気づいた時には遅かった…ってこともあり得ます。未納・猶予・免除期間がある方は、まず、いつあったかを確認(年金事務所やねんきん定期便で確認できます)しましょう。
確実にいえることは、基礎だけでは絶対に老後資金が足りないということ。満額でも月66,000円。最大繰下げ受給(10年繰下げ)しても121,000円ほど、
ここから厚生年金に加入していた人は厚年が加わるので、ざっくり計算ですが、年収500万円(標準報酬41万円)・40年加入で、月90,000円。最大繰下げ受給(10年繰下げ)して月165,000円いう程度です。
上記の通り年金だけで生活するというのは、かなり難しそうです。そのため、NISAやiDeCoを使い、効率よく老後資金を形成していく必要があります。
とはいえ繰下げ受給は増額の有効な手段
前回ご紹介した繰下げ受給は、1年繰り下げると、年金受給額が8.4%増額されます。繰下げ受給による増額は、基礎の満額受給でも行使できる、大変有効な増額手段となります。
繰下げ待機中は年金支給がないというデメリットもありますが、投資とは違い、確実に増やせる&増額が正確に計算できるため、将来の資金計画が立てやすいなど、大きなメリットがあります。
前にもお話ししましたが、なんとなく65歳から貰おう~というのはやめましょう。しっかりご自身の老後資金計画を計画し、それに基づき年金の受給タイミングを決めていただきたいと思います。考えないと損しちゃう可能性大ですよ!!
最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます。もし何かご質問等ありましたら、お気軽にコメントくださいね!!
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