「年金」#03: 年金受給の条件と計算
※このコンテンツでは年金=老齢(基礎・厚生)年金を指します。
年金シリーズ目次
#00:後悔しない老齢基礎年金と老齢厚生年金
#01:年金に対する考え方と受給のタイミング
#02:税金と社会保険料
#03:年金受給の条件と計算
#04:年金に関する制度
#05:繰上げ・繰下げ受給
#06:年金増額大作戦!!
#07:知っておきたい年金用語
#08:年金がさらにもらえる?!年金生活者支援給付金制度
#09:付加年金最高説
今回は年金を受給するための条件や、年金額の計算方法についてお話します。
なお、ここでお話しする内容は、基本的で知ってもらいたい事項に絞っての紹介です。突っ込んで書くと書いてるこっちまでわけわからなくなるほど膨大で複雑なので、その点あらかじめご了承ください。
国民年金と厚生年金とは
この2つについてさらっとお話しを…
国民年金とは
日本在住の20歳以上60歳未満の人は、すべて加入し保険料を納付なければならない(強制加入)公的年金で、老齢(=老齢基礎年金)、障害(=障害基礎年金)、死亡(=遺族基礎年金)に対して保障する社会保障制度です。
老齢基礎年金は国民年金の内、老齢に対する保障ということになります。
ちなみに、加入している方のことを被保険者と呼びます。私、厚生年金しか払ってないよ~っていう方、いらっしゃいますよね。国民年金の被保険者にも種類があります。
【国民年金第1号被保険者】(国年1号)
下記2号、3号以外の方全員です。主に会社勤めしていない、学生や自営業者などがここに所属します。
【国民年金第2号被保険者】(国年2号)
70歳未満の会社員や公務員で厚生年金の被保険者の方。上記の厚生年金保険料しか払っていない方はこの2号にあたります。
【国民年金第3号被保険者】(国年3号)
国民年金第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
上記の内、国民年金保険料を払うのは1号だけです。なお年金受給額は1.2.3号とも変わりません。
2号は厚生年金保険料を払うことで、国民年金も払ったことになります。またずっと3号だった場合は、国民年金&厚生年金保険料を一切支払うことなく、老齢基礎年金が満額受給可能です。
厚生年金とは
一定の条件を満たした会社に勤めている会社員や公務員の加入する公的年金で、老齢(=老齢厚生年金)、障害(=障害厚生年金)、死亡(=遺族厚生年金)に対して保障する社会保障制度です。
※一定の条件については、複雑すぎるのでここでは説明割愛します。
厚生年金被保険者というとは、同時に国民年金第2号被保険者でもあるため、年金受給時は老齢基礎・老齢厚生両方受給できます。
では、さっそくもっとも重要な、どうしたら年金貰えるの?について
年金がもらえる条件とは
年金は、保険料を払えばみんな貰えるものでもないですし、これからお話しする条件をクリアできれば、保険料をまったく払っていなくても年金は貰えます。
年金が受給できる条件
老齢基礎年金
・保険料納付済期間+保険料免除期間(+合算対象期間)=10年以上
(受給資格期間といいます)
老齢厚生年金
・上記老齢基礎年金の条件のクリアできている
かつ
・厚生年金に1か月以上加入している
受給資格期間について
老齢基礎年金
上記条件でお話している期間について解説します。
【保険料納付済期間】
・国民年金保険料を納付した期間(任意加入期間含む):国年1号
・厚生年金に加入していた期間:国年2号
・国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者であった期間:国年3号
・産前産後保険料免除期間
この期間は、受給資格期間に含まれますし、年金額へも反映(年金額が増額)されます。
【保険料免除期間】
①法定免除:障害基礎年金受給等、特定の理由で年金保険料支払が免除されている期間
②申請免除:所得減少により免除申請を行い、保険料免除が承認された期間
★学生納付特例:学生の方で、所得減少により年金保険料支払の猶予を受けている期間
