「年金」#01:年金に対する考え方と受給のタイミング
※このコンテンツでは年金=老齢(基礎・厚生)年金を指します。
年金シリーズ目次
#00:後悔しない老齢基礎年金と老齢厚生年金
#01:年金に対する考え方と受給のタイミング
#02:税金と社会保険料
#03:年金受給の条件と計算
#04:年金に関する制度
#05:繰上げ・繰下げ受給
#06:年金増額大作戦!!
#07:知っておきたい年金用語
#08:年金がさらにもらえる?!年金生活者支援給付金制度
#09:付加年金最高説
今回は年金に対する考え方と、最適な年金受給タイミングについてのお話です。あなたの最適な受給タイミングを計るために役立つツールもご用意しています、是非最後までお読みいただき、お役立てください。
損得勘定ではなく、心穏やかに健全な人生が送れる貰い方を
2021年の「国民生活基礎調査」では、公的年金等を受給している高齢者世帯のうち、公的年金等の総所得に占める割合が80%以上の世帯は、全体の58.2%。また、高齢者世帯の過半数が生活が苦しいと回答しています。
生活が苦しくお金の心配を抱えての生活は、健全といえるでしょうか?
では、ここで少しイメージしてみましょう。
年金以外の収入が月50万円ある時と全くない時で、年金受給額が同じ月10万だった場合、年金が生活に与える影響は、どちらが高くなるでしょうか?
ほとんどの方が後者と答えると思います。
次に、年金以外の収入が全くない時に、年金額が10万円と12万円だったらどちらが助かるでしょうか?
ほとんどの方が後者と答えると思います。
年金に対する考え方
それは、1円でも多くもらいたいという損得勘定ではなく、少しでもお金の心配を解消し、心穏やかに健全な人生を送るためのセーフティーネットであるということ。
最適な年金受給タイミング
それは、年金以外の収入が少なくなった時、本当に生活に困った時に、最大限に年金を受け取れ、最小限にお金の心配を抑える、生活に困窮しないタイミングです。
年金貰う前に亡くなったら損じゃないか!という考え方がありますが、亡くなるまで穏やかに、健全に生きられていれば幸せじゃないですか?
では、次に最適な受給タイミングを計るための考える順序をご紹介します。
なお、今回ご紹介するものは、最も簡易的なものです。まずは、お伝えした年金に対する考え方と、最適な受給タイミングがあることに気づいていただけたらと思います。
そして、さらに興味を持った方は、支出・収入を細かく計算し、最適な受給タイミングを突き詰めて(笑)いきましょう。
最適な受給タイミングを計るために、考える順序
・自分の金額を算出する
・支出額を算出する
・収入額を算出する
・自分に最適な年金受給タイミングを計る
自分の金額を算出する
【給与収入額】
令和3年 民間給与実態統計調査によると、日本人の給与収入は、
平均値:443万円 中央値:366万円
【支出額】
「家計調査 家計収支編 単身世帯・二人以上の世帯(2020年)」によると、1カ月あたりの世帯別消費支出は、
単身世帯 :155,912円、2人世帯: 245,278円、3人家族: 284,334円、4人家族: 315,402円、5人家族: 336,009円
【金融財産保有額】
「家計の金融行動に関する世論調査/2021年」によると、日本人の金融資産保有額は、
・単身世帯 平均値:1,062万円 中央値:100万円
・2人以上世帯 平均値:1,563万円 中央値:450万円
上記平均値、中央値と比べてみてください。3項目すべて一致している方はいらっしゃいますか?それどころか、一つも一致していない方が、ほとんどかと思います。
そう……あなたの金額は、ほぼ平均値・中央値と同じではありません。
他人の金額である平均値や中央値で、安心したりやみくもに不安がったり計画しても、意味がなくあなたの役に立ちません。未来の自分のために、頑張って自分の金額を算出しょう。
なお、今回は「年金」をテーマに取り上げていますので、これ以降説明する金額の算出は、原則年金受給可能な60歳から検討し、算出してください。
支出額の算出が最優先
当たり前ですが、収入が支出を上回らないと家計が破綻します。そう、支出額という基準がないと必要収入額を計画する事ができません。そこで先に支出額を算出します。
自身が金額的にどれくらいの生活がしたいか、1年で必要か算出してみましょう。現在の1年間の総支出額(税金や医療費なども含めた生活費)から判断すると良いです。
