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ちまきに挑む① ~三角錐に大苦戦~
「もちもち」好きとしては、見逃せない
突然だが、私は「もちもち」した食べ物が好きだ。餅に赤飯、おこわも大好物。タイの名物、マンゴーともち米のデザートは毎日でも食べられるし、「米粉を使った」という歌い文句のコンビニスイーツにも目がない。
だから、日本の「端午の節句」の由来、とされている中国の「端午節」に合わせてスーパーにちまきが積み上げられたのを見てワクワクした。日本でも一部の地域では端午の節句にちまきを食べるそうだが、中国でもその風習があるようだ。
そしてちょうどその頃、長男の通うプレスクールから「端午節に合わせてちまきを手作りするイベントを開催する」という案内が届いた。
ちまきなんて作ったことはない。でも、「もちもち」好きとしては・・・行くしかない。
日本のちまきではあまり見かけないアレ、どんな味??
イベント当日。会場に用意されていた材料は大きく4つだった。
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笹の葉
もち米
ナツメの実
ちまきを結ぶ紐
もち米は水につけてあったようだが、味はついていないらしい。ナツメについては、日本ではほとんど食べたこともなかった。ナツメ=デーツ、と思って検索したが、別物らしい。(ナッツとドライフルーツ専門店「小島屋」HP参照 https://www.kojima-ya.com/blog/about-dried-fruit/natume-date-chigai/)
私が日本で食べたことがあるちまきは、醬油ベースで甘じょっぱい肉やタケノコが入った「しょっぱい系」のもの。シンプルなもち米とナツメのちまきはどんな味になるのだろう。
いざ、ちまき作り。「見る」と「する」では大違い…
会場に集まったのは、プレスクールの園児の母や祖母、アイさん(家事手伝い)が10数人。私よりも年配の女性が多い。最年長のクラスの児童が見学にやってきて、園児の母親による実演が始まった。
実演をもとに、ちまきの作り方をざっくりと書いてみる
①笹の葉二枚を重ねる。
②一方の葉先をぐるりと内側に丸め入れて円錐形を作る。
③円錐の中へ先にナツメを入れ、その後もち米を円錐いっぱいに詰める。
④笹の葉の上部分を折り曲げて三角錐の形にすると、葉の先をぐるりと三角錐にはわせて成形。
⑤紐でしばって完成。
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このイラストと写真、説明で、「ああ、これは簡単だ」と思われるだろうか。「難しそう」だろうか。
葉を手にしてすぐ、難しそうだということに気づく
実演を見た時には「だいたいわかったな」と思っていた私だったが、「ではやってみましょう」と渡された笹の葉2枚を触っていて、「これは難しそうだ・・・」と気づいた。
ひとまず手を動かしてみたが、葉をぐるりと円錐形にしたところで、利き手の右手で円錐形をキープしたまま左手でもち米を入れるのが、まず難しい。右手に向けた意識が少しでもそれると、円錐形はゆるみ、円錐の先っぽの穴からもち米がぱらぱら出てくる。
円錐形をキープしながら葉を折り曲げて三角錐にするのがさらに至難の技。米を入れすぎると葉で蓋ができないし、かといって少なすぎてもぱんっと張りのある形にならない。そして、笹の葉脈がしっかりしすぎていて、思うようにしなやかに曲がってはくれない。
最後に紐を巻き付けるが、両手で紐を結ぶためには、その間、どうやってこの三角錐をばらばらにすることなくキープしておけばよいのだろう・・・
ベテラン風の中国人女性に助けを求めると・・・
「あ、えーっと、すみません。あの、ここからどうすれば・・・」
もち米を入れて三角錐を作る上記④の時点でにっちもさっちもいかなくなり、いかにもベテランといった様子の園児の祖母に、日本語で話しかけてしまった。
女性は「ははは」と笑い、私のちまきをいったんすべて開き、葉を重ねる塩梅やもち米の量について指摘してくれている(たぶん)。ポイントは葉を折り曲げて三角錐を作る際、はみ出た両脇をちまきの中に入れ込むことのようで、そうすれば、隙間なくきっちりと包めるらしかった。
と、紐を結ぶ直前まで進んでおきながら、女性はあっさり、再度私のちまきを解体。「ああ・・・ええーーーー」。思わず声を出してしまった。様子を見守っていたプレスクールの校長も、「Wow・・・」と言って大笑い。
初心者だとか、中国人ではないだとか、そんなことは関係ないようだ。「ほら自分でしなさい」とでも言って(たぶん)突き返され、元来負けず嫌いの私は、スイッチが入った。
ついに完成。初めて作ったちまきがコレだ。
そこから一人きりで10分近く格闘して、なんとか完成させた。
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もはや三角錐ではないし、きれいに巻けなかった葉が折れてぴんぴんと出ている。すぐにでも自然とばらばらになってしまいそうなので、何重にも紐を巻き付け、ちまきには、見えない。本記事トップの写真が手本のちまきなのだが、それとは、似ても似つかない。
それでも、私はちょっと嬉しかった。中国人女性6、7人がわいわいおしゃべりしながらせっせと手を動かす輪の端っこで、会話の内容は全くわからないが、なぜか楽しい。子どもと一緒に中国に来ていなければ、こんな機会を得ることはなかったかもしれない。
初めてのちまきが完成。気持ちがアガってつい…
少し気持ちが高揚していたためか、ちょうど長男とそのクラスメートを引率してきた、担任で中国人の女性教師に、英語で声をかけてしまった。
「Look! This is my first zongzi(中国語で「ちまき」の意味)!!」
ちまきと言われなければ絶対ちまきには見えないそのビジュアルに、女性教師は本当に、戸惑ったように苦笑い…。
そうか、こういう「反応に困る」時の表情は、どこの国でも共通のようだ。