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知らないと損!「商標」における識別力~知財シリーズNo.3~

リアルな中小企業経営に役立つ情報をテーマに配信中の株式会社フォーバル 九州支社です!

▼この記事はこんな方におすすめ
・自社のブランディング力を高めたい
・自社独自の商品やサービスを持っている方
・知財や商標登録とは何かおさらいしたい

【知財を学ぼうシリーズ】第3弾
しばらくの投稿では「商標」について解説していきます。一番ビジネスに関連強いといっても過言ではないですからね!
・知的財産(知財)って??
・知財、十分に活用できていないかも…

と思われる方がいましたら、このシリーズで一緒に学んでいきましょう!
できる限り専門用語を省いてご説明しているつもりですが、解釈や語句等が難しい場合はお気軽にコメントやお問合せお待ちしております。
なお、わかりやすくするためにいくつか他社商品・サービスの固有名称をご紹介していますが宣伝ではありませんのでご理解ください。

【知財を学ぼうシリーズ】第1弾 知的財産とは?

【知財を学ぼうシリーズ】第2弾 商標とは?

この投稿では「商標」について、第2弾より詳しく事例とともに解説します。
出願しても登録ができない商標とは

投稿内容を一枚にまとめました。

「商標」とは おさらい

商標とは「事業者が自社の商品やサービスを他社のものと区別するために使う識別標識」、いわば目印です。
出願・登録されている商標は、特許情報プラットフォームで検索できます。

商品ネーミングやサービス名、ロゴマークなど商標登録すると、指定した商品やサービスについて登録商標を使用する独占権が発生します。
商標登録をすれば他人に取られなくなるので、安心して商標を使用し続けることができます。他人が同一又は類似の商標を使用して商標権を侵害のすれば、他人の商標使用を止めさせることができます。

じゃあなんでもかんでも登録しておこう!
という訳にはいかないのです。

出願しても登録ができない商標とは

ある事業者が「日本一おいしいラーメン」というストレートな店舗名でラーメン店を展開し、かなりの評判になってきたので他人に真似されないよう商標登録したいと考えました。
特許情報プラットフォームにて検索してみると、結果は0件。

特許情報プラットフォームで「日本一おいしいラーメン」を検索

誰も取ってないからチャンスだ!出願しようと考えたとします。これは正しい判断でしょうか。

実は、「日本一おいしいラーメン」は登録できる商標の条件に当てはまらない可能性が高いのです。

【商標登録の前提条件】
・商標として機能すること=識別力
・先に出願・登録された他人の商標と同一・類似でない

この2つが最低限必要となります。今回は、商標法における「識別力」について深堀ります。

識別力について

商標法は、その商品役務(サービス)との関係で自他商品・役務の識別力がない商標は登録できないとしています。
簡潔にいうと、オンリーワンになって周りが困るものは、商標として登録できないということです。
商標は前述のとおり、自己の商品やサービスと、他人の商品やサービスとを区別(識別)するために付ける目印です。目印とならず区別できないものは商標として機能しないので、保護しないとするものです。
また、商品やサービスを説明する時に必要な言葉は、取引にあたって誰でも使えるようにしなければ取引に支障が生じるので、特定人に独占使用させるべきではないとするものです。
商標法はそのような識別力のないものとして、6つと例外について挙げています。

登録できない商標とは 6つの例

1:その商品又は役務の普通名称のみを表示する商標

普通名称とは、関連する業界において、その商品やサービスの一般的名称であると認識されるに至っているものをいい、略称や俗称も普通名称として扱われます。

○商品「パーソナルコンピュータ」について「パソコン」と表示する商標
○役務「美容」について「美容院」と表示する商標

2:その商品又は役務について慣用されている商標(慣用商標)

いわゆる慣用商標とは、もともとは他人の商品やサービスと識別できる商標であったものが、同業者において一般的に使用されるに至った結果、識別できなくなった商標をいいます。

○商品「自動車の部品」 について「純正」と表示する商標
○役務「宿泊施設の提供」について「観光ホテル」と表示する商標

3:単に商品の産地、販売地、品質等又は役務の提供の場所、質等のみを表示する商標(記述的商標)

いわゆる記述的商標は、商品やサービスの内容をそのまま説明し、記述しているだけの商標です。二つ以上の記述語を組み合わせたものも該当します。

○商品「チョコレート」について「東京チョコレート」と表示する商標
○商品「シャツ」について「特別仕様シャツ」と表示する商標
○役務「飲食物の提供」について「中華料理」と表示する商標

記述的商標はよく問題となっています。事業者としては、自社の商品やサービスの特徴そのものを表した名称をお客さんに覚えてもらえるようストレートなネーミングを付けることが多いのですが、商標登録には向きません。

前段で出しました「日本一おいしいラーメン」を分解してみます。
ラーメン提供サービスに使用する「日本一おいしいラーメン」の商標は、「日本一おいしい」は提供するラーメンの質、「ラーメン」は提供するラーメンを表すものに過ぎません。
そのため、「日本一おいしいラーメン」は識別力がなく、出願しても商標登録できないと判断される可能性が高いのです。

商標法から見る「日本一おいしいラーメン」要素分解

以上のような商品の品質等を直接表示する商標は登録できませんが、品質等を暗示させるような間接的な表示であれば登録できます。
間接的かどうかはかなり微妙な判断となりますが、上手く通れば商品の特徴を暗示させるよいネーミングで商標登録できるので、差別化を図れます。
面白い例として、小林製薬株式会社の薬剤等に使用する「ダイエットヘルプ」、「悪臭迎撃」、「在宅ストレス」といった登録商標等があります。     

4:ありふれた氏又は名称のみを表示する商標

ありふれた氏又は名称とは、例えば電話帳において同種がたくさん存在するような名前です。また、「ありふれた氏」に「株式会社」「商店」などを結合したものは「ありふれた名称」に含まれます。

○「田中」「山田」等のありふれた氏
○「佐藤商店」

5:極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標


 ○「123」のような数字
 ○「A」「AB」のようなアルファベット1文字または2文字
 ○「あ」のような仮名文字1字
 ○「○、△、□、♡」のようなありふれた輪郭

6:何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標


 ○単なる繰り返し図形の地模様
 ○「平成」「令和」のような元号
 ○「お客様第一」のような企業理念や経営方針を普通に表示したものとのみ認識させるもの
※地模様(地紋):市松模様のように同じ模様が連続反復して表現されたものを指します。

7:例外規定

上記における例外があります。テレビや雑誌、ネットで大々的に宣伝したり、長年にわたって使用して需要者の間で有名になると、そのネーミングやマークを見ただけでどこの事業者のものか分かるようになる場合があります。
このように「使用による識別性」を獲得した場合は、例外的に商標登録が認められます。
例えば、「チキンラーメン」は本来「鶏肉入りの即席中華そばめん」という商品内容を説明した語に過ぎませんが、商標使用の結果、全国的に有名になっており、「チキンラーメン」は日清食品株式会社(現日清食品ホールディングス株式会社)の商標であると認識され、例外的に商標登録が認められています。

最後に

商標における識別力について解説しましたが、実際に識別力があるか否かの判断は、かなり微妙であり、その言葉等がその商品・サービスの分野においてどのように使用されているかなどで、結論が変わってきます。
今回の記事を目安に自社の商品・サービス等の名称が商標にできそうかどうかは一度考えていただきたいですが、実際に商標登録できる可能性があるかの判断は、専門家にご相談を必ずしましょう。
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