家や車など大きい買い物をしてローンが残っている、年齢を重ねると医療費がかかりそう…など思いつくものは加算していきましょう。
収入額は3つで考える
収入を大きく3つに分けます。
収入①:定期収入
収入②:資産の取り崩し
収入③:年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
収入①:定期収入
給与収入、家賃収入、株式の配当金、③以外の年金など毎月・毎年定期的に得る収入。
給与収入を考える場合、いつまで・いくらで働くかを考えましょう。
収入②:資産の取り崩し
収入①③で足りない場合に、生活費に充てる預貯金等の取り崩し額です。支出額-収入①③の合計=収入②です。なお、ここのでの資産とは、現金化しやすく取り崩しやすい、預貯金や株式などの金融資産を指しています。
また、一時金(退職金・iDeCoの一時金・満期保険金・不動産の売却など)が発生した時は、取り崩しの原資である金融資産残高へ加算します。
年金受給タイミングを計るにあたっては、「60歳到達時の金融資産残高」、「想定死亡時の金融資産残高」「取り崩し資産残高」も検討・算出します。
※項目の詳細説明は、添付のエクセル「説明」シートをご覧ください。
収入③:年金
老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給額。
ねんきん定期便とねんきんネットで65歳到達時、および繰上げ繰下げ受給時の年金額を算出・確認することが可能です。
※ねんきんネットの使い方については、後日解説予定です。
自分に最適な受給タイミングを計る
支出額から収入①③を引いた残額を収入②で補います。収入②は自動的に決まるので、支出額と収入①を決めたうえで、収入②の原資である取り崩せる資産がなくならないように、収入③=年金の受給開始年齢を調整します。
まずは、収入①が0円あるいは減少した時に年金を受給開始し、亡くなるまで取り崩せる資産がなくならないかを確認するのがよいでしょう。
なお、年金は65歳が基準となる受給開始年齢ですが、これはあくまで繰上げ・繰下げ受給時の減額・増額の基準となっているだけ。諸条件はありますが、60歳~75歳で、簡単に自分の好きなタイミングで受給開始可能です。
「よくわからないから、周りもそうだから65歳からでいいや~」はダメ
これでは、年金の恩恵を最大限享受できない可能性が非常に高いです。年金はあなたのもの、支出額・収入額を考慮し、計画性をもって、自分に最適な受給タイミングで受給開始しましょう。
年金の繰上げ・繰下げ受給と減額・増額について
年金は、原則65歳0か月が、基準となる受給開始年月となり、基準より受給が早い場合は繰上げ=年金減額、遅い場合は繰下げ=年金増額となります。また繰上げは最大5年、繰下げは最大10年まで可能です。
年金の減額・増額は、【基準受給開始年月の年金額×増減率】となります。増減率は、繰上げ一か月につき-0.4%、繰下げ一か月につき+0.7%となり、
76%(最大繰上げ5年)~184%(最大繰下げ10年)で変動します。
ねんきんネットや付録の「年金受給タイミング検討表」を活用し、年金受給額の変化を確認してみてください。
なお、ここで最も注意しないといけない点は、受給を開始したら、この増減率は一生続くというもの。取り消したり変更したりすることはできません。
いかがでしたか?受給開始タイミングによってこんなにも年金額が変わるんだ、年金って65歳でもらうものじゃないんだ、人によって最適な受給タイミングが異なるんだ、と気づいていただけたら嬉しいです。
豪華付録?!「年金受給タイミング検討表」
言葉だけでは、わかりにくい!!ということで、「年金受給タイミング検討表」を作成しました。色々数字をいじって、最適な受給タイミングの検討にお役立てください。
また実際使っていただけたら、コメントにて感想を教えていただけると嬉しいです。あと役に立った~と思ってもらえたら、いいね!とお友達にも広めていただけるとありがたい~よろしくお願いいたします!!
さいごに、どれくらいもらえるの?いつからもらい始めたらいいの?自分の年金額を試算して欲しい!!など、年金に関する気になることをお手頃価格(1,100円から)でお答えするサービスを提供しております。ご興味ある方は以下のリンクから快惺事務所WEBまでお越しくださいますと幸いです。