カバー社が受けた下請法違反の勧告とは?公正取引委員会は何を問題にしているのか。
・カバー社に公正取引委員会からの勧告
皆さんは、こちらのライブドアニュースは読まれましたか?
まあもう記事のタイトルで良くない事したんだろうな、
というのはわかりますよね…。
やり直し、リテイクということを指示されるのはものを作っているといくらでもあると思うのですが、
「無償やり直し」
これはなんか悪そうすぎる。
今回はそもそも下請法違反ってなんぞや、ということと
その違反がなぜ公正取引委員会に勧告されることとまでなったのかを勧告文から読み取って推測していこうと思います。
・下請法とは
下請法とは、大手の会社が小さい事業者・フリーランスへ仕事をお願いする際に守らないといけない法律です。
ひとことでいうと、小さい事業者を守るためのものです。
大手(親事業者)は、小さい事業者(下請事業者)に対して、
業務委託をする際に守らなけらばならない4つの義務と11の禁止行為があります。
違反があったということは、
義務を怠ったか、禁止行為を行ったということになります。
・どんな違反したの?
では、どの点が違反として今回の問題になったのでしょうか。
ニュースには2点書かれています。
① 支払いの遅れ
下請法対象取引では、注文の際に取り決めた支払期日または
納品されたものを受領してから60日以内に支払をしないといけないとされている。
(期日は60日以内に定める義務があります)
それが最長で支払が1年7か月遅れってすごいですね。
公共料金は1か月遅れるだけで致命的なのに。
この1年7か月という期間が生まれた原因が2つ目である。
② 不当なやり直し。
支払いが遅れた原因、
それはカバー社は受領した(納品された)つもりがなかったのではなかろうか。
受け取ってないものの費用は払わないよね。
下請法の禁止行為に「不当なやり直しの禁止」というものがある。
「不当」でないのは、
例えば工場で製品を何か作ってもらった時に明らかに不良品だとわかる場合である。
ただ、その不良品かどうかの合格の基準は注文時に書面に書いて渡しておかないといけない。
だから、ライブドアニュースには以下のように書かれているのだ。
想定される不当の可能性は2つ。
① 発注を適切に行えていない
動画作ってもらうのは発注側もどうしても曖昧にはなりかねない。
「いいようにやっといて」の部分がある場合。
合格の基準を教えていないのに不合格と言われても困るよね。
② 発注では適切に書けているが、指摘内容が不合理
発注書面では適切に書いてあっても、
難癖のようなやり直し・修正の指示はNGである。
いざできたものを見てみると、
やっぱ違うな、これをこうしてくれない?って
注文時には想定してなかったお願いをすることはあると思う。
でも、下請法上はこういったやり直しも注文しなおしてお金を払わないといけない。
ニュースでは、必要かどうかわからないという記載なので
後者だったのかもしれない。
やり直しさせているからまだ作業は完了してないということで、
カバー社は支払をしていなかったのかもしれないが、
やり直し自体が不当なので、遡って元々の費用も支払えていなかったという判断になったのでしょう。
ただ、ニュースを見てみると、これらは2022年4月~2023年12月までに起きたことで、正直結構前の話である。
しかも、もう支払はされていて、利息も払ったらしい。
では、なんでこんなニュースになったの?
・勧告されるってことは改善されてないってこと
ここで公正取引委員会の勧告文を見てみましょう。
公正取引委員会の2(2)の勧告文は、主に2種類で構成されています。
① ちゃんと支払ってね。
② 是正してね。
しかし①については、
どうやら2024年9月までに支払ったらしい。
問題は、② の是正対応ができていないこと。
勧告にいたるまでには、
報告徴収・立入検査ということがされる。
問題はとうに報告されていて、
公正取引委員会がその上で勧告に至ったということだ。
今回、勧告に伴って指導もされている。
ただの違反では勧告・指導にはいたらない。
やり取りする中で、公正取引委員会は再発防止策・是正措置を
カバー社が行うのを待っていたが、
適切な対応がされていないと判断し、指導が必要と考えたのだ。
よって、現状は下請事業者とのやり取りにおいて、
まだ問題が改善されていないのではないかと読み取れます。
以上が、今回のカバー社の違反がなぜ勧告までいたったのか、
現状どうなっているのかという推測です。
次回はこのニュースでも触れられている「フリーランス法」について解説します。
この法律は、大手企業だけではなく、
どんな小さな事業者でもフリーランスへ依頼するときに適用される法律となるので、
ぜひ一緒に確認していきましょう。
さよなら。