漢方・薬膳からみた冬の過ごし方③~アンチエイジングの鍵は冬にあり
毎朝、布団から出るのが辛い季節……早く暖かくならないかな~と思っていらしゃる方も多いことでしょう。私もその一人です。
しかし、春にはまた新たなお悩みも色々……というお話はまた次回にするとして、今回は冬と漢方の関係において重要な視点を一つご紹介いたします。
それは……「アンチエイジング」。
エイジングと密接な関わりをもつ「腎」
漢方の考え方のベースに「五行説」というものがあります。
“私たちを取り巻くあらゆるものが「木」「火」「土」「金」「水」の五要素に振り分けられる”という考え方ですが、人間の身体の生理機能もまた、この五行で振り分けられます。
このうち、発育、生殖、精力などをつかさどるのが「水」に属する「腎」となります。
以前のコラムでもご紹介しましたが、漢方では、エイジング(老化)はこの「腎」の機能の低下ととらえます。足腰の冷え・耳鳴り・頻尿・そして白髪や抜け毛。
そういった事柄と「腎」が密接に関わっていると考えられています。
そして、季節もまた五行に振り分けられるのですが、冬はまさに「水」の季節。つまり、「腎」と冬はつながっているのです。
そのため、冬は「腎」が外的環境によりダメージを受けやすい=エイジングにつながりやすいということになります。……と聞くと恐ろしくなってしまいますが、逆に考えてみると冬にしっかり「腎」のケアをすることで、エイジング対策をすることができるというわけです。
日常のお食事から「腎」のケアを
とはいっても、目に見えない「腎」をどうやってケアするのか?
日常的に私たちが出来ることはやはりお食事面からのケア、つまり薬膳です。
漢方・薬膳では「五味五色」という考えがあり、五行に照らし合わせた色や味覚の食べ物を摂ると良いとされています。
五行図を見ていただくと、「水」の色は黒です。そして味は「鹹味(かんみ)」です。馴染みのない言葉ですが、しおからいという意味です。ただし、塩を使うということではなく、海産物などから感じられる自然の塩味です。
これらの要素をもつ食べ物がおすすめということになりますが、エイジングケアをしたいからといってそればかり食べているのでは偏りが生じて逆効果です。
旬のものを中心に、様々な食材をバランスよく使いながら、下記の「腎」におすすめの食材を意識して取り入れるようにしてみてはいかがでしょうか。
実年齢を重ねてきたら
とはいえ、人は必ず歳をとります。
20代、30代の間はどちらかというと「ずっと若くいたい」という意味合いでのアンチエイジングとなるでしょうから、お食事のケアや規則正しい生活を送っていただくことで若々しさを保つことが可能でしょう。
しかし、個人差はありますが40代、50代、60代……と年齢を重ねるにつれ、お食事だけでは対応しきれない様々なエイジングの悩みも出てくることと思います。
その時は、漢方薬の力を借りることもおすすめです。食材よりも効能の高い生薬を用いた漢方薬には、筆者も色々と助けられています。
ただし、自然の生薬を使っているといっても、人それぞれの体質・体調で合わないものもあります。他のお薬との飲み合わせによって副作用が起こることもあります。
必ず、漢方薬局や病院の漢方外来など、東洋医学に通じた先生にご相談の上で取り入れてください。
この記事を書いてくれた人:古橋 智子(漢方・薬膳・保存食講師)
漢方上級スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、中国茶アドバイザー、かんぶつマエストロ。薬日本堂漢方スクール、長谷園 東京店 igamonoなどで講座を担当。20代より保存食作りに親しみ、数々のレシピを考案。素材の旬だけでなく、一人ひとりの体質や体調に合った保存食を提案したいという思いから漢方、薬膳を学ぶ。
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