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胸郭の機能解剖学と理学療法【サブスク】

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はじめに

このnoteは、誰にでもお役に立てるわけではありません。
ですが、以下に一つでも当てはまる方は、ぜひ読んでみてください。

✅胸郭について基礎知識からしっかり学んでいきたい
✅胸郭の機能解剖学を学んで臨床に活かしていきたい
✅胸郭の臨床評価とアプローチを学びたい
✅”明日から実践できる”胸郭の評価とアプローチを学びたい

胸郭に関わる肋骨触診臨床評価アプローチについて、できるだけ理解しやすくなるように動画解説を多く収録しました。

胸郭に苦手意識のある方でも明日から実践できるような内容をまとめています。

胸郭への理解臨床力を高めるいちきっかけとなれば幸いです。

by Rui

自己紹介

はじめまして、forPTのRui(ルイ)です。理学療法士免許を取得し、現在は整形外科クリニックに勤務しています。

forPTとは、理学療法士の臨床と発信を支援するために2019年に発足されたコミュニティです。

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ブログ(https://forphysicaltherapist.com)での情報発信
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臨床に役立つ知識や技術を発信し続け、現在では理学療法士だけでなく、セラピスト全般、理学療法学生、柔道整復師、スポーツトレーナーなど幅広い職種の方にもシェアいただいています。

胸郭の機能解剖学

胸郭の骨構造

胸郭¹⁾²⁾は、胸骨、左右12対の肋骨および肋軟骨12個の胸椎で構成されます(図1)。

図1 胸郭の骨構造①(正面)

第1〜7肋骨は、前方で肋軟骨を介して胸骨と関節構造をなしています。
第8〜10肋骨は、仮肋と呼ばれ、直接胸骨には付着せずに第7肋軟骨に合流します(図2)。
第1〜10肋骨は、後方で胸椎横突起と関節構造をなしています。
第11および12肋骨は、遊離肋(浮肋)と呼ばれ、胸骨や上位肋骨に付着せず遊離した構造となっています(図2)。

図2 胸郭の骨構造②(側面)

胸郭の関節構造

胸郭には、胸骨柄結合胸肋関節(肋骨肋軟骨結合と胸骨肋軟骨結合)、軟骨間関節肋椎関節(肋骨頭関節と肋横突関節)、胸椎椎間関節があります。

胸骨柄結合は、胸骨柄と胸骨体の融合を指します(図3)。胸骨柄結合は、生涯の後半には骨化し、骨化前には、胸郭の拡張に適度に関与する³⁾と言われています。

胸肋関節は、肋骨と肋軟骨を結ぶ肋骨肋軟骨結合と胸骨と肋軟骨を結ぶ胸骨肋軟骨結合によって構成されます(図3)。第2〜7肋椎関節には、わずかな滑り運動が可能³⁾とされています。

肋軟骨間関節は、第5〜10肋軟骨間に存在する関節構造をいいます。肋軟骨間靭帯で覆われています。

図3 胸郭にある関節構造

肋椎関節は、肋骨頭と上下椎体の肋骨窩と椎間板の陥凹面で形成される肋骨頭関節と肋骨結節の関節面と横突起の陥凹した肋骨関節面とで形成される肋横突関節で構成されます(図4)。

図4 肋椎関節(肋骨頭関節と肋横突関節)
2)より画像引用

胸郭の運動

胸郭は、機能的な役割の違いから上位胸郭(第1〜6肋骨)下位胸郭*(第7〜10肋骨)浮遊肋骨(第11、12肋骨)に分けられます。
✳︎第7〜10肋骨を中位胸郭、第11、12肋骨を下位胸郭と分けられることもあります。

上位胸郭の運動は、Pump-handle motionと呼ばれ、前額面に近い運動軸⁴⁾となっています(図5)。吸気時に、上位胸郭は前上方に向かって動くことで、前後径の拡大⁵⁾がみられます。

図5 上位胸郭のPump-handle motion

下位胸郭の運動は、Bucket-handle motionと呼ばれ、矢状面に近い運動軸⁴⁾となっています(図6)。吸気時に、下位胸郭は外上方に向かって動くことで、横径の拡大⁵⁾がみられます。

