【応援コメディ小説】白あん饅頭の奇跡:加糖と砂糖の会話

佐藤はデスクに座り、目の前に積まれた書類をぼんやりと眺めていた。時計の針は午前11時を指しており、そろそろ昼休みかと思うと、ますます仕事に対するやる気が失せていく。

「うーん、今日も全然やる気が出ないな…」
心の中でため息をつきながら、無意識にキーボードを叩く。その音が自分をますます虚無感に陥れた。

そんな時、デスクにポンと何かが置かれた。見ると、同僚の加藤が満面の笑みで立っていた。

「佐藤さん、これ!差し入れです!」
加藤は手に持った紙袋を佐藤に差し出す。

「また和菓子か…」
佐藤は心の中でぼやきつつも、受け取った。和菓子なら、甘さが仕事の隙間を埋めてくれるかもしれない。

「ありがとうございます、加藤さん。」
佐藤は袋を開け、中から出てきた饅頭を手に取る。

「おお、白あんか…」
普段、佐藤は赤あん派だが、まあ食べない理由もないだろう。饅頭を一口かじった瞬間、佐藤の顔が歪んだ。

「うっ…甘っ!」
白あんの甘さが、予想以上に口の中で爆発した。それも、ただの甘さじゃない。まるで「甘さの嵐」が突如としてやってきたような感覚。

加藤はその様子をニヤニヤしながら見ている。

「どうですか、佐藤さん? 甘いでしょ? これが和菓子屋の本気です!」
加藤の笑顔は、まるで「成功した」とでも言いたげだった。

「うん…甘いな…」
佐藤は思わずもう一口、食べてしまった。あまりの甘さに、顔をしかめながらも体が無意識に「もっと食べたい!」という欲望に駆られていく。まさに、甘さの罠だ。

その時、加藤がクスッと笑いながら言った。
「実は、佐藤さん、もしかして仕事にやる気が出ないの、この饅頭のせいじゃないですか? 甘すぎて、脳が糖分過多で働かないとか…」

佐藤は「うっ」と顔をしかめた。確かに、甘すぎる白あん饅頭は、何だか自分の脳を麻痺させるような気がしてきた。

「糖分過多…? それって、どういうことだ?」
佐藤は疑問を口にしつつも、何となくその理屈があながち間違いでもないように思えてきた。

加藤は自信満々に言う。

「ほら、糖分って脳に直接作用するでしょ? 白あんはその中でも最強! だから、佐藤さんの脳みそが今、糖分でシェイクされて、仕事のやる気スイッチが完全にOFFになってるんですよ!」

佐藤は驚きつつも、「うーん、そんな気がしてきた…」と思い始めた。しかし、その時、加藤がふとこう言った。

「でも、逆にこれ、やる気が戻るかもしれませんよ! 甘すぎるからこそ、エネルギーがどっと補充されて、午後から元気になるっていうパターン!」

「本当に?」
佐藤は半信半疑で言ったが、ふと、急に頭が冴えてきたような気がしてきた。

「おお、これ、ちょっと効いてるかも!」
目の前の資料が、スムーズに整理されていく。「なんだ、甘すぎるのが効くなんて…こんなことってあるのか…?」

加藤は目を細めて言った。
「ほら、だから言ったでしょ!『加糖』パワーですよ!」

佐藤はその言葉を聞いた瞬間、目をパチパチとさせた。

「『加糖』パワー…?」
それ、加藤の名前をもじってるのか? そんなことを思いながらも、すでに佐藤は自分の脳がスイッチオンになっているのを感じていた。

加藤は続けて言う。

「そうです、『加糖』ですよ! でも、この効果、実は佐藤さんの名前にもかかってるんです! あ、気づきました? 佐藤さんの名前に入ってる『砂糖』! 完全に甘いものとつながってますから!」

佐藤は一瞬、何を言っているのか分からなかったが、すぐにその意味を理解した。

「あ、そうか! 俺の名前も『砂糖』が入ってるから、甘いものには特別な力があるってわけか!」

「その通り!」
加藤は満足げに頷いた。

「おお、なるほど…じゃあ、甘いものには俺の遺伝子レベルで反応してしまうんだな!」
佐藤は自信を持ったように言ったが、心の中では「なんてアホなことを言ってるんだ、俺」とちょっとだけ恥ずかしくなった。

「まさに、佐藤さんのために作られた饅頭ですね!」
加藤はさらに饅頭を取り出して、佐藤に差し出した。
「さあ、次はこっちの『加糖』で、もっと脳を活性化させましょう!」

佐藤は思わず笑いながら、それを受け取った。

「砂糖…加糖…まさに俺のためにある言葉だな!」
と、さらに饅頭を手にした佐藤が午後の仕事をバリバリこなしていく姿は、周囲の誰もが驚くほどだった。

そして、その後も佐藤は「加糖パワー」を信じて、午後の仕事を順調にこなしたという。

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