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【FPと考える】株価暴落と暴騰で心が折れそうなNISA初心者が知っておきたい江戸商人の知恵(タイプ別にご紹介)
2024年8月5日、日経平均株価は前日比4,451円28銭安の31,458円。
その翌日の8月6日の前日比3217.04円高の34675.46円で取引を終えました。
記録的な「株価の大暴落」と「株価の大暴騰」。
「NISA取引を始めたのに、こんなはずじゃなかった」と悔やんでいる方のために、気持ちが楽になる「相場格言」をご紹介します。
今も昔もお金で悩む日本人
「お金がほしい」のは昔の人も現代人も同じ。
特に貨幣経済が発達した江戸時代では、大名から庶民まで、みんながお金のことで悩んでいました。
「米=お金」だった江戸時代
江戸時代、お米は食料としてだけでなく、税金としても使われていました。
米の収穫量にもとづいて年貢(税金)が決まる「石高制(こくだかせい)」です。
現在の公務員にあたる武士の給与の一部は「扶持米」として米で支給され、武士はそれをお金に変えて生活していました。
400年前から日本人を悩ませてきた「米の値段」
江戸時代の経済を支えてきた「米」の最大の弱点は「天候や災害で収穫量が極端に変わること。
もちろん価格も大きく変わります。
年貢として納められた米をお金に変えて藩の財政を切り盛りしていた大名。
米を庶民に売る商人。
米を買う庶民。
すべての日本人が米の価格に悩まされていました。
参考資料:知るぽると(金融広報中央委員会)公式サイト「江戸時代に学ぶ お金と暮らし」
江戸時代の経済を支える先物取引「米相場」誕生!
そこで商人たちは米の値段を予測して取引を行う「米市場」を大坂・堂島に作りました。
この時期に現在の「先物取引」の原型になった「米相場」の仕組みができあがり、のちに株や債券などの証券取引へと繋がっていくのです。
参照資料:JPX(日本証券取引所グループ)公式サイト「堂島米市場— 世界における先物取引所の先駆け —」
今も役立つ先人の知恵「相場格言」
昔の人も今の私たちと同じように、資産運用で悩んでいました。
ここでは、江戸時代から伝わる「相場格言」をタイプ別にご紹介します。
つみたて投資が怖くなってしまった人へ
老後に備えて毎月コツコツと投資信託で積み立てはじめたのに、日経平均株価が暴落したので、投資が怖くなった方のストレスを軽くする「相場格言」を3つ。
備えあれば迷いなし
そもそも資産運用は生活費を削ってまで行うべきではありません。
投資には必ず余裕資金を使い、「損することもあることを頭の片隅においておくことをおすすめします。
二度に買うべし二度に売るべし
一気に投資信託を売買せず、「ドルコスト平均法」で、相場の様子をみながら二度、三度と少しずつ売買してください。
つみたてNISA枠の投資信託は、自分の好きなタイミングで投資信託を買い増しすることも、好きな分だけ売却することも可能。
あわてずに本当に必要な時に売買するとよいでしょう。
相場は明日もある
投資信託の基準価額が下がってもあわてないこと。
投資信託は複数の金融商品を組み合わせたもの。
きちんと実績を上げている投資信託ならば、多少の経済変動があっても、金融のプロが投資信託のバランスを組み替えて建て直します。
成長投資枠で衝撃を受けた人へ
NISA成長投資枠で高配当株式などの取引をしていて、含み損が大きく膨れ上がって動揺している方に、元気が出る3つの「相場格言」をおすすめします。
山高ければ谷深し
人気が出て短期間で高騰した金融商品は、その反動で短期間で暴落します。
「この値段が妥当なので買いたい」と自分が思っている値段よりも高くこともあれば、「この値段になったら売りたい」と思っている値段よりも株価が安いことも。
自分のイメージ通りの価格になるまで根気強く待ってください。
見切り千両
株価が下落して損が出そうな時、一旦見切って株を売り、相場がもちなおしてから、再び株を買う方法もあります。
長く投資を続けるなら「大儲けすること」よりも「損をしないこと」が大切。
私は国内株の高配当銘柄の取引をしていますが、底値の手前になる前に買ってしまったり、最高値の手前で売ってしまったりすることが多いです。
今のところはトータルでは儲かっていますが、それでも「あの時買ってれば」とか「あの時売ってれば」と後悔する瞬間があって、その時に自分に言い聞かせる言葉が「見切り千両」。
本来は「損切り」のための相場格言ですが、気持ちを落ち着かせるのに効果的。
休むも相場
相場が乱高下している時は、一旦休むことも大事。
投資をしていると、どうしても「休みなく投資しなくては」と焦りを感じることがありますが、一度頭と心を休めることをおすすめします。
休養しているうちに、自分が投資している分野以外で業績のが伸びている業界や、成長を続けている金融商品が見つかるかもしれません。
態勢を立て直してから、再び投資を続けてもかまわないのです。
参照資料:日本証券業協会公式サイト「相場格言 索引」
https://www.jsda.or.jp/start/proverb/contents/proverb26.html
投資にリスクはつきもの
金融商品は常に価格が変わるため、自分が買った金額より資産価値が下がることもあります。
そんな時は、一旦落ち着いて、市場の環境や相場の動向などをチェックしてみてください。
投資資金を調えて、次のチャンスを待つために、取引の準備を抜かりなく進めていくことも大切です。
ここでは、FPこみなみ(AFP認定者)が、独自の目線で、お金に関する話題について解説しています。あくまで個人的見解で、日本FP協会の見解ではないことをご容赦ください。(写真:Yuka Shimamura)
【執筆者】
小南由花(FPこみなみ)
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)・終活アドバイザー・独立行政法人日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(2017年認定)
夫の勤務先の倒産で破綻寸前になった家計を、ファイナンシャルプランニングで切り抜けたことをきっかけに、50歳からファイナンシャル・プランニングの勉強をはじめる。2017年(52歳)でAFP(提案書作成研修を修了した2級FP技能士)資格を取得してリスキリング。
朝日新聞出版「デジタル版知恵蔵」や「FP Woman」などで執筆。
日本年金機構「わたしと年金」エッセイにて令和5年度厚生労働大臣賞を受賞。
日本FP協会大阪支部のFP相談員として活躍中。
FP講師としても活動中。
終活アドバイザー協会会報「ら・し・さ通信」2023年秋号に寄稿したエッセイ「2冊のエンディングノート」
https://shukatsu-ad.com/wp-content/uploads/2023/09/tsushin-42-hp-2023-autumnpdf.pdf
「わたしと年金」エッセイ厚生労働大臣賞受賞作品https://www.nenkin.go.jp/info/torikumi/nenkin-essay/20231130.files/01.pdf