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ちまきに挑む③ ~いざ実食。甘いちまきの味はいかに~

 ここまで「ちまきに挑む」のタイトルで、ちまきに悪戦苦闘したことや、ちまき文化を覗き見たことを記してきた。
 ただ、肝心の味について、まだ書いていない。「実際に手作りしたちまきの味はどうだったの!?」と思われる方もいらっしゃるかも?と思い、ここに記して「ちまきに挑む」完結としたい。

蒸し器×もち米調理は初。小一時間にらめっこして…

 長男がちまきを持ち帰ってきたのは夕方4時半ごろ。ちょうど、夕食用に白米を炊く前だった。やや小ぶりのちまき7個で夕飯の主食として足りるか不安だったが、ひとまず蒸してみることにした。

 前述のとおり、私は「もちもち」好きで、もちろんもち米も好きだが、蒸し器でもち米を蒸した経験はない。炊飯器で調理した経験も、片手で数えられるほど…。どれぐらいでもち米が「炊けた」状態になるのだろう・・・。
 日本から持参していた蒸し器を鍋にセットしてちまきを並べ、水を入れて、中火にかけた。水が沸騰した後は、時々少しだけふたを開けて、いびつなちまきの先端にできている隙間から、もち米の具合を確認する。
 30分ほどして、鍋のふたを開けると、ふわっと笹の葉の薫りが漂い始めた。笹の葉特有の青い、さわやかな匂いと、火を通したことによる香ばしいような匂い。笹の葉の緑色も、深い色になり、もち米も、透き通ってきている。
 それからもう10分ほど蒸して、試しに箸をさしてみた。もち米なのだから、さしたところで火の通りはイマイチわからないが、触感はむにっとしてしっかり弾力がある。そろそろ良さそうだ。

蒸しあがったちまき。すべて私が作ったもので、葉の間からもち米がこぼれそうなものもある…。
上は蒸す前のちまき。鮮やかな緑色の葉は、下のようになる。
蒸しあがったちまき。

いざ実食。もち米とナツメの組み合わせ、合う!!

 紐を切って笹の葉を開けてみると、もち米がつやつやと光っている。ナツメには少ししわが増えたが、こちらもつやがある。
 長男は待ちきれない様子で、「これ、熱い?熱いの?ちょっと熱いよね?」と尋ねながら、早速口に入れている。

葉を開けると、どん、とナツメが現れる。なかなかの存在感だ。

 私も、あの、ぐるぐる巻きになった、どう考えてもちまきには見えない自作のちまきをほどいて、口に運んだ。
 
 もち米そのものには味はついていないはずだが、もち米はほんのり甘く、笹の葉の香りは鼻に抜けるだけでなく、口の中にもその風味が広がる。ナツメと一緒に食べると、今度は、ナツメの濃く、しっかりとした甘さがアクセントになって、もち米に塩味さえ感じられるのだ。うん、これはおいしい…。
 私が「形はひどかったけど、味はよかったよね?こうして出来立てを食べるのもおいしいんだねえ」と夫に言うと、「笹の葉の薫りがいいよね。でもわりとお腹にたまるね・・・」。夫は2個でギブアップ。甘い系ちまきよりしょっぱい系ちまきの方が好きな人にとっては、素朴な甘みとはいえ、たしかになかなかの食べ応えがあるだろう。

長男からの「また作って」。さてなんて答えよう…

 笹の葉についた米粒をすべてとり、小ぶりのちまき2個を食べ終わった長男が、嬉しそうに言ってきた。
「ねえ、これまた作ってよ!」
 長男は、食べ物の好き嫌いがほとんど無い。最近では「きのこがいやだ」と言うことはあるが、そうは言いつつも、出したもの、出されたものはすべて食べる。ただ、食の好みはかなりはっきりとしていて、本当においしかった時や心から気に入った時にだけ、「これまた作って」(時々「これまた買って」)と言う。私にとって、長男の「これまた作って」は、「本当においしかった」「満足した」ことを確認できるキーワードなのだ。

 中国へ来て、中国の食べ物でこの言葉を聞いたのは初めてだったかもしれない。そうかそうか、本当においしかったか。それはよかった。頑張って作ったかいがあった。
 でも、私はこう答えておいた。
「今度スーパーであったら買うね。作るのは・・・また来年だ」