【読書感想文】『アルルカンと道化師』池井戸潤著
久しぶりの池井戸作品を堪能しました。
「倍返し」がテレビで流行語となったころは、立て続けに何作か読ませていただきました。
池井戸さんの作品はビジネス色が強い印象ですが、ハヤブサ消防団などは全く雰囲気が異なったりして、本当にどの作品も唯一無二といった作品ばかりです。
今回読んだのは半沢直樹シリーズの一つです。
半沢直樹といえば倍返し!
今回はどんな展開になるのかわくわくしながら読み始めました。
◎『アルルカンと道化師』感想
『アルルカンと道化師』は2020年の作品です。
予想通り、読み始めたら止まらないはらはらどきどきの展開となりました。
主人公・半沢直樹は大阪西支店の融資課長。
味方も多いけれど敵も多いのが半沢直樹。
今回も一波乱ありそうな予感が、ページを開いた瞬間から漂ってきます。
業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいという大手IT企業ジャッカルの案件が持ちこまれたことに端を発します。
仙波工藝社の意向とは裏腹に、強引な買収計画に持ち込もうとする上層部。
抵抗する半沢は、やがてその裏に潜む大きな秘密に気づきます。
秘密に気づいたとき、そこに現れる半沢の救世主。
しかし、組織ぐるみで半沢を叩き潰そうとする輩たちも一筋縄ではいきません。
それにしても、大きな組織というのはどこも一緒なのだろうか、と思うような出来事があります。
現実世界では、そういう理不尽なことを我慢できる人間だけが、企業の中で上へいけるのかもしれません。
しかし、そこは小説!
しかも、半沢直樹です!
読み進めいていくうちに、上層部の本当の狙いが見えてきます。
半沢直樹は周囲の心配をよそに、落ち着き払った態度。
何か思惑があるのか?
ラストは、上層部の思惑を心配する私ごときの予想をはるかに上回る結末へ一気に加速します。
さすが半沢直樹! と思わず声が出てしまいそうな痛快なオチが。
殺人事件が起きなくても、ミステリーは成り立つのだということを改めて実感する見事な展開。
さすが池井戸潤さん。
いつもながらすっきりした読後感。
さながら現代の水戸黄門!?
他の作品もまた読んでみたいと思い始めました。
そうして調べてみると、いつの間にかものすごい数の作品だということもわかり驚いています。
◎池井戸潤さんについて
池井戸潤さんは慶応大学卒業後、三菱銀行に就職します。
32歳で退職し、経験を活かしビジネス書などの監修をしながら夢を追いかけ江戸川乱歩賞を目指して小説の執筆を始めたそうです。
1998年、江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。
本当に夢を叶えてしまうところがすごいです。
その後も、吉川英治文学新人賞、直木賞などの賞を受賞し、多くの作品で楽しませてくれています。
シリーズ物としても、半沢直樹だけでなく、花咲舞、民王、下町ロケットなどがあります。
花咲舞シリーズは『花咲舞が黙ってない』しか読んでいませんが、まっすぐな主人公が女性版・半沢直樹という感じでしょうか。
こちらは杏さんが主役となりドラマ化されていますね。
全ての作品を読んではいませんが、二つのシリーズに共通するのは勧善懲悪的な痛快感。
同じミステリーでも作者によって印象が異なるのは面白いですね。
あらためてまた、池井戸潤さんの作品を読んでみたくなりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
読書は本当に楽しいです。
私を一瞬で別の世界へ連れて行ってくれます。
スマホやPCを開くと、ついついインターネットに接続していろいろな情報を流し読みしてしまいがちですが
1冊の本の世界にどっぷりと浸ることができる読書は、私にとってはやはり特別な行為です。
2024年はもっと読書の時間を増やしたいなと思います。
今日という日があなたにとって良い一日となりますように。