イギリス人の夫の友人が遊びに来たのでイギリス生活を振り返ってみた
「それで、イギリスのことは恋しい?」
イギリス人の夫の友人がイギリスから旅行で来ている。
東京に4泊。そして現在は大分に滞在。一緒にバーで飲んでいる。
夫の友人と言っても、私たちは結婚する前から一緒に飲みに行っていて、よく考えたら私の友人でもあるのだ。
そうだね、恋しいね。と私は答えた。
「本当に?」と言われて、あるいは具体的に何が恋しいのか言った方が良さそうな雰囲気だった。
確かに、イングランドに住んでいた頃のことは、思い出すと恋しいと思うこともある。何が具体的に恋しいのだろう?
私は少し考えてみた。食べ物となるとまあいろいろあるし、イギリスに住んでいた頃は日本の食事全てが恋しかったから、そうするときりがない。それ以外で考えてみよう。
イギリスが恋しいこと1 パブ
イギリスのパブが恋しいと思うことがよくある。パブは日本の居酒屋やバーとは全く違って、地域の憩いの場であり、時にはファミリーレストランのような雰囲気をも醸し出している。
常にたくさんのエールの種類があり、ラガービールももちろん揃えてある。
私は暖かい日にはラガー、寒い日にはエールを飲むのが好きだった。そんな風に自分の気分でビールを選べるというのが良い。それでもまだパブには試すべきビールが溢れていた。
最初に支払いをするのも好きだ。友人と行けば別々に頼むことができるし、『ラウンド』というシステムで「じゃあ最初は自分が買うね」と言って人数分のビールを買い、次は別の人がまた人数分買うということが当たり前に繰り返されるのも、合理的でなかなか良い。
イギリスが恋しいこと2 日本人だと言った時の人の反応
基本的にアジア人としてイギリスに住んでいると、中国人だと思われることが多い。仕方がない。人数と値段の安さでは誰も中国には勝てない。
私も中国人かと思われながらイギリスで過ごしていたわけだが、日本人だと言うとみんな顔がパッと明るくなり「日本人なんだね!」「日本〜!」「ニンジャ〜。日本大好き」「漫画大好き」とか、明るく声をかけてもらっていた。その瞬間がとても好きだった。
あの感覚はイギリスに住んでいれば新しい人に会うたび(ショップ店員など一期一会であっても)比較的しょっちゅう感じられた。
語学学校で新しい先生が「君がどこの国出身か当ててみよう。タイ?中国?ベトナム?」と尋ねてきて私がNoを繰り返すので、「え〜、分からない!モンゴル?」なんて言うので、「日本だよ!そんなに分からない?」といささか困惑したこともあった。(いったい何が私をそんなに日本人じゃない印象にさせたのか興味はあるが)
人によって、「日本」が身近な人と、そうでない人がいるのだ。けれどほぼ例外なく、みんな日本人に良い印象を持ってくれているようだった。
イギリスが恋しいこと3 素晴らしい夏の気候
イギリスの夏はすばらしい。まず湿気がないので風が爽やかだ。木陰に入るとひんやりと涼しいことも多い。
ここ近年の異常気象で、イギリスでも30度を超える暑い日もあるらしい。けれど基本的には本当にカラッとして、過ごしやすく、日は長い。夜9時を過ぎても光がサンサンと降り注いでいる。
私はそんな夏の夕方(夜9時過ぎ)に海辺を散歩したり、ジョギングしたりするのが好きだった。
夏の終わりはある日突然訪れ、その後は長い長い冬が始まる。
そんな短くもすばらしい気候のイギリスの夏は、儚くもあり美しい。「天気でこんなにも気分が変わるのか」と思うほど、天気の良いイギリスの夏はそれだけで幸せな気持ちになったものだ。
イギリスが恋しいこと4 風変わりな人が多い
イギリスにいた時には、ユニークなファッションに身を包んだ人、パブで歌う人、スケボーする人(危ない)、トランポリンをする人、海辺で綱渡りする人、チャリティーで小さなライブをする集まり、様々な趣味の集まり。それはそれはいろいろな人を見た。
電動車椅子で歩き(?)タバコを吸う人(危ない)、同じものを3食食べる人、道で怒鳴る人(怖い)、それこそ様々な習慣を持つ人が街に混在していた。
イギリスにいると肌で感じていた、「自分は自分、人は人」。それは時々日本人である私に「自分勝手なのでは」と思わせるようなこともあった。場合によってはそうかもしれない。
ただたくさんの人種が住んでいるイギリスの街では、『個人主義』という大きなテーマなしには、その街自体、存在するのは不可能かと思える。
その感覚は日本ではあまり感じられない。だからイギリスの風変わりな人を見かけていた事が少し恋しい気がする。
そんなところか。
ただ、テーマが『クリスマス』となるともう『すべて』がイギリスの方が良いと言わざるをえない。けれどお正月は、断然日本の方が良い。
それぞれに良いところがある。だから一言で簡単にどちらが良いとは、言えないな。
もちろん、時々イギリスが恋しくなるのはもちろんだけど。