★納付猶予:50歳未満の方で、所得減少により年金保険料支払の猶予を受けている期間
この期間は受給資格期間に含まれますが、★の期間は年金額が一切増えません。なお、①②は年金額は増えますが、上記納付済期間よりも少額です。
ここでの注目は②。全額免除の場合、同じく保険料を支払っていない「未納」と保険料支払額は0円で変わらないのに、受給資格期間にも含まれますし、年金額も増額します。
ちなみに、この免除・猶予は①を除き申請しなければ受けることができません。収入が減少した場合は、とにかく役所に行って相談してみてください。
※合算対象期間は特殊なため、ここでは説明を省きます。
ところで、受給資格期間が10年に足りなかったらどうなるの?って気になるところだと思いますが、1円も年金貰えません。9年11か月国民年金保険料払っていても、ダメです。年金が欲しかったら絶対10年受給資格期間がないといけません。
老齢厚生年金
老齢基礎年金の受給資格を得ていれば、厚生年金の加入が1か月でも支給されます。一部年金の併給制限を除き、基本的に老齢基礎年金が支給されるなら老齢厚生年金も支給されると思っていいです。
いくらもらえる?年金受給額計算方法について
貰える条件が分かったら、次はいくらもらえるかですね。老齢基礎年金と老齢厚生年金では、年金受給額の計算方法が全く異なります。ここでは軽く紹介していますが、特に老齢厚生年金はややこしいので、さらっと眺める程度で見ておいてください。
老齢基礎年金
老齢基礎年金は、最大納付済期間480か月ある場合満額を受け取れます。
満額は以下の計算で毎年変わります。
780,900円×年金額改定率(物価や賃金などによって毎年変動)
※令和5年の年金改定率は68歳未満2.2%、68歳以上1.9%
令和5年の満額は68歳未満795,000円 68歳以上792,600円となります。
年金受給額の計算は割と単純で、以下の通りです。
満額÷480(か月)✖納付済月数
なお、免除期間については、上記①法定免除は、免除期間の1/2で納付済月数に換算、②申請免除は、免除の割合(全額、3/4、半額、1/4)によって4/8~7/8の納付済月数換算となります。
老齢厚生年金
基礎のような満額はありません。加入した月数分・保険料を多く支払った分、年金受給額が増えていきます。基礎は払っていない分減額、厚生は払った分だけ増額されるイメージです。
計算式は以下の通り
平均標準報酬額✖厚生年金率✖加入月数
年金額の計算式はそのままで、2003年3月までと後で分けて計算します。これは平均標準報酬額の計算方法の違い(賞与を含むか否か)厚生年金率の違い(2003年3月まで7.125/1,000、2003年4月以降5.481/1,000)のためで、加入月数も分けて計算します。
(例)
1994/4に厚年加入、2036/3脱退予定。2003/3以前の被保険者期間は10年で平均標準報酬月額は30万円、2003/4以降の被保険者期間は32年で平均標準報酬額は40万円
300,000円×7.125/1000×120ヵ月=256500 (2003年3月以前)
+400,000円×5.481/1000×384ヵ月=841882 (2003年4月以降)
=1,098,382円
いくらの標準報酬額(=おおよそ年収)で何年働くかでおおよその老齢厚生年金額が把握できます。
本当はもっと複雑です。がこれくらいでとどめておきます。そのため、厚生年金の見込み額を計算する場合は、ねんきんネットなどでシミュレーションするのがおすすめです。
受給資格期間は絶対10年必要
今回は、受給条件と受給額についてのお話でした。今回のお話で一番大切なことは、受給資格期間は10年ないと年金を1円もい貰えないということ。
受給資格期間が10年あるかは、ねんきん定期便やねんきんネット、お近くの年金事務所で確認することが可能です。気になる方は確認してみましょう。
もし何かご質問等ありましたら、お気軽にコメントくださいね!!
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