図6 下位胸郭のBucket-handle motion

浮遊肋骨の運動は、Caliper motionと呼ばれます(図7)。吸気時に、横径の拡大を伴う後方運動⁵⁾がみられます。

図7 浮遊肋骨(第11〜12肋骨)のCaliper motion

🎥胸郭運動のイメージは下記動画が参考になります。


安静吸気の筋活動

安静吸気では、横隔膜斜角筋肋間筋が主に活動³⁾します(図8)。

図8 吸気筋
6)より画像引用一部改変

横隔膜*は、安静吸気の60〜80%³⁾⁶⁾⁷⁾の役割を担うとされています。
✳︎横隔膜の詳細は「横隔膜の機能解剖」に後述。

斜角筋⁶⁾は、第1、2肋骨を引き上げ上部胸郭を拡張させる働きがあります(図9)。特に、立位、仰臥位で安静吸気時 (吸気後半)に働きます。

図9 吸気時の斜角筋活動

肋間筋³⁾⁶⁾は、3層構造となっており、表層から外肋間筋、内肋間筋、最内肋間筋に分けられます(図10)。外肋間筋が吸気を促し、内肋間筋が努力性呼気に働くと言われています。また、外肋間筋は外腹斜筋と内肋間筋は内腹斜筋と筋繊維の走行が同方向であることから、体幹の回旋や側屈にも働くと考えられています。しかし、外肋間筋と内肋間筋の作用の違いは、明確にはなっていません。

図10 外肋間筋と内肋間筋

努力性吸気の筋活動

努力性吸気³⁾では、安静吸気の主動作筋に加えて、上後鋸筋(図11)、下後鋸筋(図11)、肋骨挙筋(図12)、胸鎖乳突筋、広背筋、胸腸肋筋と頸腸肋筋、小胸筋、大胸筋(胸肋頭)、腰方形筋の関与が挙げられています。

図11 上後鋸筋および下後鋸筋

図12 肋骨挙筋

図13 腰方形筋

上後鋸筋は、吸気の補助筋⁸⁾で、上部胸骨を挙上させることで胸腔内容量を増やす作用³⁾があるとされています。

下後鋸筋は、横隔膜の初期の収縮のために下位肋骨を安定させる作用がある³⁾、下位胸郭を身体中心軸方向に包み込むような下制運動に関わる⁴⁾、下位肋骨を後下方に引き下げることで呼吸補助筋として働き下位胸郭の拡張にも貢献する⁹⁾と言われています。
下後鋸筋については、書籍や文献によって様々述べられている一方で、その作用や役割は明確とはなっておらず、未だ調査段階です。しかし、呼吸機能や腰痛との関連性において注目されている筋肉の一つと言えます。

肋骨挙筋³⁾は、長肋骨挙筋と短肋骨挙筋があり肋骨を挙上することで胸腔内容量を増やすとされています。

腰方形筋³⁾は、努力性吸気の初期に横隔膜の収縮に対して下位肋骨を安定させるとされています。

📃腰方形筋の機能解剖学は、以下の無料記事で学ぶことができます。


努力性呼気の筋活動

努力性呼気³⁾では、腹筋群(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)胸横筋内肋間筋の関与が挙げられています(図14、15)。

図14 吸気筋
6)より画像引用一部改変

図15 前胸壁の内側面
3)より画像引用一部日本語改変

いずれも、肋骨を下制する作用により呼気に直接関与します。
また、腹筋群の活動は、腹部内臓を圧迫することで、横隔膜を上方へ押し上げて間接的に吸気の補助をする³⁾⁶⁾とされています。

横隔膜の機能解剖

横隔膜は、呼吸に必須の筋⁸⁾、最も重要な吸気筋³⁾⁶⁾とも言われ、胸郭の中でも呼吸において特に重要な役割を担っています。

横隔膜は、吸気時に求心性収縮をしながら下位胸郭を拡げるように下制し、呼気時に遠心性収縮をしながら上昇します(図16)。

図16 呼吸と横隔膜の関係性

横隔膜の大きな特徴は、垂直、側方、前後方向の3方向全てに胸郭容量を増やすこと³⁾です。

これは、横隔膜が胸骨(胸骨部)、肋骨(肋骨部)、腰椎(腰椎部)に付着することにより可能となっています(図17)。

図17 横隔膜の付着部位による3つのグループ

横隔膜の作用による胸郭容量の増大メカニズムとしては、横隔膜の腱中心の下降による垂直径の拡大、下位肋骨の挙上による横径の拡大、胸骨を介した上位肋骨の挙上による前後径の拡大⁸⁾が挙げられます。

また、横隔膜の弓状靭帯が、大腰筋腰方形筋、そして腹横筋と筋膜を通して繋がることから、筋活動状態が相互に影響を及ぼす⁷⁾と考えられています(図18)。

図18 横隔膜と大腰筋および腰方形筋の繋がり

さらに、横隔膜は骨盤底筋群と互いに拮抗する働きがある¹⁰⁾とされています。吸気時には、横隔膜は求心性収縮をして下方に下がり、骨盤底筋群は遠心性収縮をしながら下制します。呼気時には、横隔膜は遠心性収縮をし上方に上がり、骨盤底筋群と腹筋群は求心性収縮をし上方に上がります(図19)。

図19 横隔膜と骨盤底筋群の連動性

🎥呼吸時の横隔膜の働きのイメージは下記動画が参考になります。


下位胸郭の拡張機能不全(Chest gripping)⁹⁾¹¹⁾¹²⁾

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