夏の美術館で靴を脱ぐニオイ問題に心折れる、それでも行くべき直島地中美術館
地中美術館に初めて訪れたのは多分2017年か2018年、初めて訪れた時には衝撃的でした。安藤建築の素晴らしさはもちろんですが、クロード・モネの「睡蓮」を展示するために設計され、自然光で鑑賞する空間は、今まで感じたことのない特別な時間でした。そんな日本でも指折りの美術館で感じた”違和感”について書いてみたいと思います。
近くて遠い直島
その後何回か訪れましたが、コロナ後は初めてです。美術館の素晴らしさは多くの方が描かれていますので、久しぶりの近くて遠い直島への道のりを書いてみたいと思います。
まずはチケット予約
夏休みの地中美術館は予約が取りづらくなっています。事前予約が欠かせません。フェリー、バスの時間などを考えて、杉本博司ギャラリーを12時、地中美術館を14時に予約しました。この時は確実に到着する遅めの時間に予約して、もし早く到着したら早く入れてもらおうと思っていたんです。
公共交通機関での訪問は慌ただしい
今回のタイムテーブルです
7:46羽田 ー 9:15高松 JL 475
↓ リムジンバスへ
9:20高松空港 ー 10:10フェリー乗り場
↓ フェリーチケット売り場へ
10:14高松港 ー 11:04直島 宮浦港
↓ 町営バス乗り場へ
11:06宮浦港 ー 11:19つつじ荘
↓ シャトルバス乗り場へ
11:25 ー 1 1:26杉本博司ギャラリー
9時15分 降機したら急いでリムジンバスへ
飛行機が少し遅れましたが、リムジンバスは合わせてくれますので乗り遅れることはありません。ただ、フェリーの時間がぎりぎりなのでずっとドキドキしていました。バスは空港によって自動販売機でチケットを買うところ、バスの中で支払けれど交通系ICカードが使えないところなどさまざまで急いでいる時には不便なこともあります。高松空港は交通系ICカードが使えました。
10時10分 バスが到着したら急いでフェリーの切符売り場へ
バスはフェリー出発の5分前に到着、走って切符売り場へ
四国汽船は交通系ICが使えず、切符売り場に並んで切符を購入しなければなりません。運賃は往復990円(小人520円)
10時14分 フェリー出航やっと一息
直島 宮浦港まで50分ほど、2018年就航のあさひはとても豪華です。途中雨が降っていなかったので外に出てぽっかり浮かぶ島の姿を楽しみます。
女木島・男木島は小さな島ですが、芸術祭の時には訪れます。豊島は豊島美術館など、1度しか訪れたことがないので近いうちにまた訪れたい島です。高松側もよく見えます。
11時04分 直島宮浦港到着急いで町営バス乗り場へ
フェリーが到着したら急いでバス乗り場に向かいます。町営のバスは30人も乗ればいっぱいの小さなバスです。もたもたして次のバスになってしまうと全て予定が狂ってしまいます。お天気が良ければ迷わず自転車ですが、今回はバスに予定を委ねます。
11時19分 つつじ荘到着 ベネッセのシャトルバスへ
町営バスの乗り場とシャトルバスの乗り場はすぐ横です。ここから杉本博司ギャラリーまでシャトルバスで向かいましたが、ここは雨でも歩けばよかったです。シャトルバスも補助席全部使ってもまだ乗り切れないほど混雑していました。
11:26 杉本博司ギャラリー 時の回廊
やっと到着です。12時の予約でしたが30分早く入ることができました。杉本博司ギャラリーは2022年にオープンしました。
杉本博司ギャラリー 時の回廊
ギャラリー
杉本博司氏は護王神社など直島に関わりが深く、この直島での取り組みが小田原の「江之浦測候所」につながったそうです。写真作品や模型などが展示されています。
ガラスの茶室「聞鳥庵」
ヴェネツィア、ヴェルサイユ、京都を経て2022年直島で恒久作品として公開が始まりました。
ラウンジ
硝子の茶室「聞鳥庵」などの杉本作品を鑑賞しながら、ゆったりとお茶をいただくことができます。入館料にお茶とお菓子が含まれています。ここまで食べる時間がなく本日初めての食事です。
12:50 徒歩でつつじ荘に戻ります
杉本博司ギャラリーから地中美術館まで歩くと30分、ここは一旦つつじ荘まで歩いて戻り、シャトルバスで向かうことにしました。
