つれづれ小説エッセイ ~脚本講座を受けまして~
ただ授業を受けるのではなくて、赤ペン先生がこちらの書いたシナリオを添削してくれるタイプ。
本来は半年で終わるのだが、私がなかなか提出しないせいで1年かかってしまった。
脚本ってどんなもんじゃ~? ということで、実際に提出していた原稿のリメイクバージョンを載せる。読みたい方は拡大してください。
人物表は省略してあるが、主人公は怪盗で、部下とともに依頼人の家に依頼品を渡しに行く場面だ。
用紙の枚数が指定されていて、少ない枚数だと1シーンを書くので精いっぱいになる。一応タイトルも付けてあって『怪盗セレスとプロセルピナの果実』というものだったが、上記シーン以外には一枚も原稿はない。
こんな感じで脚本を書く練習をさせてもらい、色々感じることがあったので、感想を書いていく。
①原稿ルールが細かいッ
最初から文句ですみません……でも思ったんだもん……。
小説を書く上で、確かに原稿用紙の使い方にちょっとしたルールはある。最初は1マス空けるとか、台詞の一番最後に句読点はいらないとか、感嘆符のあとは1マス空けるとか。
初心者が知ると面食らうかもしれないが、慣れると特に気にならなくなるくらいの数だと思っている。
だけど脚本は違った。
ト書き(台詞じゃない文)は3マス空ける! 台詞の2行目は1マスだけ空けろ! 女は名前、男は苗字で書け! カメラに映らないけど声が聞こえてるキャラは名前じゃなくて『~の声』って書け! 初登場ではフルネームと年齢を書け! 喋らねえモブは人物表に書かんでええ!
……とまあこんなもんなので、最初は1ページ書くのも覚束ない。生まれたての小鹿である。うっかり男性でも名前で書いてしまうことが何度もあった。
作品に関わる色々な立場の人が読むものなので、やっぱり正確さ、パッと見のわかりやすさが求められているなと感じた。最初は「何でぇ……?」と思ったルールも多かったが、先人が失敗を重ねて作り上げていった大事なルールだ。ちゃんと守ろう。
決して「うるせェ好きに書かせろっ!」とか言ってはいけない。決して。
②手出しできない部分が多い
これがかなり新鮮だった。演出に関わる部分は、脚本で書くと怒られるのである。
確かにクレジットなどを見ていると、脚本と演出は別の人間がやってることがある。他の人の仕事を取ってはならんのだ。
この辺、ほんとに共同作業なんだなーと思った。ドラマや演劇やアニメといったものは、複数人で作り上げるものなのだ。
小説は個人で完結しているからこそ、演出だろうと何だろうとどんどん手を広げて書くことができる。だが他の人が入ることで、もっと良い演出にできることもあるだろう。面白いなと思った。
……ただ本音を言うと、小説畑で暮らしてきた経験が長いので、書けないところが多いのは窮屈だった。それにまあ、気が合わない演出家と組めば「ここはこうしてほしかったのに! 台無しじゃねえかよォ!!」と歯ぎしりすることになるやもしれない。それを思うと、想像するだけでちょっとゾッとした(ワガママである)。
だから脚本と演出とその他もろもろと監督を兼ねる人がいるんだろうねえ。
③収穫
「先生に怒られたこと」が一番の収穫だったと思う。
回想のある原稿を書いたのだけど、スゲー怒られた。
参考資料に線を引いたやつまで添付されてた。
大変残念に思います、と言われて心に刺さった。罵倒されるより「残念だ」と言われたほうがキツイ。
創作論ではレベルアップのために回想を書くなと言われるが、それでも書いてしまっていたので、先生の言葉を借りると本当に「麻薬」なんだと思う。
でもここまで怒られるとさすがに身に沁みた。創作論を読むだけでなく、一個人から怒られるというのは、経験としてデカくて重いので記憶に残る。
また回想について考えてみようと思う。
先生、お世話になりました。