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6年ぶりのイギリス滞在2週間を経て思うこと

2024年のクリスマス前から、今日2025年1月5日まで、イギリス滞在のために全くnoteの更新ができなかった。iPadを持っていっていたので、本当は「時間ができたら書こう」と思っていたのだが、全くできなかった。その理由は、ひどい時差ボケがあったことだ。

日本とイギリスは9時間の時差があり、日本からイギリスに旅行すると、9時間戻る感覚になる。(夏はサマータイムのため8時間)これはかつて私がイギリスに行くたびに「時間が戻るみたいでお得だなあ」と思っていたことで、むしろ日本に戻って来る時の方が大変だった。「もう9時間先なのか」みたいな。

今回の滞在では、イギリスでの天気はずっと良くはなく、毎日どんより、ちょっとした雨や霜がしっとりと降っている、という日が続いた。朝は起きても真っ暗。車や道路はカチコチ。時差ボケの寝不足も手伝って、寝ても朝の3時には目が覚め、夕方6時にはどうしてもまぶたが落ちてきてしまい、テレビを見ていてもソファで深〜い眠りに入ってしまうということが続いてしまった。日中もなんだかボーッとしていた。

急に霧が出ることも多いイギリス
(ブライトンにて)

これは年齢によるものもあるのだろうか?(現在41歳)

30歳でイギリス留学してから、そのままイギリス移住して5年間、何度も日本に帰ってはイギリスに戻っていたが、こんなにも時差ボケに生活を左右されたことはなかった。

イギリスに着いて1週間くらい経って、やっとペースがイギリス仕様になってきたと思ったら、今度は帰国。日本でいつもは夜の10時には眠くなるのだが、現在11時。明日は朝から仕事だというのに全く眠気はやってこないのである。

それはさておき、今回久しぶりにイギリスに滞在して、私も思うところがたくさんあった。メイン行事は、イギリス人の夫の両親に私たちの子供たち二人を会わせて、家族の時間を過ごす、というものだ。もちろん夫も実の両親との時間、久しぶりに友人と会う、などのイベントがある。私は一番おまけみたいなものでありながら、ロンドンのお気に入りスポットや、かつて住んでいたブライトンの懐かしスポットを訪れたいと密かに計画していた。

海外旅行に行ったことがある人なら共感してもらえると思うのだが、旅行って、「こんな旅にしたいな(あるいは、なるだろうな)」と思った通りにはならない。予想外のことが起こり、それに感動したり、思いを巡らせたりすることが常である。

今回私が全く予想外に感動したのは、「イギリス人ってこんなに優しかったっけ?!」という驚きである。

スーパーやお店のレジで支払いの時、外国人の私がモタモタしていても笑顔で待ってくれる。それどころか、にっこりとしてくれて「それ可愛いよね、私も買ったよ」などと言葉をかけてくれたりする。

「そうか!子供たち(6歳と8歳)を連れているからか!」

と最初は思っていた私たち夫婦だったが、ある日子供たち無しで二人で買い物に行った時も同じだった。

スーパーのレジで、ちょっと頑丈なエコバッグ(しかもピーターラビット柄で可愛いもの)が売られていて、「これ買おうかな?いくらだろう?」と私が夫に話しかけたことがあった。

円安ポンド高を気にした私たちが、「もし6ポンドもするなら絶対に買わないよ!」「もちろん」とかコソコソ会話をしていたのだが、レジで順番が来て値段を尋ねた私に店員さんが、「1ポンド75(ペンス)だよ」と笑顔で伝えてくれた。

「1ポンド75なら、買おうよ」すかさず夫に言った私に、店員さんは面白そうに笑って、

「分かる!いくらか分かんないと不安よね。ピーターラビットで可愛いし、もしかしたらめっちゃ高い可能性だってあるしね」

と言った。

「その通りなんですよ〜」

と私も笑顔で言った。

イギリスのスーパーTESCOのレジにて

ロンドンでもブライトンでも空港でも、たまたま話すイギリス人が優しいのは変わらなかった。夫の故郷のレスターで博物館に行った時、受付の女性が感じが悪かったのは例外だが、よくよく考えると、そんな経験を今までにたくさんしてきたので、そっちの方がむしろ普通って感じなのだ。

なぜイギリス人は急に優しくなったのだろう?

それについて夫としばらく議論をしていた。

この6年の間にお店で働くイギリス人の質が飛躍的に向上した?
そんなことは時給でも飛躍的に上げない限り不可能だ。

ある時を境にイギリス人全体が優しくなった?と言った私に夫は鼻で笑って「そんなわけないだろう」と言う。

冷静に考えて一番可能性が高いのは、イギリス人ではなく私達の方が変わったということだ。

イギリスに住み始めた時は、始終オドオドとして英語はおぼつかない、余裕がないから笑顔のタイミングも全く分かっていなかった私。住んでからだいぶ慣れてきたと思ったら、今度は赤ちゃん連れ。英語は問題ないとしても、常に不安と隣り合わせ。

イギリス人だけれど、もしかしたら自分に対する自信は足りていなかった夫。あるいはイギリス人であるが故に、イギリスの良い面になかなか気がつくことができず、イギリス全体への敬意など皆無だったのかもしれない。今では日本に住みながら、日本の良い面、そしてイギリス人として日本に住んでみて初めて、「イギリスってよかったな」と思う面が心底分かっている夫。

「もしかしたら、そんな私達の思うことが、オーラとなって出ているとか?それでイギリス人はかつてよりも優しくなったと、私達が感じている。」

私がそう言うと、イギリス人の夫は「どうかな」とさらに考える表情をしている。


イギリスに対するリスペクトは、少なくとも前よりあったはずである。『ただ住んでいる街』ではなく、『何十万円もかけてわざわざ来る価値のある街』になったわけで、滞在中の私達の時間の過ごし方や感覚も当然違ってくる。

そんな気持ちが内面だけでなく、そうしてお店などで表面上にも出ていたのかもしれないと思うと、とても興味深い。しかもお店の人の態度まで変わったと私達が感じているとしたら尚更だ。

英語という言葉の面では、この6年も変わらず続けて勉強してきて良かったと思ったし、夫の友人やその妻と深い会話もできて、良い時間を過ごせたと思う。

『その国へのリスペクトを持つこと、それに対する意識を常に持つこと』

それでイギリス滞在中、イギリス人から優しくしてもらえたのかもしれない。
それは紛れもなく、この6年間どんな気持ちで日本で過ごしてきたか。それによるところも大きい。

そういえば最初に「イギリスに住みたい」と思った時も、大きなリスペクトがあったな、と思い出す。

2013年。

とにかくイギリスのものが好きで、一人でイギリスに旅立った時のこと。

そんな初心を思い出させてくれた今回の滞在は、私にとって貴重な、第二のイギリス発見の旅となった。

また滞在中のあれこれを、記事にしていきたいと思っている。

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