つつじ荘に向かう途中に黄色かぼちゃ
この時間帯はバスが少なく13時25分までつつじ荘入口のお店でかき氷を食べて待ちます。
13:32 地中美術館バス停
地中美術館の予約は14時ここは5分前から出ないと入場できないため、バス停前の休憩所で待ちます。13時半の予約にすればよかったと後悔、早めに行けば早めに入れると思ったのです。バスもいっぱいだと次のバスになってしまうため入場時間に間に合わない可能性もあります、バスでの移動は色々諦めが必要です。
14:00 地中美術館
やっと時間になり、美術科の入口へバス停から3分ほど歩きます。早めに入口についても美術館の門の前で雨の中を時間ピッタリまで待つことになります。
館内は撮影禁止です。
モネの部屋はいつも通り、でも・・・
夏休みで前売りチケットが品切れになる程の人が列を作って待ち、順番になるとモネの部屋の入り口の靴脱ぎ場で一斉に靴を脱ぎ、スリッパに履き替えます。裸足でスリッパを履くと足の大きな人は思いっきりはみ出して床をずるずるとスリッパを引きずって歩きます。気温36度、雨の湿度の多い日で足の匂いが靴脱ぎ場に充満していました。雨と汗で濡れたスリッパをそのまま次の人が履くのも気になります。仕方がないことですが、せっかくの白い空間がちょっと残念でした。
ジェームズ・タレル オープン・スカイ
外に出ると 四角い空間に四方にベンチが据え付けられ、真上の四角くくりぬかれた空を眺めます。天井と空が同じ平面上にあるような感覚になり、空の色、雲の形がそのまま作品。いつまでもぼーっと見ていたくなります。ここは場所がわかりずらい成果人も少なく、雨の日でしたがゆっくりと過ごすことができました。混んでいるときは一番おすすめの場所です。
ジェームズ・タレル オープン・フィールド
少人数ごとの完全入れ替え制。スクリーンを前にして、スタッフに「前に進んでください」と促されます。スクリーン前まで階段を登るとまた「前に進んでください」と促されます。色も空間も変化して、境界線も思い込みも全てが無限の不思議な空間・・なのですが、こちらも靴を脱ぐ場所です。サンダルを脱ぎ、素足のままペタペタと換気の悪い密室へ。汗の匂いなどが漂い、幻想的な空間も一瞬で現実に引き戻されてしまいました。
ウォルター・デ・マリア Time / Timeless / No Time
こちらも順番を待って一歩足を踏み入れると、教会の中にいるような厳粛な雰囲気に圧倒されます。最初に目に入るのが、中央にどーんと巨大な花崗岩の球体、どうやって移動させたのか、という疑問も吹き飛ぶほどの大迫力です。アーチ状の天井の四角に切り取られた天窓からは差し込む光が1日をかけて部屋を横断します。
バスの時間を気にしながらの鑑賞です。
16:00 地中美術館を出発
16:07 つつじ荘到着
ここで直島宮浦港行きのバスに乗れないとフェリーに間に合わなくなるため、1本早めのバスに乗りつつじ荘で並んで待ちます。
16:13つつじ荘を出発
16:25直島宮浦港到着
無事バスに乗れました。
フェリー乗船まで港の周辺をぶらり。
16:13直島宮浦港出発
18:00高松港到着
この後、高松駅まで徒歩5分ほど、ここからこの日は徳島駅に向かいました。
異常な蒸し暑さの中でクリーンな静寂さを保つのは難しい
異常な暑さ、人の多さ、加えて雨でビショビショの衣類や足元、での薄暗い美術館の通路はカオス状態でした。オープン・スカイの作品を見に外に出た時には思いっきり深呼吸しました。以前は必ず訪れた眺めの良いカフェもちょっと変わってしまっていました。人が多くて色々大変なのだと思います。夏休みが終わり季節が変わった頃にまた訪ねてみようと思います。(今度は自転車で)
それでも時間を作ってわざわざ行く価値のある場所
美術館の予約時間が当日変更できず、フェリーやバスの時間が限られているため、慌ただしい滞在になりました。
ただ、出張の移動を使っての訪問なので、欲張らずに少しずつの時間でも都合がつく限りあちこち訪れようと思います。
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日本のお散歩はFound Japan