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ホンモノを知る

近所に大好きなお蕎麦屋さんがあって、まるでギャラリーのような凛とした空気のあるお店です。
そこで昼に、季節の野菜や鶏の陶板焼き、焼き味噌などの蕎麦前を摘みながら一本やって、
少しファンキーな、少年のような店主さんの繊細なこだわりの込められた細い細い蕎麦をたぐって、もう一本ぐらい呑んで、そして家まで森の中の登り坂をふらふらと歩いて帰る。

これが、私にとって特別に幸せなご褒美の時間です。

その店では、作家ものの器が惜しまれずにどんどん出てくるのだけれど、奥さんがおっしゃっていた言葉でずっと覚えているのが、「子供達には、ホンモノに触れさせてあげないといけないと思っていた」とのことでした。

なので、各地の窯や工房、ギャラリーを巡っては、子供達の使う器にもホンモノを用意したそうです。
その結果、子供達は勝手に、庭の砂場にホンモノの漆器を持ち出してガリガリと砂遊びをしていたこともあったそうで、それを見た奥さんはギャーっと叫んだそうですが。笑

僕は小さな頃から、そこまで裕福ではない暮らしをしてきて、そして今では、きわめて儲からないカフェという仕事をきわめて儲からない形で営んでいるので、なかなか、そうしたお高い器なんぞを手にすることができない。憧れはあるけれども。

でも、そのカフェというお仕事において、先週から2週続け、1日10杯限定で、
インドネシアのコピ・ルアクと、
パナマのラ・エスメラルダ農園のゲイシャ種を、
お客様に販売しました。

いずれも、稀少性や品質といった点で、世界のトップクラスに位置する、間違いない"ホンモノ“です。

そして、自分と妻も、勿論それらを試飲したり、休日にゆっくりと飲ませていただきました。
(ラ・エスメラルダのゲイシャは、今年2度目の取り扱い)

・・職権を乱用して、ホンモノに触れる日々です。笑

そこには確かに大きな学びがあって、こんな自分の曲がった背筋を伸ばしてくれ、
そしてこんな自分を、少しだけ引っ張り上げてくれるような気が、するのでした。


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